「無難」な愛される家を目指す「緑の家」⑤ 屋根番外編 雨漏り

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Dscf3284こんな細いヒビから漏水する。ここが勾配の少ない平らな屋根の欠点。

モルタルとタイルで出来た堅い床を壊し、露出したFRP防水にこのヒビを見付けたときに3年間かかった問題は山場を超えました。

「緑の家」は質実剛健を考え設計されておりますが雨漏りが起こった家もあります。今回その「原因」が断定できたので自戒を込めてご案内します。

今から12年前に設計したこの建物(バルコニー)・・・

Img04940建物デザインとあわあせるようにご希望に応じ素焼き風タイル貼りのバルコニーを設計した。

この雨漏りが発生したのはもう3年以上も前の事です。
その時は施工した工務店さんはなくなっていましたので、私がその対応を全面的に行っておりました。雨漏りは気まぐれで普通の雨では漏水しません。冬期の降雪後1週間くらいで漏れるのです。また見えない防水工事が・・・ここまで時間がかかることになりました。

今回の事で学んだ事は、

1.万一の事を考え設計する(保険なども含む)。

2.目視できる=メンテナンスがし易い事が最も重要

の2つです。

今は義務となっている瑕疵担保法(雨漏り等の10年保証)ですが、この建物はその施行の4年前に請負契約されており、普通なら瑕疵担保法に入っていないので雨漏りで保険がおりない建物になります。

しかし「緑の家」では事務所設立時(今から18年前)から殆ど建物で10年瑕疵保証(施工会社さんが入る保険)に入って頂くように設計図書に記載されております。これは万一施工や材料にミスがあったときに対応出来るように、ホントに「万一」のための記載です。設計のミスであれば事務所の加入保険が使えますが、施工のミスなら設計の保険は適用外ですから施工会社さんに必ず入ってもらっておりました。

設計の瑕疵でなければ普通は雨漏りは請け負った工務店さんが全面的に対処するのですが、その工務店さんが未来も存続する保証はありません。その時に建て主さんが困らないようにするための保険でしたが、それが今回不幸中の幸いで使えます。

そして2番目のこと。
過去「緑の家」ではバルコニーのある建物は25棟くらいは設計したのですが、その殆どがFRP防水のままです。ですので今回のようにFRP防水が何らかの原因でヒビが入った時には目視でわかります。しかし・・・上にタイルなどががっちり貼ってあると・・・剥がさないとわかりません。ですのでここまで対応がかかりました。

当初はバルコニー手摺壁ではないかと何度も水をかけたり、サッシも疑いました。雨漏りは冬期にしか起こらなかったので原因の特定が出来なかったのです。原因がわからないと保険は適用になりません。そこで3年間かけ、様々な対処して丹念に原因を箇所をつぶし、もう床下にある見えないFRP防水部分しか考えられないと・・・、消去法で証明して申請後半年してようやく保険が適用になり工事の運びとなりました。

Dscf3309タイルを全て綺麗に撤去

Dscf3274するとこんな僅かなヒビが目視ではっきりわかる。やはりメンテナンスは目視が基本中の基本。

Dscf3306床構成はタイル+FRP防水、合板12mm+合板12mm+根太+構造用合板28mm

Dscf3324FRP防水のヒビ以外他の部分にないことから、このFRP施工に何らかの原因があったと思われる。

バルコニーの床は通常2層の合板が貼られております。一層目は水平面構造を確保する28mm合板。もう一枚は床の勾配を確保する12mm+12mm合板です。一般的な施工はこの2層合板で通気ができない事が多いのですが、「緑の家」は念には念をのことで、一層目の床合板に穴が開けられ、ここで溜まった湿気を逃がすようになっておりました。ですので今回の雨漏れでも構造材に被害がおよぶ事はありませんでした。

Dscf3313バルコニーの床下にある一階の玄関の天井。穴の開いた天井板と床下がこの部分を守った。

危険な部位は何かあった時の対策設計までおこなう・・・。これはとても重要な事で、普段は全く「ここまでする必要があるのか?」と思って設計する事もありますが、やはり必要なのです。仮に25件の1件でも何かがあったときに重要な問題を引き起こさないように考える・・・それが大事な設計ポリシーなのでしょう。

今回の屋根の番外編は

「平らな屋根となるバルコニーのプランは基本的に薦めないが、もし止め得ず計画した場合は屋根を掛け、防水層は見える化とする」

ことでした。これは床下空間も同じで、家の弱点である屋根と床下は見える化して簡単にメンテナンス出来る事が大事で、それができない場合は、細心の注意を払って多重的に対応出来ることを考えないといけません。

今回の件で建て主さんにご心配と保険免責分のコスト(10万)がかかる事になってしまい、その点は設計者として改めてお詫びいたします。

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