床下暖房のエアコンバックアップって必要か?その2
床下エアコンの選定 新潟県以北の場合

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丸4日間氷点下が続いた新潟県。更に多雪でその半分が吹雪くというオマケ付き。

先週から始まった厳寒期の低温状態・・・。

数年に1回はこのような低温状態の年となることがわかっている。「緑の家」では床下エアコンの選定ではこれらのことを考えてその機種を選定している。

家庭用のルームエアコンは、現在99%がヒートポンプによる空冷空暖のシステム。つまり屋外の空気から熱を奪ったり、放出したりして暖房や冷房をする機械。

よって外気温によってその能力が変わってしまうのが普通のストーブなどの暖房器機と大きく異なるし、ここを見落とすとエアコン暖房は破たんする。このようなエアコンの特性をしっかりわかっている設計者は実は少ない。

実際の例で解説をしてみたい。

例えば「緑の家」のU値は0.3w/m2K以下でこれを以前のQ値に換算すると0.9w/m2Kとなる。大凡Q値1.0とすると簡単なのでその値で計算すると延べ床面積140m2(39坪)で普通の厳寒期で外気0℃とすると3.4kwの暖房能力を必要とする。一方今年の厳寒期では外気-6℃で考えると4.2KWの暖房能力を必要とする。

次にエアコンを選定する。通常はエアコンをカタログから選ぶときに・・・一般地用が安く効率がよいので一般地用エアコンを選定する(長岡以南は寒冷地用エアコンがお勧め)ことが多い。

少しエアコンを知っている人は低温暖房能力をみて決めるがそれでは不充分。実際は気温が下がると新潟県では雪であり、その雪が室外機に取り付くと、能力は著しくさがる。

上のカタログであればAPFが7.7もある14帖用のRAS-X40H2を1台選ぶはず・・・。

確かに標準暖房能力が5kwで低温時暖房能力が8.4kwもあれば-6℃時の暖房必要の能力4.2KWの倍もあるので1台でも大変余裕があるように見える。しかし実はこれはNGな選定である。

下に実使用時のエアコンと負荷をグラフにした。

エアコン暖房で怖いのは、気温が下がると家の暖房負荷が大きくなるのにエアコンの能力は急に少なくなる特性。

これによると-4℃でエアコンは必要能力を満たさないことになる。

なぜか?カタログ値の低温暖房能力は設置条件が理想時における能力で、フィルターには全くゴミがなく、室内機風量は常に最大MAX、配管は4m以内でしっかり保温され、規定量の冷媒で、室外機は広く風通しの良い場所で且つ雪が降っていない時である。これを満たすエアコンの運転条件は実設置ではまずない。まず一度でも使えばフィルターにゴミがつき効率が低下。新潟県で2℃いえば必ず雪模様。普通は室外機が雪に埋まり霜取りの回数は増え効率がおちる。

更に室外機にしっかりした屋根がないとさらに暖房能力が落ちる。「緑の家」では屋根が標準で取り付くが、室外機に屋根を必ずつける建設会社さんは新潟県でもすくない。すると上のグラフは更にわるくなり下のグラフになる。

外気温が4度でエアコン能力がガクッと落ちるのは霜取り運転が始まるから。しかも同時に雪の場合が多く、屋根がない設置では着雪による霜取りの回数がふえるため効率悪化が大きい。

カタログ値では2倍もの余裕がありそうなエアコンでも屋根が無い設置では-2℃でエアコンの能力が足りなくなる。巷でエアコン暖房が新潟県では無理といわれる要因はこの事を設置者、設計者が知らない為におこる。

最近は床下暖房をエアコンで行う事が流行しているが、その選定を間違うと暖かくない床下暖房がの家ができあがるし、そういう事例も今年はみられただろう。

従って「緑の家」ではこのエアコンRAS-X40H2では1台で暖房出来ない時が有ることを理解しているので、もう1台を暖房用に選び、最低でも2台設置が「緑の家」の基本である。但しもう1台は冷房用も兼用するので、小さめの器機がふさわしく上のカタログからであればRAS-X22Hがもう1台有れば暖房も十分である。

このように冬期の90%以上をエアコン1台でカバーできるが、10%でも家が少し寒く感じられるようであればそれはエアコンの選定の失敗である・・・と私は考える。

次回は長岡市以南の多雪地域で選ばれる寒冷地用のエアコンについて考える。

その3に続く。

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