何故高基礎なのか?その1

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
明るく清潔な床下に収納される数々の物。ここは家のメイン収納である。

なぜ高基礎なのかについて改めて話しておきたい。

「緑の家」はオーブルデザインの1998年の設立当時から100%基礎が高い住宅しかない。一般の基礎高が地上から48cmだとすると、2倍の105cm(88cmの時もある)である。この理由は当HPにあるが一言でいうと・・・法律を厳守するための現実的な手段。

防腐防蟻剤の塗布はこのような外壁工事前に行われる。

建築基準法では、建物外周部分の地面から1m以内の木材については何らかの防腐防蟻措置を義務づけている。つまり「地面から1m以内では木が腐るリスクや白アリの被害受けるリスクが高いので対処しなさい」と書いてある。

ある「緑の家」の雨上がりのショット。地面から水を受ける部分の色が変わっている。

それが何故必要なのかを裏付けるような写真を上に置く。

まとまった雨が降った次の日に「緑の家」に訪れてみると、基礎に雨がかりの印がくっきりでている。新築してまだ日が浅いので、地面の泥が固定せず雨のしっぱ(跳ね返り水)で基礎が汚れていることがわかる。その高さ概ね700mm程度。この位は雨のしっぱが跳ね上がっているし公的資料もある。

住木センターの発刊する「長持ちする住宅の設計マニュアルから出典した跳ね上がる雨水の図。跳ね高45cmとなっているが、下の環境により上の写真どおり70cmの時もある。
出展:国の研究組織である建研の木の劣化についてのまとめたPDF

これでおわかりのとおり、雨水は木の腐朽を促してしまう事は明らかになっている。

よって法律どおり建物の外周廻りの地面から1m以内の防腐防蟻は重要であり、この法律を守るために多くの建物では地面から1m以内の木材に防腐防蟻剤という薬品を塗ったり染みこませたりしている。しかし薬品だから時間経過による化学変化を起し、通常10年目から防腐防蟻効果が薄くなり始める。このため法律を厳守するには15年後くらいにもう一度外壁を剥がして柱や筋かい、合板に防腐防蟻剤を塗布することになる。しかし、この薬品を塗るためだけに外壁を剥がす建て主さんはいない。ほとんどの建物で2度と防腐防蟻剤は塗られることはない。その一方長期優良住宅でなければ、防腐防蟻の薬品に換えて外壁通気層だけでも法律は合致する。しかし建築基準法より上の規定である長期優良住宅では、壁の通気工法だけでは防腐防蟻効果とみなさい。つまりもし長期優良住宅であり、地面から1m以内の防腐防蟻を薬品によって確保した場合は、一般的に15年以上経過したらもう一度塗る必要性がある。その点基礎を1m以上確保すれば、その建物が存続する限り半永久的に防腐防蟻効果は存続する。これをねらって「緑の家」の基礎は1m以上あるのである。
また最近住宅業界ではホウ酸による防腐防蟻剤としている事例も多く、当事務所でも一部主要木材が地面より1m以下にある場合はこれを使用している。ホウ酸は水に溶融し効果がなくなる事が欠点であるが、水に濡れない環境であれば長期間(100年)は安定していると言われる。よってこれらを使う事もよいと思われる。

但し・・・水に濡れないことが前提であり上のしっぱ(跳ね返り水)にあたるとその効果は著しく落ちる。つまり完成してからは雨に当たることはまず無いと思うが、まだ外壁を貼る前の柱がむき出しの時にしかホウ酸は塗ることが出来ないので、ホウ酸の塗布後の養生には注意が必要。ホウ酸は塗られても無色なので塗ってあるところと雨があたって流れて効果のなくなったところの違いがハッキリとしないのである。このところを注意すれば現時点で高基礎と同じ良い方法と思うし、カンザイシロアリについてはこのホウ酸による予防が現時点で最もよい。

とはいえ住宅の防蟻防蟻の基本は・・・・

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする