瓦葺きの法(告示)改正が待ったなし

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来年から瓦屋根の施工方法が変わることは周知のとおり。これについては後の方で説明するが、最初は瓦葺き屋さんの意識の問題について。

この問題をブログで書こうと思ったのはある業界専門誌にあった軒の出のない瓦屋根の雨漏り問題を見たとき、「そうそう」と頷いてしまったから。

古い施工方法しか知らない特に和瓦葺き屋さんに多い事であるが、軒先の雨仕舞い全般が自分の範疇と考えていない施工をたまに目にする。

下はある過去の現場の屋根工事の写真である。

軒の先端に水切りの板金がない。図面には記載があるし、仕様書にも瓦メーカーの標準施工図に準じることして、軒先に水切りがある納まりを記載している。しかし現場に来るとこれがまだない(瓦より先に施工するのが普通)。更に・・・瓦屋根の防水性の要である「ゴムアスルーフィング」が屋根先より引っ込んでいる(この点が上の業界専門誌の雨漏り原因と同じ)。これでは暴風時に瓦隙間から浸入した雨水がこの屋根先端で破風板内部に入り込んで20年経ったときに、先端から腐朽し始めることになる。

どうも古い和瓦が主だった施工の考えを、そのまま現代にも引き継いでいる感じである。よって瓦屋根文化が継続している地域ほど注意が必要。特に「緑の家」では破風、鼻隠しは板金で覆うことにしている。そのためこの軒先から鼻隠しまでの納まりは重要。この現場では「直す事が難しい」との屋根屋さんを何度か説得し、最終的には下の写真のように水切りを差し込んで頂いて、元の図面どおりになった。

白い矢印のルーフィングを先端まで伸ばしてもらい、ピンクの水切りを差し込んで本来の水切りとした。

瓦屋根屋さんは過去に行なった施工のプライドがあるようで、雨水は瓦で防ぎ、暴風時の多少の雨水浸入は、軒先なら家内部に入るわけでもないので気にしない・・・という感じである。実際古い家の瓦屋根を補修するにあたり、どこが腐蝕しているかというと、軒先が圧倒的である。これはすが漏れや雨樋の破損の影響も受けやすい箇所なので当然である。このため、軒裏で見えなくなって修繕時期がわからなくなった現代の屋根の軒先は、この軒先に対し最も防水性に留意しなければならない箇所となる。

当然しっかり施工方法理解している瓦屋根屋さんも当然いらっしゃる。下は上の工事の6年以上前に行なった瓦屋根であるが、水切り板金は既にある(のぼり部分は瓦ともこれから)。

ピンク矢印のように水切りは差し込み施工したところ。

瓦屋根は60年以上は全く問題ないとの話があるが、それは瓦自体の素材ことで、屋根全体ではそのように考えることはない。このブログでも何度か紹介しているとおり、現代の瓦屋根施工は釘で留めつける。1世紀前の施工では釘を使わないで葺いていたが、大正末期以降引っかけ桟瓦となり多数の釘が屋根を貫通し且つ戦後には薄杉板重ね張り下地はなくなり、野地板だけになった。更に防水紙(フェルトから始まりルーフィングとなった)に頼ることで、瓦屋根であっても30年から40年の寿命になっている。そして来年から瓦全数を釘で打ち固定するすることで、益々ルーフィングの寿命が瓦屋根の寿命となるだろう。

さて・・・来年施行される瓦屋根の釘全打ちの新施工方法を紹介したい。これは台風被害の少ない日本海側(新潟県も)にも適用される。

屋根全面釘打ち。このため平場が大きい屋根ほどコストも上がる。

このパワポで工務店等の工事監理者(設計者)による・・・に対し違和感があるけれど、これが現実である。しかし工事監理者=現場監督ではない事は確かである。

全数釘打ちをしないと施行令違反となるので注意したい。よって工事監理項目にも屋根の項目がふえている。とはいっても、工事監理者が直接目視する事は不可能(次から次へ釘を隠し重ねて重ねて施工されるので屋根工事中一緒にいないとわからないため)。行政のフォーマットでも写真の確認が基本となっている。

今回の法改正に該当する屋根は所謂瓦屋根(焼き瓦、セメント瓦)。スレート、金属葺きは既に対応済みである。

通常は防災瓦を使えば釘1本だが上の図のように太平洋側を中心に釘2本で緊結する瓦と地域もある。

瓦の枚数以上に釘で屋根に穴をあける事になり、より防水シート(ゴムアスルーフィング)の重要となる。透湿性のあるルーフィングはまだ釘のシール性が不確実あり長期維持性について実績がないので、現時点ではできれば避けたい。当事務所では瓦葺きではコストが許せばホールレス工法がお勧めである。更に60年耐久性能のあるマスタールーフィングであれば60年ノーメンテが可能になる可能性が高い。

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