「て・こあ」でのある一日 ㉒ 占いの間

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3.9m上にあった天井が間近に見られるようになった「占いの間」の2階。この雲細工・・・今では限られる人にしかできない。

築100年の「て・こあ」ですが、先回ご紹介したように以前は民の寺院として使用されていた建物ですから、そのご本尊様が安置されていた部屋があります。その部屋を「て・こあ」のオーナーさんは「占いの間」※と呼んでおり、大切な空間として現在ゆっくりと改修されております。
※・・・占いと聞くと怪しい雰囲気であるが、元々占いとは過去のデータを分析・精査して将来を予想したりする行為。特に心を澄まして集中出来るように静寂な非日常空間が必要となる。

まるで蔵の中の静寂さ。構造のむき出しのままと同時に木細工がある不思議な空間の占いの間。床は古いまま堅木のような堅い杉?(調査中)

この占いの間は、元々ご本尊様があったところなのでその天井高は3.9m程度あり、その空間を上下半分に仕切って2階を6帖(9.9m2)分増やしました。1階は2m程度天井高、2階は1.75m程度と小屋裏となりましたが、木の細工もあり不思議な空間となりました。

2階への階段は私自身で墨付けし刻みました。一応小穴(溝)を彫り、差し込んで板を入れ本格的な階段となっております。とは言っても私は造る方は素人で初めての階段すから、プロのような綺麗な仕上がりには遠くおよびません。木を刻んでいると何時も思いますが、大工さんって凄いなと同じ建物の計画する職人として尊敬しております。

自身で墨付け刻んだ階段。久しぶりに鑿を握った。確かに節はそのままデザインとなる。

この「て・こあ」では「杉」という木の魅力に惹かれております。杉はその脂成分で時を経ると黄色くなる性質があり、その色が何とも良いのです。ヒノキは上品で美しく、杉は素朴で大変趣のある色になります。特に「て・こあ」のオーナーは杉の赤黒い色(芯材)と白身(辺材)の色の差に魅力があると言い切っており、節もとても大事な杉のアイテムであると言っております。

芯材と辺材、節の入り交じる杉。左上のに見えるがカンナ仕上げはヒノキより劣るが独特の繊細な光沢が美しい。

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