梅雨時の空調・・・除湿の奥深さ

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この3日間で読者さんから

「東芝のエアコンで湿度管理がうまくいかない」

とのコメントを頂いております。
確かに梅雨時の空調は、

顕熱負荷が大変少ないのに潜熱負荷が大きい・・・

という特殊な状況になりますから、普通のエアコン使用方法では湿度が下がりにくくなるでしょう。
ですので少し整理してみます。ただし、現在通常業務がとんでもないくらい山積みされていますので簡単に端折りますこと・・・お許しを。

事実関係の再確認をしてみます。

梅雨時と梅雨が明けた真夏の温湿度を新潟市でみると・・・

A・・・2014年 7月10日  平均温度24.7度 平均湿度85%

B・・・2014年08月10日 晴れ 平均温度28.2度 平均湿度76%

※平均温度と平均湿度が同じ時間ではなくこのデータがよいかは疑問。但し簡単にする為の条件とする。

Aの空気中の湿気量は概ね19g/m3
B  〃             21g/m3

とほぼ同じくらいの湿気量です。これ自体驚きで梅雨が真夏と同様暑いわけですし、晴れている真夏のほうが更に湿気があるという再認識・・・。

つまり絶対湿度を考えると除湿する量は変らないはずなのにうまくいかない理由は、そのエアコンのメーカーの考え方にありそうです。

ご存じ再熱除湿は、冷媒を2つに分け、同じエアコン室内機に冷たいところと暖かいところを造ってそこに室内空気を通して温度を一定に保ちながら湿度を除去する仕組みです。

この時の別ける比率が重要なポイントなりそうです。つまり頂いた体験が事実なら、東芝のエアコンの再熱除湿は、真夏に除湿する事に重きをおいて、暖めるほうの能力より、冷やす能力を考えている仕組みになっているようです。ご存じの通り東芝のエアコンは当事務所でも使っておりますが、梅雨時でもある程度相対湿度が下がります。これは顕熱負荷が皆さんの家より高いので、再熱除湿の能力をしっかり引き出していると思われます。もし顕熱負荷が低ければ、暖める能力以上に冷やす事は出来なので冷媒温度と送風量も多くできなく、結果除湿量を絞り目標の相対湿度にはならない事になるでしょう。

対策として・・・

C・・・顕熱負荷を故意に与える

D・・・エアコンの配置を考える(床下冷房エアコンの採用)

E・・・湿気発生量を限りなく少なくする

F・・・再熱特化機種を選択し、台数を増やす

等が考えられます。

Cの顕熱負荷を多くするとは、例えばコメントにあったように除湿器をONする事です。除湿器の消費電力は全て熱になり、且つ潜熱を冷却除湿した時に発生する熱も顕熱負荷になり、一石二鳥です。またカーテンを積極的にあけ、日射遮蔽を止める事でも顕熱負荷は増え除湿量も上がるはずです(なんか本末転倒のような・・・)。

Dは「緑の家」ではスタンダートな方法で、湿気が低くならない時は、床下エアコンを再熱除湿モード(除湿強運転)で深夜8時間動かします。すると床下内は温度が下がり不快でしょうが、居住区には関係ないので連続運転可能で、翌朝には低い湿度状態で階上のエアコンを運転で出来るます。これを実践されたのがこのブログで紹介した「緑の家」です。

Eは全熱交換換気扇の採用と、浴室内で戸を閉め排気状態で洗濯物を乾かすなどで湿気発生量を低くすることです(湿気除去量に余裕があればCSでもOKでしょう)。

Fは東芝の再熱除湿のアルゴリズムが顕熱側有利になっていると仮定して、東芝より再熱除湿の生みの親、日立のエアコンを1台採用する事でしょうか・・・。実は日立のエアコンを今秋「て・こあ」に設置したので再来年梅雨には試せそうです。今はなきサンヨー製のエアコンの再熱除湿も潜熱側に振ったよい機種でした。しかしパナソニックは再熱除湿は東芝よりあまりよくありません。このあたりはメーカーが公表していないので私にもはっきりわかりません。よって確実なのは除湿用エアコンの台数増やすのです

と言うことで、「緑の家」では暖房用エアコンを最低2台、冷房用を2台(1台が2階設置でメイン1台が床下暖房用を床下除湿用として使う)と言うことでリスクを解消するように設計しております。このように必ずエアコンは複数台設置が基本です。

最後にどのくらいの湿気除去
必要かを大雑把に考えてみます。梅雨時室内温度27度湿度55%を維持する為に

家族4人の排出する湿気量12L/日(家事・洗濯・料理・風呂)として、150m3・hの換気による湿気流入を排出する量は顕熱換気15L/日とすると、合計27L/日が必要です。これは大変な除湿量です(C値2以下の家中空調の家)。

一方27度でも室内湿度を60%まで緩めると、一日で除去する湿気は22L/日まで下がります。また温度も下げ26度で65%まで緩めると17L/日まで下がります。私はこの17L~20L/日くらいの除去でよいと思っておりますが、人によっては28度の55%がよいと思う人もいます。ほんの少しの差ですが、湿気除去量は10/Lも変化します。ここをしっかり考えてどこを狙うのかによってエアコンの台数や配置が変わるはずです。多分27L/日はどのメーカーのエアコンでも一台では難しい大きな除湿量です。

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