写真は拙宅のコーナーサッシの隅柱である。雨漏りで腐朽したうえに白アリ被害もあるちょっと悲しい感じの出隅柱。
最初にみっともないが言い訳である。
拙宅は私がまだサラリーマンだった頃に建築しており、当時勤務していた会社で安価に建築した。その会社はもう存在しないのでここで書いても問題ないだろう。当時実施設計図面などなく、会社の標準施工図にそって現場監督さんと大工さんが造るような、今の私では考えたくもない家造りの方法である。それが問題だと思って今のオーブルデザインは設計と施工の完全分離ができるスタイルになっている。
構造設計や当然工事監理も行っておらず、休日になんとか見る程度の状態で拙宅は完成した(当時28才)。完成後一冬目で外壁からの雨漏れが発生し、その完全修繕までに10年くらいかかった。常に雨漏れが起きていれば,例えその会社のイチ社員といえども強く言えたかもしれないが、一年で数回しか起きないので外壁をはがしたのは3年目でありその時に初めて透湿防風防水シートが一部逆重ねで施工されていたことに気がついた。大工の棟梁以外の人がはった部分だと思われるような単純なミスである。屋根は一般的な軒の出がある切妻形状であり、屋根からの雨漏りででないため冬の暴風時や梅雨の風の強い日のみ外壁から雨漏れしていたのである。
このように激しい雨漏りでなく、少し入った水が乾くまでに時間がかかる出隅柱のようなところで腐朽が始まる。当時の出隅柱は120角でありそれ以外の柱が105角で軸通り外面あわせを行っていなかったので、通気層が出隅柱ではとれない。このことがまず乾きにくい原因。このような事例は拙宅だけでなく多数あると聞く。世の中では現在も通気層がない出隅柱は施工されているが、同じような危険性をはらむので注意が必要。その点「緑の家」でのクロス通気の通気工法なら出隅柱でも通気が確保出来る。
このように、冬型結露および夏型結露など全く問題ないのに、わずかな施工ミスである2次防水層の不手際および的確な通気層確保が出来なかったことで、外壁下地は無論柱まで被害を受けてしまった。壁面の水分計画で最も重要なことは屋根は無論、壁からの雨漏れが容易に起きない家が重要だと改めて思い知らされる。やはり屋根の「軒の出がない」家は、結局外壁の一次防水をシーリングに頼ることになるが、そのシーリングは一般的に15年で寿命を迎えることを考えると、15年ごとに家全体に足場をかけて改めてシーリングを施工が必須。このためメンテナンス性から見て多少シーリングが切れても屋根でほとんどの雨を防ぐ家が、本州以南では(梅雨がある地域)私は良い家の条件と考えている。一方一次防水がない家も近年あると聞くが、今のところ評価不可としかいえない。
世の中では内部結露のことを書いているブログやHP、SNSも多いが、実際住んでいた高断熱高気密住宅で夏冬24時間空調をを行い、気密測定も行っていた住宅を解体をした結果がここに有り、これは何物にも代えられない実際である。特に西日も多く当たり、外壁からの雨漏れもあった建物の実際を目の当たりすることなく、予測や予想で国のマニュアルにある別貼り気密シート(防湿シート)が問題とか、だめとかい言うからにはそれ以上の根拠がなければならない。その時大事なことは、壁面構成の明確化と使用条件および換気条件などが適正であったかも重要。その点、35年間高断熱高気密推進者であり、実際のその家で居住していた実績はその条件として大変重みがあると自負する。
さてその6では今回のまとめとなる。