基礎配筋検査 原村の家

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木造住宅の基礎工事ではなくRC建築物に見えるほど大がかり。この時点で既に斜面なりの造形でかっこよい。

昨日長野県諏訪郡原村で建築中の「緑の家」に配筋検査2回目に伺ってきた。現場付近の家の殆どでは、敷地を平らにしそこに建築しているが、写真のとおり斜面をそのまま活かした計画にしているために、基礎形態は複雑になるが自然との一体感は確実に高い。斜面と言えば・・・

こちらの写真は諏訪南インターに向かう帰り道の風景。これで結構急な下り坂。この地点で標高1050mである。

諏訪南インターへ現場から帰るこの写真の道路・・・これ結構な勾配で下っている。これは運転していてもよくわかるのであるが、行きの時にこの道をとおると上っている感が全くない。まるで不思議絵にだまされている感じである。多分この道路沿いの畑の斜面が平らにできてておらず、それが錯覚させるのだろう。アクセルを緩めると、急に減速して確かに負荷がかかっているのがわかる。

さて・・・基礎配筋であるが、

敷地の中で低い場所から見るとこのように型枠は2.6mを超えるほど高い。まるでRC建築の1階に相当する。しかしこの半分が最終的に土に埋まることになる。

ピンク部分が土に覆われる。

凍結深度850mm以上のため、基礎根切り底は地盤面下1100mmにちかい。そのため最終的にはピンク色の部分が土に覆われる。基本的に地面下には地震力による水平力が働かないので、これだけ高くても基礎配筋もいつものシングル配筋となる。

区画は6個に分けられており、足場を使って各区画に入る。

今回の基礎は布基礎・・・というより布基礎しかできないくらい深い基礎底になる。構造とは別に土間コン床を設けたほうが、周囲の地盤面より確実に高さ位置を自由に決めることができる。

そして基礎は両面立ち上がり断熱としている。外側の断熱材は耐白アリ剤が練り込まれ、水分の吸収が最も低いスタイロフォームATで厚さは外100mm、内側は高性能のスタイロフォーム60mmと土間コン上はネオマフォーム60mmとなる。

実際見るとスタイロフォームATの100mmで斜め切りは圧巻。止水板もしっかり施工されている。

なぜスタイロフォームなのかは、ここに限らず地面はいつも水で濡れている。その水分を断熱材が吸い込むと断熱性能が著しく落ちることが知られている。そこで断熱材の中で最も水分(湿気)の影響を受けにくいのがこのスタイロフォーム(XPS)になり、ビーズ状のEPSより更に湿気の影響が少ない。

ピンク色矢印部分は地盤面下2mの位置であるが、常に水が流れ出ていることからわかるとおり地面の中に埋め込まれる断熱材は水分(湿気)に強い素材が必須となる。

寒冷地での基礎工事は温暖地と全く違う計画を行なわなければならないが、耐白アリについては、同じ寒冷地の北海道とはちがいやはり優先的に行なう必要があるとの認識。被害例を検索するとこの標高1000mを超える原村でもあることがわかる。よって何時もように白ありが露出するように目視できる基礎としている。

熱橋にも注意しつつ白アリ予防対策も行なう。
身長180cm以上の人でもすっぽり入ってしまうほど深い基礎。

基礎配筋検査は大きな問題はない。これは配筋種類は1つで高さが違うだけなので間違いようがないからである。その割に時間がかかったのは、6つに分かれた区画に入る度に不安定なはしごの上り下りがあるため。

これだけ高さのある基礎立ち上がりであると、基礎巾の管理も大変である。特に基礎立ち上がりの最上部の巾は常に狭くなりがちな部分。ここは特注の専用治具をつくっていただき、確実に確保する。

w280とかいて有る段ボールが見えるが、基礎巾280mm!(基礎180+XPS100mm)となるので特注品の巾留め金物になる。

朝7時過ぎに事務所を出て、夕方16時前に戻る。約9時間、その間全く休憩無しで検査して、打ち合わせして、往復走行距離600kmは流石に他の仕事はもうできないくらい疲れるが、物作りはいつもワクワクする。

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