本当はヒバにしたいが、土台がヒノキなわけ・・・

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国・JASで決められている各木材の強度。

上の図のように米ヒバはヒノキに比べ全て圧縮・曲げの機械的性質が上回っている事がわかります。また耐久性、防蟻性もヒノキよりワンランク上で格付けされる事が多い、優れた樹種です。が・・・

米ヒバのめり込み基準強度は6N/mm2だがヒノキは1.3倍の7.8N/mm2となる。

下の図は米ヒバの集成材の強度を示し、この中でヒノキの集成材として劣っている項目が一つだけあります。それがめり込み強度です。

新潟県ではめり込み強度は大変重要な機械的性質です。それは・・・
耐雪1.5mを超えると柱一本にかかる長期・中長期荷重は大変大きくなります。仮に長期荷重2.9N/mm2の米ヒバなら40KN(4トン/柱)までめり込みに耐える事ができますが、それ以上はエラーが出ます。間口が大きい部屋にある集中荷重の柱には時折40KNを超える長期荷重がかかりますからこのヒバの土台では使えません。この時ヒノキ集成土台なら52KN(5.2トン/柱)までOKなめり込み強度があると公表されております。よってヒノキの集成材の土台にする事でめり込みを殆ど考える事無く設計が出来ます。

米ヒバの土台で構造計算した時はめり込みでエラー

ヒノキの土台で構造計算した時はめり込みはOK

しかし・・・実務で米ヒバを触ると明らかにヒノキと同じかそれ以上のめり込み強度が感じられます。これは私だけで無く、米ヒバを加工した事がある方なら同様に答えます。これはなぜでしょうか。

推測するに・・・これはヒノキ業界の力かもと思います。ヒノキはほぼ国産です。よってヒノキの強度が低ければ特に柱などの価格が安くなります。そこでより詳細に等級をきめて測定した結果が国の機関に反映されているのではないでしょか。一方米ヒバは全て輸入材。貿易商社にとって別に強度が価格に直結するとは考え難い・・・誰も困らない。だから米ヒバが実状に合った強度表示になっていないと思われます。

また米ヒバは大木が多いので集成材には心材がつかわれますが、ヒノキは・・・みたとおりです。それでも長期優良住宅に問題なくつかわれ審査で国からOKをもらえます。設計者として疑問はありますがしかし法律は法律。建築士としてはそれを守る事が必要です。

・・・と言うことでどんな荷重でも安定して使えるヒノキの土台が「緑の家」の標準使用になっておりますが、ご希望があれば喜んで価格も流通も安定している米ヒバにします。

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コメント

  1. 匿名 より:

    あきお様
     コメントありがとうございます。
    >土台をヒバからヒノキに変えられた理由がずっと気になってました。
    お越し頂ける読者さんがこれほど土台の樹種の理由に関心が高いとは。・・・ありがたいです。
    ヒバはあの特有な香りが家の高級感を伝えますね。よい選択だと思います。

  2. あきお より:

    いつも、楽しく勉強させていただいております。
    私も、オーブルデザインさんが、土台をヒバからヒノキに変えられた理由がずっと気になってました。
    耐久性重視の緑の家が、なぜ辺材のまざるヒノキなのかと(それでも基礎立ち上がりが1mある緑の家なら耐久性抜群でしょうけど)。
    めり込み強度とは気が付きませんでした。
    現在地元の設計事務所に依頼し計画中の我が家は、緑の家のように1m基礎にできないと設計士さんに言われたので、耐久性重視でベイヒバの使用をお願いしているところです。

  3. MOTO より:

    早速の掲載ありがとうございます。
    オーブルD一押しだったはずのヒバ土台をヒノキに変更・・・
    過去ログを見た時は、ヒバ土台のデメリットを想像しました。
    >本当はヒバにしたいが、土台がヒノキなわけ・・・
    タイトルを見て安心し、記事を読んで納得しました。
    標準化だからなのですね。