「無難」な愛される家を目指す「緑の家」⑦ 家の形 その2

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その1では・・・

「緑の家」が1000年前から変わらない木を外壁に使う以上、多分一番無難な形はここにあり、なぜ・・・A.屋根を三角形にして、B.屋根を外壁から外へ延ばしすのか・・・。

その1では、Bの説明をしましたが、その2ではAの「屋根を三角形にして」のことをお伝えします。

上図のとおり家の外観印象は屋根形状によって大きく左右されます。

この中で最近はモダンとの事で従来あまり見られなかった片流れの屋根デザインが多くなっております。

100年前には壁材や窓において金属系や窯業系、樹脂系がなく、土や木を使っていたので

「雨が壁に容易に掛る屋根の出がない」=NG

だったとその1でお伝えしました。
ではなぜ屋根は△ががよいのか?・・・またそのための方法を説明します。

三角屋根の平面形は?

ここでまず最初にお伝えしたいのは、△で無い屋根・・・例えば↓のような屋根には欠点があると言うことです。

確かにこのような屋根は子供の絵ではあまり見ません。

これは歴史的にも同様で、できる限り避けていた屋根形状だからで、目にふれる事も少なかったと思われます(当然上の屋根では書こうと思っても複雑で子供ではかけない事もある)。

谷のある屋根形状

谷が出来る屋根の平面形は四角くないことが殆ど。

この屋根には雨水が集まる「谷」という欠点が存在します。ちょうど上の図で赤矢印の部分です。ここは瓦屋根でも金属系の防水性に優れた素材で造るしかありません。つまり、そのような金属が入手出来なかった時代には、まず避けるべき屋根形状です。近年ではガルバニューム鋼板やステンレス鋼板で全てをつくる屋根が可能なので問題は少なくなりました。でもできる限り「谷」が無い方がよいのは変りありません。

ではなぜこのような形状が生まれるかと言えば、プランが四角くないからです。

平面形が四角いと屋根に谷は生まれない。

こんな感じの一番無難な屋根=寄せ棟(単純な)になる。

寄せ棟をちょっとだけ変化させた社寺仏閣の入母屋。この屋根形状は、どの方位においても外壁に水が掛りにくく、且つ棟の換気も出来る谷の無い屋根の理想型。

つまり、子供が書く単純な三角屋根は、先ずはプランが四角くなければできません。

よって「緑の家」では要望が満たされ、且つ四角い平面になるように考える事が基本で、だから苦労する事になるのです。

先ずは四角いプランをつくり・・・

このような平面からは

これだけの屋根バリエーションが生まれます。

そしてこんな中で一番木の外壁にやさしい順番にならべると、

「寄せ棟(入母屋含)」>「切り妻」>「招き」>「片流れ」

となります。無論・・・

屋根の出がない家は、全て木の外壁には優しくない家になります。

仮に平面形が↓でも

この谷を避けた下の屋根もできますが、赤矢印部分処理が少し難しいところで、全体のリスクから見れば上と下の屋根形状ではあまり変りありません。

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