9年前に書いた下のブログ
蓮潟の家の構造加工図をチェックしていて通し柱の種類が長期優良住宅に合致しているか、その根拠を改めて確認したかったので過去のブログをみた。
下は長期優良住宅の根拠となる「日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説」通称「緑本」と呼ばれるバイブルである。
ご存じの通り長期優良住宅では劣化の軽減に関する事項では等級3(最高ランク)が求められる。
一番簡単な方法として
柱は通気工法を採用していれば「杉の120mm角」を使えばそれでOK。また筋かいや構造用合板、間柱は杉だけではNG。ヒバやヒノキ、ベイヒ、ウエスタンレッドシダー等のD1種の中でも特に耐久性の高い樹種(特定D1樹種)のみOKとなる。その根拠はしたのとおり。
で問題となるのが構造用合板である。特定D1樹種で造られた構造用合板が市販されていないので薬剤塗布をする事になる。しかし薬剤塗布ではその上にタイベックが触れると問題となる。また間柱や筋かいもヒノキで造るとコストがかかる(筋かいは実質上小節程度になり高コストになる)ので難しい・・・。そこで構造用合板の代わりに無機成分の多い「ダイライト」や「モイス」を使用することが巷では多い。しかしこれら建材合板は壁倍率の最高で4しかないので、窓の多い耐震等級3は厳しい。そこで筋かいの併用をする家もあるはずだが、その時に筋かいはヒノキ等でなければならない。
「緑の家」の柱は通気工法採用しているが、ヒノキではないし杉もまれ。多くは赤松の集成材となる。また合板も薬剤塗布すること無くそのまま使う。
えッそれでは長期優良住宅の基準外では?
いいえ・・・
実はわざと上の抜粋に線で強調しなかったところがある。それが・・・
である。地面から1m以内にある木材類が対象で1mを超える木材には該当しない。「緑の家」の基礎は地面から低い基礎でも881mmであり、通常は1050mmとなる。よって120角の土台より上にある木材(柱、間柱、筋かい)は・・・1mを超えるのである(881+120=1001)。よって薬剤塗布や樹種指定から外れるので何を使っても耐久性の高い構造とみなされる。
やはり・・・「緑の家」万歳!と言いたくなる。
つまり薬剤等の混入をまるっきり気にする事無く、床下に温風を吹き込んで部屋に戻す事ができるのである。
もう一度いう。
地面から1m以内にある間柱や筋かいは、杉では長期優良住宅にはならない。ヒノキ等の特定D1樹種を使わなければ・・・通気工法であっても長期優良住宅ではない。杉なら薬剤塗布が必要で、仮にホウ酸塩でもよいから薬剤を塗布する必要がある。しかし薬剤塗布は必ずミスが起きる。例えばアンカーボルトの土台穴内に塗る事ができるだろうか?まず無理ということがわかるが、白アリにとって塗っていないところを選ぶこともある・・・。
アンカーボルトは必ず現場で穴をあけて直ぐに蓋をする。
しかし土台が基礎と接している所は穴が空いたままでしかも薬剤も塗ることができない。
基礎パッキンや、基礎気密シートを食べて土台の下に入らないだろう・・・ではちょっと厳しいと思われるが、それくらいはよいだろう。