「緑の家」のA(As)グレードとBグレードの基礎 その2

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さて・・・読者さんから質問を頂きました。

関心はスラブ下の断熱材あるかなしかの影響・・・。

もう少し解説が必要だと思いましたので投稿します。

まずべた基礎におけるスラブから熱の移動を考えます。すると・・・

A点の熱の移動は鉄筋コンクリート内での移動を表す緑色と、鉛直方向地面に逃げる青に分解できる。但し「緑」の矢印は360度全周を一つにしたもの。

このようにA点における熱は真下地面に移動する熱「青」と鉄筋コンクリート内に移動する熱「緑」に分れます。A点が家の中心部の時、真冬の実測により青より緑へ熱が移動する量が大きいことが推察できました。

で・・・緑と青の比率を更に推測してみます。

青い部分が移動する熱の量をイメージ化したもの。周囲は鉛直方向の移動量は大きいが、中央部は極わずか。しかも人工的断熱材を入れると更に少なくなるが、人工的断熱材が及ぼす影響は全断熱性能の2から3割。それでも価値があると思われる時に人工的断熱材を設置する事になる。
但し地中の16度は上部建物が存在したときの温度としてふさわしいかの知見なし。

同時にスラブ下の断熱材あり無し影響もその性能から考えると・・・

新潟県の良好な敷地の場合、その地質は砂質であることから砂の熱伝導率を0.9w/m・kを使うと、スラブ下の年間ほぼ変動しない地面まで5から7m(16度)として、また単純化するために地中内水平方向への熱の移動は無視すると、

50mm断熱材ありで1.0w/m2

断熱材無しで1.3w/m2

となります。この0.030.3w/m2の差が単純に鉛直方向への移動量の差です。実際は水平方向へも逃げるので差も大きくなります。

実測(真冬)でこのA点から逃げる熱流量平均は3.5W/m2程度だったので・・・

鉄筋コンクリート内以外の緑方向への熱の移動を無視した場合、「緑」対「青」の比率は概ね2:1となります。

熱の移動は中央部あっても外気温により影響を受ける事が実測からわかり、緑色の方向への熱移動抑制が必要。「緑」の矢印は360度全周を表す。

たぶん実際は相当複雑な熱の移動になっているはずですが、それを考慮しても緑方向への熱の移動を一番最初にコントロールする必要があります。ですので基礎外側に断熱材をはる基礎断熱が一番簡単で最初に行う良い方法です。何らかの理由でできない場合は、「緑の家」A(As)グレードのような一部外貼り基礎断熱が良いと思われます。

熱移動の境界条件が一番よい湿った地面とスラブの接触面に断熱材を設置することで効果的に断熱性能を発揮させたA(As)グレードの基礎。

そして既に外張り断熱の基礎であれば、次はスラブ下の断熱材の検討となります。新潟県のような気候では白アリ、地中内昆虫・微生物と逃げる熱の抑制量を天秤にかけ、設計に反映すれば良く、他の気候では各因子の重みが変わります。よって一律これが良いとはならず、地域・環境、住い方思想によって都度考える事が良いでしょう。

何度も繰り返しますが、床下暖房の家では快適性はなんら変わり無いので快適さはその条件から外れますが、移動する熱の量は床下暖房しない家より多くなります。

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コメント

  1. 水野 より:

    浅間様

    ご回答ありがとうございます。

    2次元熱伝導計算をすると私の条件設定が悪いせいかスラブ中央部からの熱損失を無視出来ないような温度勾配が表示されます。(汗)スラブ上全面敷き込みの基礎内断熱が魅力的に見えてしまいまして、論文頂けると幸いですm(_ _)m

  2. 水野 より:

    お世話になっております。

    基礎断熱の地中の熱伝導解析についての質問です。
    地上の境界条件は、外気側と室内側で実用熱伝達率が文献に載っているのは見た事があるのですが、地中の方が分かりません。
    理論的には、地中のどの部分かに固定温度境界を設定して土の熱伝導率を使って計算すればいいという事になるのでしょうか?

    • Asama より:

      水野様

      コメントありがとうございます。

      >地中のどの部分かに固定温度境界を設定して土の熱伝導率を使って計算すればいいという事になるのでしょうか?

      地中への熱損失は熱容量が大きい地盤の影響を受けるために期間によって変化し簡単に表す事ができません。
      国の評価方法では基礎外周部から1mまでの熱損失のみ計算し、土間中央部の熱損失は無視できる事で統一されております。一方研究となると様々な計算方法があるようで私にはわかりません。論文も多く有り最近みた査読論文では「重ねあわせによる熱損失の推測」などあり、ご希望であればその論文をお送りします。又国の評価方法は以前ブログに掲載しておりますが、再アップすることも可能です。