昨日が「今後もリノベは要注意」という題で投稿していながら、こちらのリノベ中の記録を次の日にアップするところが「緑の家」の偏屈さなのである。つまり大事なのは出来るだけ正しい情報の公開。今回は解体が80%程終わったotomo vie centで60年前にリフォームで貼られた床を紹介したい。
otomo vie centでは、ほぼ土間キッチンとなる部分の床の解体が全て終了し、それ以外の土間となる部分の解体をしている。古い頃にリフォームが行われていた奥の小さな5帖の畳の部屋。その畳を剥がすと下には以前畳を置く前に使われていた木の床が顔を出す。それが上の床材で桧の縁甲板である。
築130年を超える家なので、基礎はなく所謂石場建ての建物である。
この建物を解体すると、大柱にはケヤキがつかわれその他の柱には杉が使われている。大柱は太く210mm角以上で、杉柱は135mm~150角。その他材も杉が多く新潟県では桧では無く今と変わらず杉の産地であったことが伺える。
国のマニュアルでは木の防蟻防腐性能(心材)は
栗やケヤキ、ヒバ、桧>杉、カラマツ>赤松、SPF、WW ※
※以前ある雑誌に桧は杉より防蟻性が弱いとの実験結果があったがそれは実験方法が間違っている可能性があり、やはり公的評価通どおり桧>杉となる。
となっており、長期優良住宅では杉は土台には使えないが桧は使える※。つまり本来なら桧の土台か柱がよかったのであろうが新潟県では生えていないので使えなかった。そこで杉を使ったのであろう。しかし戦後は運送が発達して西日本から桧が簡単に手にはいるようになり、桧も使いやすくなった。そこで当時の大工さんは床材として桧は杉よりふさわしいと判断していたと想像できる。
確かに実際使うと白太同士、赤み同士なら桧の方が傷がつきにくい事が実感できる。杉の多い新潟県で古くから使われたのは「桧の縁甲板」である事は、築100年を過ぎた「て・こあ」でも同様だった。つまり裸足で使う最後の時代で大工さんが選んだ板が桧だった。そのため「緑の家」では「桧」の縁甲板が床として標準材になっているのである。当然ご意見がなければ「超仕上げの無塗装仕上げ」である。これが当方の床材に対する裏付けである。
さて、解体をしてみると過去のリフォーム痕がよくわかるし、どの材が腐りにくいか一目瞭然である。ケヤキの大柱に価値があるのは、この湿気でもまったく腐朽せず、こんなに地面に近い位置に柱脚があるのに白アリにもやられない強さがあるからである。