彼岸の日と換気は測ってなんぼ

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3月20日はお彼岸の中日で春分の日となる。わかりきったことだが、夜と昼の時間が同じくなる・・・が、日が暮れても空が明るいし、日が昇る前でも空が明るいので、日の入りと日の出が同じ時間でもおなじという実感はなく、晴れであれば同じと人が感じるのは春分の日より10日間速く、秋分の日より10日間おそいと思われる。つまりちょっと明らむと夜明けと思い、薄暗い程度ではまだ日はあると感じる。

このように「日の出とは遠くが見渡せるくらい明るくなったとき」と条件を変えると暦どおりにいかない事がある。人はこれを理解していないと正しく状況を判断しているとはいえないのだろう。

そこで換気のことだが・・・

以前も伝えているが、「緑の家」の標準換気システムは全熱交換する換気システムである。2014年くらいまでは熱交換しない第一種換気システムを標準としていたが、超高断熱の住環境下では個室に採用すると肌寒い空気を感じる・・・というご意見を過半数頂いたので熱交換型に切り替えたのである。

どのくらい寒いか・・・を数値で表すと外気温が2度であれば2人の換気量50m3/h必要な寝室では350wの冷気を生む。350wの冷気とは6帖用エアコンの最小冷房運転と同じであり、たいした冷気ではない。しかし真冬に冷房でエアコンが動いていると想像してもらえばわかるが、じっとしているととても肌寒い感じがする。だからご入居後半数以上の意見が寒いとなったのである。

そもそも換気量をシックハウス法のみでしか考えない場合は、8帖程度で20m3/hもあれば法律上はOKなので140wの冷気となり、350wのような寒さはないと思われるが、これは衛生管理上正しい換気量ではないので論外である。つまり条件が間違っており、まずは適正な換気量と言う条件で判断する事が議論のスタートラインである。第三種換気の場合は、この換気量について特に注意が必要で、気密性が0.9cm2/m2以下で無いと計画された通りの換気量には届かず少ない量しか給気口から入ってこない。一度給気量を測ってもらえばわかるが測ってさえいない事例がほとんど。また外気温が低いと2階の給気口からは排気されてしまうほど温度差換気が優位になる。この場合、給気口から排気されるので寒いはずがない。このように一個所ずつ給気口からの新鮮空気量を測ることはまず物事を正しく理解する大前提となる。

ダクトレス(壁付け給気)のSAは、施工と計画ミスがない構造なのでSA(給気)をはかる必要性はないが、ダクト式や第三種換気の給気(動力のない穴だけのもの)は測ってなんぼなのである。

上写真にあるとおり2つのBOXで行っている。

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コメント

  1. Asama より:

    赤林先生へ

     コメントありがとうございます。

    前返信は事務所にいなかったので測ることができませんでしたので、今日事務所に来て追加でスケールの入った写真を載せました。確かにチャンバーのほうは25cmではなく23cmでした。コンパクトのほうは15cm程度です。またチャンバー奥行きは記憶違いで13cmくらいです。これ以上大きいと現地で使えないので試行錯誤でこの大きさにしております。
    ご指摘頂きありがとうございます。

  2. kei より:

    日頃からブログにて住宅について勉強させていただいております。これから住宅建設を考えるにあたり、換気について質問させてください。
    2014年頃よりダクトレス第一種換気を採用しているとの事ですが、ブログを見る限りロスナイを標準とされているのでしょうか。他、採用されているものは有るのでしょうか。

    • Asama より:

      Kei様

       質問頂きありがとうございます。

      >ブログを見る限りロスナイを標準とされているのでしょうか。

      そのとおりでダクトレスはロスナイとダクト式換気を両方標準としております。

      >他、採用されているものは有るのでしょうか。

      上の2つが無難でお勧めです。
      詳しくは↓(5話のうちの3)
      https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2018/07/12/post-17588/
      のをお読みください。シリーズは全部で5話あります。

      • kei より:

        返信ありがとうございます。
        ダクトレス第一種換気を採用しようと検討しています。しかしスティーベル等が高価なこともあり、採用し辛い状況でしたのでロスナイの情報を得られ良かったです。ロスナイ自体かなり大きさがありますが、施主様方は気にされていないのでしょうか。生の声を聴いておられると思いますので、教えて頂ければ幸いです。

        • Asama より:

          kei様

           仰せのとおりロスナイは音とデザインが優れません。特に音はダクトレスがほとんど聞こえないのに対し、空調の音(モ-ター音とオア風切音)がします。音に敏感な方はダクト式をお勧めしております。音が静かなダクトレス(相互運転)も市販されておりますが、本体が小さく本体の音が静かなダクトレス換気扇は静圧が高くないのでお勧めはしておりません。

  3. 赤林伸一 より:

    この写真の風量計?はどうやって風量を測定しているのでしょうか。

    • Asama より:

      赤林先生
       いつもコメントありがとうございます。

      風量の測定方法ですが、正しい風量の測定は大変難しいので次の通り行っております。
      あらかじめ事務所内で定格が25m3/hと50m3/hと75m3/hのパイプファンを3コ用意し無負荷状態で、3辺約25cmくらいのBOXに漏れないように風を送り込み、風速計分の穴をあけ各風速を写真の風速計ではかります。次ぎに現地でこのチャンバーが取付け不可の場所用にコンパクトな吹き出し口を付けその風速もあらかじめ測っておきます。この2つを現地に持って行ってどちらかを使ってはかります。
      私が計画を行うSAの風量はほとんど一カ所から20~25m3/hと45~50m3/hの2つなので、先ほどと同じ風速になっていれば25m3/h、45m3/hの風量があると判断します。