気密寿命の考え方と最新のデータ

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またまたヒット記事だと思う・・・。日経ホームビルダーさんの記事のスクリーンショット。記事元はhttps://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00154/00189/?n_cid=nbpnxt_mled_km

「緑の家」は超高断熱高気密住宅で全棟がUa値021~0.31w/m2kと大変高い性能になっている。気密性は完成平均値で0.6cm2/m2以下とこれも快適性及び換気効率からみて必要不可欠な基準内である。また耐震性は最低設計基準(県内)が耐雪1mで耐震等級2であり、これは関東などの雪の少ない地方にこのまま建てると耐震等級3の高性能住宅。

一方・・・

家全体の寿命の目標は・・・

6年くらい前から明示しているが・・・60年と考えている。

さらに地震の揺れを受けたときにどのくらいの気密性が保持できるかというと・・・

震度6強以上の揺れを受けたときには気密性の保持は難しい・・・と表明している。

ここで反論があると思うが、実際震度7クラス地震波を受けると、1階の床と2階の床のずれが3cmにもなるので、気密性を保持している気密シートと樹脂サッシがその影響を受けて歪みが必ず残る。仮に歪みがでにくい特別の建て方(免震工法等)をすれば良いが、その家が直下型地震で震度6強以上を受ける確率とかかるコストを天秤にかける必要がある。その結果「緑の家」では過大なコストかけて殆ど歪みの残らない家を造るより、歪みが多少残っても良いと割り切った建物をお薦めしている。
まずサッシ周りに歪みが残ってしまうと気密性は簡単に破壊される。そこで・・・サッシの交換が必要になるが、サッシ交換には外壁の取り替えが必要になる。この事で住まい手はそのサッシ交換をすぐ行わず、他の補修と合わせて今後の家の事を考える。

そして住人が出す結論は・・・ある程度の人が建て替えてしまうのである。

そんな調査(気密性ではないが)を行ったのが上の記事で紹介した下のグラフである。

小破で54%、中破で82%・・・驚いたのが軽敏でも29%の住まい手が建て替えもしくは更地としている事実。無被害の4%を軽敏から除いても軽敏でも4人に一人の住まい手が家を取り壊している。

熊本地震で大きな被害を受けた地域の建物の2年後の調査結果を日経ホームビルダーさんが記事にしてウエブにアップしており、その記事からオーブルデザインでグラフを作り直した。

この調査結果のソースは京大の五十田 博教授であるとの事。

グラフから・・・地震の被害を受け小破ですんだ建物でも、2年後には半数の54%の住まい手が更地にするか建て替えているのである。もう2年調査をすればもっと増えるだろう。中越地震や3.11の地震でも同じであるが、2年経過ぐらいではまだ建て替え市場の混雑期間であるため更に1年待たされることが多く、また建設費の高騰をさけ4年後くらいに建て替える人も多いから、まだまだ建て替える人の割合は増えると私は想像している。

「緑の家」では数百年に一度起こる大地震(震度6強以上)において中破以下の建物性能を保証しているが、その中破の場合はなんと80%を超える人が建て替えや取り壊しを行っている実態が、上のグラフから見て取れる。これは先進国の中では殆ど唯一といっても良いくらい地震が多く、カビの生えやすい日本に住む人の感覚であると感じる。この二つの理由で日本人の心理は兎に角、新しい物が大好きなのであると私は考える。

大地震に巻き込まれるかどうか確定出来ない将来の事で、歪みの出ない建物を大きなコストアップでつくるより、万一大地震が来たときに、建物は多少被害を受けるけれど、数年すむ分には問題なく、その間に今後の事をゆっくり考えられる時間が取る事のできる建物性能があれば良いと思う。だから地震性能は耐雪1.0mの耐震等級2(関東、関西では等級3と同性能)がスタートラインであると規定したのが「緑の家」である。

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