原村の家 完成番外編

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2023年3月4日 記事の内容に一部間違いがありましたので訂正しました。

1月のとある日に工事監理で原村の現場を訪れていると、現場にいる人が口を揃えて「建物の南側と北側の気温が数度違う」と言う。

10メートルくらいしか離れていないのに気温が数度違っていたら、いくら百葉箱内とはいえ天気予報もおちおち気温の発表はできないだろう・・・と思い完成見学会の日に実測してみた。

当然百葉箱など持参できるはずもないので、日陰で気温計をおいて計る。
計ったのは明け方-6度の晴天日の気温が上がるお昼頃で地面から20cmである。

まずは建物北側の日陰・・・±0度。

陽が十分上がったお昼時分にまず北側で測定。

次は地上30cmくらいの南側の木の陰に10分くらい放置して計ると・・・+1~1.5度。

次ぎに南側の木の陰になるところに温度計をおいて測定。

確かに1度から1.5度違う。多分・・・この高さでは本当にこの程度は違うのであろう。南側周囲はすでに土がでているので日射が地上で熱に変わるが、北側はそれがない。つまり風がなければ地上面付近の部分的な温度上昇は多少あるだろう・・・。ただ皆が口を揃えていう数度違うよというのは体感上のことでこれは当てはまらなかった。一方皆の言い分もある意味正しい。人は気温だけでなく輻射熱も暖かさの有力な要素であるから、南側は日射で暖められた地面や木々の輻射熱を肌に受けて外気温より高い暖かさを感じていることになる。だから冬の太平洋側は気温差以上に日本海側より暖かく感じるので、そのことがよく話のすれ違いになる。

さて原村の家ではガス乾燥機を導入しているがこれは建て主さんのご希望である。「緑の家」では積極的にガス乾燥機を薦めていない。これは冬期でも夏期でも一年中物が乾きやすい状態にできるので、あえてガス乾燥機を導入する必要がないと思っているから。最近ではドラム式洗濯機が有り、それでも乾燥はできるが、どの乾燥機でもデリケートな衣類は自然乾燥が無難。特にガス乾燥機は80度まであがるので注意が必要な衣類も多いのも標準ではない理由。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCF1140.jpg
使っていないときには完全に閉じて外気は入らない。

さてガス乾燥機の設置際の注意はなんと言っても燃焼空気の導入。現在市販されているガス乾燥機は室内の空気を使って燃焼させているため、設置場所に新鮮空気を送り込まなければ最悪一酸化炭素中毒にもなりかねない。そこで給気するための穴を設ける。その給気口といえば・・・
ガス乾燥機のかん太くんにもタイマー設定の給気口をもうけており、他の部分からかん太くんが燃焼する時につかう酸素を引かないようにしている。かん太くんは密閉型燃焼器ではないため本体左横又は下方から空気を吸って燃焼させている。その燃焼空気を最も近い部分から外気を取り入れるようにシャッター付きの給気口がある。煙突による換気量計算では2KQかフードによる20KQになるが、そのあたりが明らかでなく且つ排気量約200m3/hとの事なので中間の10KQの給気を強制的に送り込んでいるが取り入れられるような口を設定している。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCF1139.jpg
ファン付きの電磁シャッター型強制給気口。ON時には開く。

かん太くんの運転時間がおおむね60分なのでタイマーで60分たつと閉じる。かん太君自身にレンジフード本体にあるような連動する給気口ようのターミナルがあればよいのにと思う。

窓を大きく取るために設けたスロップシンクの造作壁。給水給湯管も無理無く配管可能。

次ぎにこの洗面所の窓であるが、実はこのような工夫があるため、正面外観は均整のとれた窓デザインになっている。

北側4つの窓の内一つはユーティリティーの窓だが同じ形状のため判別は出来ない。

このため窓の機能が外観からわからないことで、全て居室窓にみえる。

さて「緑の家」といえば床下収納である。原村の家では床下収納だけではなく、設備の集約空間となっている。

床下収納への入り口は中が見えるトーメイのガラス戸を採用している。

まず左手には全熱交換型換気システムで凍結センサー付きとなっており、寒冷地でも使用可能型となっている。。奥はいつものヒートファクトリーで、お風呂場で使用した全てのお湯の熱回収装置。

全熱交換換気ユニットとその配管。奥はヒートファクトリー。
給水と排水が接続され、オーバーフローは非常と併せて2つ。ピンク矢印は掃除用給水栓。
配管は複雑だがこれだけスペースがあると楽に取り回せる。中央の白い箱は水漏れセンサー。万一のための装備。

右手には灯油ボイラーと灯油給湯システム。そして薪ストーブへの給気ダクト。

給湯用FFボイラーと温水暖房用FFボイラーが並ぶ。ピンク矢印が薪ストーブ用新鮮空気導入ダクト。
外部からつながる給気管が見えないようにしているためすっきりしている薪ストーブまわり。
給気口はストーブ真下の床を貫通して設ける。

薪ストーブの給気ダクトは電磁式ダンパーを設け、薪ストーブ使用中以外のダクトを閉じる。この操作をしないと冷気が煙突効果でストーブ内に入り込み、上部から際限なく逃げてゆきストーブが冷却装置にかわってしまう。本来煙突にも手動ダンパーがあるとよいと思うが、いつもストーブ屋さんに「大丈夫、いらない」と言われる。五日町の家でも同じ設計をしたが、上下ダンパーの必要性は意外とこの本場の薪ストーブ屋さんでもご存じないようで(いつも暖房として使っているからか?)、なんでこれが必要なのか?とか電磁ダンパーってなに?と聞かれた。私にとって煙突ダンパーも冷気(逆流)防止で燃焼調整ではないのだが・・・。

ピンク矢印が電磁ダンパーのスイッチ。

原村の家ではこの電磁ダンパーが5カ所(バルコニー給気、キッチンレンジフード給気、ガス乾燥機給気、風呂排気、薪ストーブ給気)で使われており、高気密高断熱や全館冷暖房の家では重要なパーツであることがわかる。しかし多くの高断熱高気密の家では換気設計は設計者が行うことが少なく、このような設計配慮は少ない。このダンパーがないと換気計画は乱れたり、ダクト内外で結露してしまう恐れが高くなる。今回この給気ダクトの関連は問題なかったが、ガス乾燥機の排気ダクトで結露が起こってしまった。中温となる排気ダクト管はメーカー標準の施工範疇となり電磁弁は設けられず風圧式のダンパーである。

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コメント

  1. Asama より:

    aki様
     最初にお詫び申し上げます。記事の内容に間違いがありましたので修正しました。

    電磁シャッター式の強制給気扇を選びたかったのですが、そのような機種がなかったことで通常の電磁シャッター付きの自然給気口に変えたことを失念しておりました。よって記事は修正し、推薦する該当機種はないことをお詫びしてお伝えします。
    尚、強制ではありませんが一般地域でお薦めする電磁シャッター式自然給気口はDV-20MKF(東芝)です。強制ファン+電磁シャッターは現行販売機種パイプ式ファンでは見当たりませんので、もしどうしても必要ならダクト式にし、2機種の組み合わせにする必要があります。

  2. aki より:

    いつもブログを拝見し勉強しています。
    当家も乾太くんを導入しようと考えています。
    もし良ければ、ブログで紹介されているファン付きの電磁シャッター型強制給気口の形式など教えていただけると幸いです。