改めて・・・面材耐力壁の難しさを知る。その2

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めり込み釘の隣に新たなCN65を打つ。ただこれも難しい判断である。

現在工事監理中の「吉田の家」で3度目の耐力壁検査に伺った。一目見てようやく自己チェックを行っていることがわかりようやく本来の工事監理となる。

現在工事監理中の吉田の家

まず工事監理とは、

建築士法第2条第7項で定義される建築士の独占業務であり、工事を設計図書と照合・確認することを指す。建て主が100m2以上の住宅を建築するときに、自身に代わって図面と現場が同じかどうかを見る「工事監理者」を選任しなければならない。

工事監理とは本来建て主さんが自分の家が、自身の目で見て設計図どおりかわかれば良いのだけれど、専門用語で書かれた図面を一朝一夕で取得した知識では読み解く事は現実的でない。このため専門家を雇って見てもらってください。との主旨の法文である。

つまり工事監理者は建て主さんの目となって監理する業務である。そのため監理者は全て自身の家の工事だと思って監理しているから口うるさくなる。一方現場監督さんは、請負契約業務を遂行するための「現場管理」なので、立場が全く違う。

以前の耐力壁に打ち込まれた釘。全て0.5mm以上めり込んでいる事がわかる。

吉田の家では釘のめり込みが悪い事を理解してもらったようで、新しい釘でめり込みが無い状態で増し打されている。一方増し打も本来の強度を大幅に超えると問題が生じるのでどこまで行えば良いかは専門家の解釈も違う。

釘を一本一本チェックしようとすると、このように全てレ点でチョークする事になる。

ただ増し打しないよりはした方が良い事は道理なので、設計と同じバランスになるように増し打を行えば、耐震等級3で計算し計画した耐力以下になる事はないと考えている。

耐力壁に使用する合板に印刷されている「表」。

ところで、「緑の家」で使用する外壁部分の耐力壁は上のピンク色にあたる壁倍率4と、これだけでは足りないので真壁として9mm合板のダブル貼りとなる。このくらい入れないと一般的な住宅で多雪地域で耐震等級3となる事はすくない。また合板に印刷されたこの表より、釘の種類や打ち込むピッチを変えると3.2倍から4倍まで10種類の耐力壁があることがわかる。

釘の本数は910×3000の合板で約100本だから、吉田の家ように耐力壁が40枚あれば4000本の釘になる。以前も紹介したが筋かいによるビスは60本/枚だから40耐力壁でビス2400本であり、面材耐力壁は監理が大変である。これは大工さんも同様。

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更にダクト貫通部分、スイッチコンセントの大きい欠き込みには補強が必要と大変複雑となる。よって工事監理者がしっかりしていない家造りは実は筋かいの方が無難なのかもしれない。その前に工事監理者の名前も言えない家造りをしている場合は・・・その時点で厳しい条件。

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コメント

  1. 荻沼征隆 より:

    千葉県北総部でも設計監理を依頼する事は可能ですか。

    • Asama より:

      荻沼征隆様

      コメントありがとうございます。

      >千葉県北総部でも設計監理を依頼する事は可能ですか。

      可能です。
      メイルで先ほど返信いたしました。そちらをご覧ください。
      宜しくお願いいたします。