杉っていいね。松美台の家から

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この色合いと艶が杉の魅力

建築の世界に入ったばかりの頃から30年くらいは、木と言えば「ヒノキ」が一番と思っていた。しかし10年くらい前に「て・こあ」に携わることになり、カビの生えにくい木として、また加工しやすさ、肌さわり、色、木目、控えめな香りそして価格・・・など触れれば触れるほど「杉」の魅力に取り憑かれた。

2000年に設計した石山の家は贅沢にも杉の磨き丸太一本もので吹き抜けの手すりとしている。

思い起こせば、1998年の事務所設立当初から内装材は床を除いて杉が殆どだった。手すりの横棒なんて杉の磨き丸太の一本ものを使っていた建物もあった。壁でも杉の縁甲板の縦貼りを使っていた。しかし当時はそんな杉の良さは半分もわかっていなかったと思う。

当時杉の良さは半分くらいしかわかっていなかったが、壁になどにもよく使っていた。

しかし今は、自身の手で杉の加工や仕上げをする事もあるので20年前より杉の良さがわかる。だから・・・

巾210mmで長さ4m、厚さ27mmと厚めの造作材が20本以上。枠材として切るのが勿体ないくらいの良材。

現場に立ち置かれた杉の無節の造作材を見ると、それだけで身震いするほど愛おしくなる。しかしこんな巾広21cmで長さ4mで厚さ27mmの厚物造作長尺材20枚以上との贅沢仕様をどこに使うのだろう・・・と思っていた。自分の設計した建物なのに直ぐに浮かんでこない。思わず勝山さんに聞くと「窓枠ですよ。浅間さん」。

あぁーそうか、いつものように木取っていないので(枠に応じて長さを切ってセットにすること)こんな立派な杉の材料をどこに使うのかと舞い上がった。

オレンジがかった赤みだけの部位。これが最も杉らしい色。

杉の木はカンナ掛が難しい。そもそも私にまともなカンナ掛が出来るはずもないが、見るだけならわかる。幅広の材をこんなにムラ無くカンナ掛をするためには昔は相当な熟練した腕が必要だが、今は超仕上げカンナといわれる刃渡り300mmもあるカンナ刃を使って自動で送り一回で仕上げる。施工会社であるヨシダハウスさんは、少し前から自社内で仕上げる加工場がありながら全ての造作材の仕上げを外注家具屋さんに依頼する。そのように切り替えてから窓枠をはじめとする杉の造作材の仕上げの水準が上がった。さらっとした表面に鈍く光る艶が杉の特徴。米ヒバの超仕上げはまさしく水もしたたるようなとろとろの均一な艶が特徴だし、ヒノキはその上品ななめらかさは杉より一段上と思うが、杉の柔らかい艶と色と模様の出具合は私を虜にする。

極小節が入るが、無理矢理無節にするように不自然な板目引きだけの木目柄より好感がもてる。

そして私は杉で好き嫌いの分かれる「白赤」材も大好きであるし、濃い黒芯の色も好きである。こんな多彩な色が杉の魅力でこれは他の木にはまずお目にかかれない。下は杉の虜になった「て・こあ」である。

やばい色  「て・こあ」の素材色
取り払われることなくそのまま使われる決定がされた古い床。こんな古い床が残っていること自体凄い事。巾は30cmもある。 こ...

昨日はこの杉材を見るために「松美台の家」に行ったわけではない。壁の気密シートが貼られたとのことで、気密シートのチェックに伺ったのだが、玄関先においてあったこの杉にしばし魅せられてしまった。

この窓枠だけの杉材の量を見ただけでも、「緑の家」って国産無垢材の使用する量は大きいと改めて感じる。

肝心の気密シートチェックはいつもながら完璧に近い。吹き抜け梁廻りの気密テープの張り方一つでも何か幾何学模様ように美しい。最近は気密シートを貼らずに吹き付け樹脂製断熱材で気密シートを省略する施工方法が多く行なわれているが、高気密高断熱の原点はこの気密シートとGW等の充填断熱のセットである。

この組み合わせは半世紀変わっていない。そして今後も基本形となるだろう。

この施工方法は半世紀も変わっていないほど実績がある。運悪く30年ほどで取り壊された高断熱高気密家の解体現場でも、変化はほとんどない程安定した組み合わせである。その証拠につい先日自宅の階間空間(2階床下の懐)をのぞいた時に、気密シート及びブチルテープの無劣化と接着部分が未だに当時のままであったことを確認している。

1992年に竣工した拙宅が今でもよい実績となっている。

天井断熱のため上の写真の格子下地はこの後直ぐに見えなくなるが、これがデザインであってもよいほど綺麗。多少の埃だまりを許せるオーナーさんにこんなデザインもお勧めしたいほどこの規則性に何かひかれる。

再び杉の話に戻るが、最近拙宅の洗面台はすべて杉に変えた。壁、床、天井・・・そしてカウンターも杉の無塗装である。肌と心がとても気持ち良くケアできる。

すべて杉材の洗面台。鏡と水栓取手は仮仕様。後日取り変え予定。カウンターの無塗装仕様は挑戦的で流石にお勧めできないが私はこれが気に入っている。

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コメント

  1. porco より:

    杉と言えば越後平野ので昔活躍した板合わせ舟も基本的に3枚の杉板の組み合わせ
    で作られています。ビックスワンのカナールに浮かべて展示していますので興味
    のある方は是非ごらんください。温かくなったら試乗会も計画しています。
    詳しくはキガタヤプロジェクトのフェイスブックをご覧ください。

  2. hachikoku より:

    本日、家の前に工事道具を積んだ軽が停車し、見知らぬ工事業者の女性が拙宅に来て、”近所で外壁工事をしている業者ですが、社長から外壁がだいぶ傷んでいるようですが築何年くらいか聞いてきてと言われました”といきなり聞かれました。
    無塗装の杉外壁が一般的でないのかどうかはわかりませんが、築3年の拙宅には大きなお世話なので何も回答せずに引き取っていただきました(何かセールスしたかったのでしょう)。
    少し前の話ですが、秋口に外で作業をしていたら、お父さんと散歩していた小学校低学年くらいの女の子がお父さんに向かって拙宅を指をさして”素敵な家具の(多分、外壁の事)お家だね”と話している場面を体験したので、色々な見方があるものです。
    杉に関する話題がタイムリーなのでコメントしてしまいました。