新潟県関屋本村で施工中の関屋の家・・・。
「緑の家」は昨年から耐力壁を「筋かいから合板に換えますよ」とアナウンスしましたが、この関屋の家の耐力壁は・・・
「筋かい」
です。
その前に・・・
新町の家で使われた、杉無垢材の戸・・・
改めて良いですね。
この柔らかさと色。
家にはこれ以上の素材がないと思わせるほど。
よいのはわかるのですが、流石に安くないのでおいそれとは使えませんが、新建材といわれる合板などと一線を引くこの素材は、やはりあらゆる方から支持される素材です。
さて、
関屋の家の特徴はなんといっても「緑の家」の無塗装の木使いに加えて、
「出来るだけ揮発性有機化学物質の放散をおさえる」
との建て主さんのご要望で素材を選んでおります。
無論、全てを木の無垢材という自然素材であっても揮発性有機化学物質(主にテルペン類)は多量に発生します。よってその中でコストを睨みならが建て主さんに影響の少ない木やものチョイスしております。
まず・・・構造では、壁の中に隠れない木材については、積極的に無垢材を利用します。これは「緑の家」の仕様の考え方と同じですが、梁などは耐力を優先して集成材(同断面で無垢材より1.3倍以上強い)を使っている「緑の家」に対し、関屋の家では杉の無垢材を使用します。
また構造のもう一つの主部材の「耐力壁」・・・
この耐力壁では合板では無く杉、又は松の素材で筋かいを使います(一部を除く)。
筋かいをなぜ使うかは、「緑の家」と同じで、性能と価格が近いなら出来るだけ無垢材で・・・ですね。
筋かいは無垢材の木ですから一本一本違います。ですので「緑の家」では本来90mm×45mmの断面が必要な筋かいに、105mm×45mmと大きい断面を指定します。その理由は上写真を見ればわかりますが、仮に小さな節穴が有っても耐力上問題ないようにその余分をみて指定するのです。そして長い実績・・・筋かいは戦後から今に至るまで接合部の変革はあったものの、素材は70年以上使われてきました。つまり70年の経年変化も特に問題なかった(柱と同様だからあたりまえ)ということです。一方新建材メーカーの独自に作る合板パネル(大建さんとか)の実績はまだ10数年と浅く、その点から見ても安心して使えます。
そして構造の今回の極めつけは・・・なんと、
長期優良住宅や耐震等級2以上の家には必須な、床剛性を担保する厚さ28mmの合板の代わりに、厚さ35mmの杉無垢材を3枚で貼り合わせたJパネルで床剛性を作っております。
合板の代わりに杉の厚板(30mm以上)で下地を作ったほうがよいのでは?
といわれそうですが、杉の無垢板では床剛性が確保出来ず耐震等級2以上満足する家にするには、相当プランの制約を受けますから、現実的ではありません。そこで、無垢材のように接着材の使用は最小にしつつ、合板と同じ床剛性を担保できるこのJパネルになったのです。
このまま床仕上げに使えそうな雰囲気もおありますが、このJパネルは野物といわれる下地材専用Jパネルです。それでも価格は合板の3倍程度しますが接着材使用量が単純に半分・・・。その価値はあるかと思います。
コメント
http://all-kagoshima.jp/donto_panel/
どんとパネルは使われなかったんですね。
あちらは無垢材のみで床倍率3.5倍まででるみたいです
匿名様
ご紹介ありがとうございます。
>どんとパネルは使われなかったんですね。
なぜ使わなかったかというと・・・「どんとパネル」を知らなかったからです(笑)。
では知っていたら使ったかというと、ご紹介頂いたHPの見る限り・・・
知っていてもこの時点では自主的には使わなかったでしょう。
理由は、
工場で製作したパネルにするとコスト高になるからです。これは今までの業界の歴史が示すとおり、一部の大手住宅メーカーを除き30年前からパネル工場が各地に立ち上がりましたが、殆どの工場が存続出来ない状態です。つまり売れなかったと言う事で、その原因がコスト高と考えております。またHPの紹介文の壁内の断熱材と気密の考え方に少々共感出来ないので、特注パネルになる可能性があり更にコスト高になります。
以上の理由で多分使わないと思います。
あとはそこまでするなら、床剛性を高めなくともよい(無垢の木がつかえる)平屋建てのほうがよいのではないかと考えております。