この建築技術2019年1月号には「緑の家」が標準採用する壁付けタイプの換気扇(「緑の家」ではロスナイを使用)の懸念する点が指摘されている。
壁付け換気扇の欠点はそのファンがプロペラ式であるため、羽の埃汚れにはめっぽう弱く、一年で風量が半分になることもあるとの事。
下はその該当文の抜粋(田島先生と南先生の会話)・・・
田島:「壁つけの問題はメンテナンスですね。もともとダクトの長さが短い。壁の中に人れるのが目的なので壁厚の分しか空気の流れる距離がないし そこを搬送すればいいだけの圧力しかつくっていないので,ちょっと詰まったりファンに汚れが付くと,風量が半年で半分になることがあります。実は,メンテナンスは壁つけのほうが大事なんです。
南:ファンに挨がつくだけで減っていく?
田島:減ります。プロペラファン(軸流ファン)が扇風機みたいな形でクルクル回るものです。船のスクリューみたいな形をしていますが,空気の流れも変わるので,その挨自体が空気の流れ道にポンポン飛んでた時期がありました。
である。
おっしゃるとおりである。このような製品は海外製に多く見られる。
ただ現在主流の国内メーカー製の熱交換型換気扇の壁付け換気扇は、プロペラファン(軸流ファン)ではない。
上の図の様にシロッコファンが一般的である(だから消費電力がある程度必要)。
一方「緑の家」の標準指定品では下図のようなプロペラファンを使うが、ファンの前にフィルターがない給気用の方だけはシロッコファンを使う。このシロッコファンは、ダクト式換気扇のファン形式と同じあるため、羽に埃がついても急激に風量がおちない。排気側のファンは軸流式のプロペラファンであるが、ファン直前にフィルターがあるので、羽に汚れがつきにくく、仮についても室内側から目視点検できる。
P-Q曲線でもわかるわかるとおり高静圧。
このように、しっかり読み込まないで鵜呑みにすると正しい情報を間違えて受け取る事になる。ファン形状はとても大事でP-Q曲線もファン形状で決定される。ただ・・・シロッコファンでも羽に汚れが多量につけば風量は激減する。過去の実例よりその時は換気扇の寿命であると思って器機交換した方がよいかもしれない。交換も簡単で壁つけ型は100Φの穴一つのみで接続するパイプファン型。取り替えは基本的に室内側からだけでOKである(フード、貫通パイプに著しい汚れがない時)。
コメント
Asama様
先日は質問に丁寧なご意見をいただきありがとうございます。
今回はウォークインクローゼットの換気についてご意見をいただけないでしょうか。
緑の家Aクラスレベルの高気密高断熱の家に全熱交換のダクト式第1種換気を使用する条件下において、ウォークインクローゼットを換気経路に入れる必要性はありますでしょうか。
当初、ウォークインクローゼット内に第1種換気の給気口を設けるつもりでしたが、工務店からは「通常ウォークインクローゼットは換気経路に入れる必要がない」、「1.3mほどの通路を挟んだ向かい側のトイレが排気経路なのでウォークインクローゼット内に給気口がなくとも自然に空気が動くので問題ない」と言われています。
しかし、吸気口もなく引き戸がついたウォークインクローゼット内部の空気が向かい側のトイレの排気で動くと思えず、悩んでおります。
Asama様のご意見をいただけないでしょうか。
さくさん
コメントありがとうございます。
>ウォークインクローゼットを換気経路に入れる必要性はありますでしょうか。
とても良い質問だと思いますのでわかっていると思いますがすこし丁寧に・・・。
一般的には必要ありませんし、シックハウスの法律上も必要はありません。
先日ブログで紹介した換気の目的をもう一度記載すると
A 空気の清浄化のため
B 冬期の結露防止のため
です。
まずBですが、
一般的に考えて人が常時いることはないクローゼット内で湿気の発生源はありません。
大きな洋服ダンス内と同じと考えると、結露防止のための換気は必要ないとわかります。
次にAですが、
こちらも同様で居室ではないので空気の正常化(匂いなどの汚染物質の排除)は必要ありません。逆にもし防虫剤を使う空間ならなおのことその空気をクローゼット外に出す必要はありません。
ですので通常は換気経路外で換気の必要性はありません。
感覚的に換気しないと湿気がこもるような想像しがちですが、これは今までクローゼットを暖房区域外としていたために起こる高湿化(高相対湿度化)を想像するためであり、家中暖房が目的でその手段として高断熱高気密をする事がわかっていれば、クローゼットも「冬期の温度維持が大事」で、換気は必要ないことがわかると思います。
Asama様
とても迅速でわかりやすい説明ありがとうございます!
Asama様のおっしゃるようにクローゼットは湿気がこもるものという先入観がありました。湿気がこもるのは従来型の個室ごとの暖房によるものだったのですね。
確認ですが、クローゼットの内部は従来、下記の状況だったと考えてよろしいでしょうか?
①暖房された居室内の高温の空気が加湿器や生活による水蒸気の発生で、空気の絶対湿度が増加
②暖房区域外のクローゼットに①の空気が侵入。空気の温度が低下して、相対湿度が増加し、『湿気がこもる』状態になる
確かに、人がいないクローゼット内で絶対湿度の増加は考えられないはずですし、空気の正常化も必要ありませんね。
高レベルの高気密高断熱住宅で全館暖房の前提であれば、クローゼット内の温度を居室内と同じにして全館で適切な湿度を保てばクローゼット内の高湿化は換気なしでも十分担保できそうだと理解できました。クローゼット内の温度上昇のためにルーバー付きの引き戸を採用しようと思います。ありがとうございます。
なんというか、従来の住宅の常識にまだ縛られていたようでお恥ずかしいです。。。
しかし、となると、クローゼット内の窓は注意が必要ですね。
クローゼット内で居室外だからと窓性能を落としたり、逆に断熱性を重視してハニカムシェードなどで窓周辺の空気の動きを止めると結露を誘発して、上がらないはずのクローゼット内の絶対湿度を上げてしまうことになりそうです。素直に窓を無くすか、断熱性能の高い窓を使って、通常のカーテンを使うのがよさそうですね。
すべてさくさんのおっしゃるとおりです。
Asama様ありがとうございます。
これでモヤモヤが晴れました!
浅間先生
ありがとうございます!
霧が少し晴れたような気がします。
浅間先生
質問です。
ロスナイダクトレス換気に、局所換気併用(トイレ、浴室)では、排気形レンジフード同様に局所換気に対して吸気口を設ける必要があるのでしょうか。
それとも局所換気排出分は、ロスナイダクトレス吸気側から排出した分だけ多く吸気され、補えるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
お考えの通り、ロスナイの給気が一時的に増える事で専用の給気口設ける必要はありません。