小さな重要部材。アンカーボルトとナット一体型座金。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
あるメーカーのナット一体型座金。直径70mmと大型。

座金・・・

土台を貫通したアンカーボルトをナットで締め付けるときに、より多くの力が伝達できるように、ナットの表面積を広げるような役目をもつ金属の板である。特に巷では最近上の写真のように、土台にめり込ませるナットと一体になった丸座金が多い。

「緑の家」はこのナット一体型丸座金は基本的に標準ではない。この丸座金が多くなった理由は下の写真のとおり、土台の上に直接合板を敷くときに有利となる。

タナカのHPより転載。上端がフラットになるので土台の上に合板が簡単に敷ける。

専用のビットで座金ごと廻して締め付ける。以前は平らな土台に木を削りながらそのままねじ込ませることが可能であったが、最近はようやく座金の面積が大きくなることが重要だとわかり、そのためそのままにねじ込ませることができず先行して座堀を行なうようである。こうなるとナット一体型の手軽さというメリットは少なくなり残念であるが、止む得ないこと。

アンカーボルトに一体型座金を施工しているところ。
座堀が必要無い従来の一体型座金(直径45mm前後)。但しめり込み耐力は著しく低く7.2KN/個。写真はタナカさんHPから。

所で・・・実はこのアンカーボルトの長さ監理が難しい。下の図をみてほしい。

適正のアンカーボルトとナットは15mm前後。よって上から見ると21.5mmとなるが、この寸法は目視ではわからない。
長くても問題がある。6~9mmあいていないと工具が干渉し締め付け不十分となりやすい。
土台が120mm角の時、アンカーボルトの長さは98.5~111(113)mmの範囲になければならない。

実はこの一体型座金を使う時、アンカーボルトは長すぎても短すぎてもNGである。よって土台を敷く前に全数長さ測定しチェックを行なった。

ある家のアンカーボルト全数チェック図。

すると・・・今回チェックした家では8本の長さNGがあったので、是正を行なって頂いた。長すぎれば切れば問題無いが短いときにはまずより深い座堀を行なう。但し、引き抜き力によっては曲げやせん断で断面NGになる時もあるので、座堀下後ののこり断面寸法はチェックが必要である。

合板で直ぐに隠されてしまうアンカーボルト。

下の従来の座金60角ならわかりやすいが、上の一体型座金の場合は合板が貼られる数日間だけしかチェック出来ないので、工事監理者として注意が必要である。なぜなら殆どの工務店さんは、このようなアンカーボルトとナット、及び座金の重要性が理解されていないので、全会社のどの現場でも常に指摘している。たった小さな部材だが、蟻の一穴ということわざがあるように、外れたアンカーボルトの柱が一本だけ土台から外れることで連鎖的に倒壊にいたることもある。

この従来型角座金なら飛び出たボルトで一目でOKかNGかがわかる。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする