なぜ縦貼りの木の外壁の方が耐久性が劣り腐りやすいのか?・・・
それはまず10年前の下のブログをもう一度読み返してください。
↑は8年間に書いたブログですが、今検証しても3つとも言い当てている。
1.屋外暴露で薄い木は厚い木より腐りにくい
2.屋外暴露ではハードウッド(ウリン等)が腐りにくい
3.屋外暴露では木は小口から腐る
いずれも木の事を知っている人ならうなずくことばかり。
薄い木が腐りにくいのは歴史が証明している。
このブログを書いた当時(2010年ごろ)は、住宅業界はまだ杉やヒノキ、米杉をありがたがって使っていた人も多いだろう。今やウッドデッキ類の床はハードウッドしか使っていないはず。いつの間にか外構材をハードウッドに変えた建設会社もおおいだろう・・・。私は当時からハードウッドしか使えないと言っていた。
そして最後の・・・
「木は小口から腐る」
が今回の理由である。木口からの水の浸透量は他の部分と比べると著しく高い。そのため水分保持しやすく腐りやすい。木口からの水浸透性についての論文はこちら↓
「あっ」
・・・と声を上げた人も多いだろう。
そうなのである。
2階建ての外壁では木の小口が必ず多く発生するのが
「木の縦張り」なのである。
そのため縦張りの時には気をつかった加工や施工となり、コストが上がってしまうことがある。これについては後で説明する。
まず・・・
雨の降っているときに外壁にかかる雨のしずくを目で追った人は少ないはず。その動画がここにある。
雨は外壁に当たると外壁をなめるように下へむかう。この時に木の小口が上に向いてあるとそこにたっぷりの水が吸い込まれる。薄い木でも小口から吸い込まれた水分は深く浸透し、なかなか渇きにくい。そのため木材の腐朽菌が活動できる時間が長くなり、その結果腐ることになる。
このことがわかっていたので、昔の大工さんはこの湿度の高い新潟県において、木を横に貼ってしかもその小口を縦の抑え胴縁でほぼ計画していたのだ。なんと頭の良い納まり。流石に木しかない時代の大工さんである。でも意匠的にたて貼りにしたいときもある。
そこで縦張りでも許せる場合として、以下のすべてが望ましい
0.まず材が全て薄い事。出来れば7mm~12mmまで。
1.平屋のような高さがない建物で縦材が継ぎ目なしでいける場合。
2.屋根の軒の出がしっかりと大きいこと。軒の出のない縦張りは論外。
3.窓には大きめの庇で、窓下の木の小口に水がかかりにくい形態とする。
4.木口上向きができる場合は、上部木口を板金等で覆い水を切る。
5.4がコスト、デザイン的に不可の時、そぎ継ぎにして上り勾配を設けること。
6.5ができない場合は小口に防腐材を吸い込ませること。または小口をシールする。
である。
そぎ継ぎとは急な水勾配をつける事で、木口に水が浸透するのを少しでも防せごうとする木のつぎ方で、昔の大工さんならこちらが指定しなくともあたりまえのようにおこなう。
2階建の家で外壁を木のたて貼りで貼ると、6mもある壁の高さになるのでどうしても中間に継ぎ目が全ての部材で出来る。そこで上のような配慮するとコストがかかるのでしていない建設会社さんもあると思われる。
当方もこの事は7年前に↓のブログで案内している。
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2011/12/02/post-0/#more-5641
たて貼り全てが腐りやすいのではなく、同じコスト比較なら横貼りの方が腐る箇所を少なくできるということ。
外壁は下部ほど水が多く伝わってくるので1階窓廻りなどに特に注意をする。
縦張りは意匠的に目新しいが、上の事を知らないで形だけの施工になると、10年後にひどい目に合う可能性が横貼りより高い。
だから緑の家は
無難な、
無難な、
横張の木の外壁をまずは標準としている。無論ご希望があれば↓のような木口継ぎ目がでにくいたて貼りも設計している。