10年以上超高断熱高気密住宅に住んだオーナー談。その2 太陽光発電パネル設置のリスク

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これは雪止め金物の設置跡。当然素材は太陽光発電パネルの設置金物と同じどぶ付け亜鉛メッキ。

先日ご紹介した新潟で標準的につかわれる雪止め金物を10年設置してそれを外した後に残った錆の跡。実は太陽光発電パネルを設置するときに使われる金物と同じ素材のどぶ付け亜鉛メッキである。今までこの現象を知らなかったのは、雪止め金物を外すことは30年以上経た葺き替え以外なかったため。

この錆が、雪止め金物由来でその錆が塗膜の上に載っているだけか、それともガルバニューム自体の錆なのかを知るためにもう一度屋根上で調査した。

すると上の写真のとおり、そのほとんどが雪止め金物の錆のようで、錆部分を濡れた布でこすると錆は落ち、その下に屋根のガルバニュームの塗膜が現れる。つまり、この赤錆は雪止め金物の鉄粉類であることがわかる。

その一方その部分をアップすると・・・

塗膜が膨れ始めているように見える箇所もある。

塗装膜は荒れて膨れている部分も確認できる。この下はアルミと亜鉛の合金メッキ層であり、このメッキ層が錆びると白錆が生じる。ちょうど塗膜下でこの白錆が発生している状態ともいえる。つまり赤錆は確かに屋根のガルバニューム素材の錆ではなく、雪止め金物の錆であるが、そこに接しているガルバニュームも無傷ではすまないときがあるということがわかる。常時金物が接していないところは雪止め金物があってもこのような現象はなかった。

このような雪止め金物は、雪止めアングルを設置するために最も一般的な設置方法で、アングルで雪止めする建物の90%以上はこのような設置である。このほかの設置方法は私の知る限りでは雪止め金物しかなく、その金物は耐雪1mを超える地域でつかわれることは通常ない。よって雪国ではやむえない避けられないリスクである。しかし太陽光発電パネルのほうは屋根の上に設置しなくても困らないオプション的なもので、なくても全く困らないのでガルバニュームの屋根は何にもなくてよいのが雪国地域以外のデフォルト。つまり雪止めアングルが必須な雪国以外は太陽光発電パネルを設置しなければ傷む要因はない。

SGLになると40年以上ノーメンテと言われているが、この写真を見る限り太陽光発電パネルを設置すればこれは当てはまらない(寿命は縮まる)と考えても過大評価とはいえない。

20㎏/m2もあるパネルを台風で飛ばないようにかしめる金属の爪はゆうにメッキ層まで傷をつけることは想像できる。それでも穴あけ設置は論外。

こちらがガルバニュームやSGLの屋根にホールレスで太陽光発電パネルを設置しているところであり、雪止め金物よりもっとガルバニュームを傷ませる「挟み込み式」。ガルバニューム鋼板を爪で挟んで固定するので、その爪は塗膜をやすやす突破し、メッキ層まで到達する。しかも金物にかかる重さは雪止め金物より約20㎏/m2重く、太陽光発電パネルの設置架台下のガルバニュームに対する影響が雪止め金物より大きい。

最近はガルバニューム鋼板よりさらに高耐蝕性があがったSGLだが、この爪に鋏こまれればメッキ層が強くなっても影響が大きいことは変わらない。例えば新車のボディーで防錆メッキの上に綺麗に塗装された車体の金属板金に、金属製の鋏式クリップをねじ締めできつく取り付ける感覚である。このような行為は自分の車に自身でできるとは思えず、人の車なら躊躇なく挟み込めるという感覚といったほうがよいか・・・。

くわえて説明するなら、パネル下のガルバニューム部分には雨があたることはぼない(雨の通り道のみ流れる)。雨に当たらない部分のガルバニュームが早期で白錆が出るのは、ガルバニュームを貼ったことがある人ならわかるはず。つまりパネル下も他の部分より白錆のリスクは高くなる。

では浅間は一般住宅の新築屋根に太陽光発電パネル設置に反対なのかと言われれば、何度も言うように投資である以上、業界人は正しく説明する義務がある。メリットとデメリットを知ったうえで住人が設置するのは賛成である・・・ということである。私自身の管理する家もこのようなリスクを承知で太陽光発電パネルを設置している。一方投資ではなく売電はほとんど考えず、自家発電という住宅の設備として太陽光発電パネル設置とする考えがある。この場合は多少違った価値観なのでリスクの感じ方が違うと思う。

ピンク矢印部分が屋根の面と接触している台座部分。接触圧力は面積からこちらのほうが高い。

また今回新たにわかった事は・・・

以前の説明では、↑写真のように横葺きのガルバニュームより立平葺きのガルバニュームのほうが、この設置金物との接触部分が錆びたときの影響は少ないといったが・・・今回の件で屋根と接触する台座の部分の条件は同じである以上、やはり同じリスクがあり、優位性がなくなったこと知っておく必要がある。

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