トイレ換気扇論

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

★新幹線の移動中での投稿なので修正の可能性有

「緑の家」での定番トイレ換気扇がまさかのメーカー不具合(建て主さん提供動画)。

皆さんはトイレの換気扇をどのように考えていますか?

さて今回はトイレの換気扇を少し考えてみたい。

現代の住宅ではトイレに換気扇は必須となっている。たとえ窓があっても換気扇のない家はほぼない。ではなぜ換気扇を設置するのか?

水洗トイレが標準化される以前は、ぼっとんトイレといわれる汚物が便器下で堆積して貯留される便所であったため、その匂いは大変きつく不衛生で、常に換気をしていないと家中で大変なことになる。よって建築基準法の施行令第28条において、マンションなどような窓のないトイレには換気扇等の設置が規定されている。逆に換気扇がなくてもよいのは窓がある場合だけとなり、一戸建て住宅であっても窓のない水洗トイレには換気扇等の設置が必須となる。

さて、その換気扇設置の目的は上の説明からわかるとおり悪臭の除去である。換気扇に変わる悪臭除去が可能設備としては消臭機器があり、フィルターや電気的に匂いを除去する装置で消臭している。この消臭機能はいまやほとんどの洋式トイレに設置されているので、ご存じの方も多いだろう。特に近年は強力な消臭装置になっており、換気しなくても匂いの除去はある程度可能になっている。

そこで最近はトイレを使用しても排気用換気扇を使用しない人や家庭もあり、拙宅でも、もし一人っきりで小用なら排気用換気を使用していないこともある。2人でも、使用するトイレが自分専用なら(つまり複数のトイレがある)同様である。

一方多数人で使う場合では、この消臭機能が強力であってもそれは難しい。ほとんど匂いを除去できていたとしても、気持ちの問題がのこるからである。そこでトイレの換気扇の目的は単なる匂いの除去だけでなく次に使用する人への気持ちの配慮とわかる。

そこで・・・

「緑の家」の換気扇は短時間でトイレの空気を入れ替えることができるなんと「103m3/h」タイプを使用している。これは巷で一般的に使われる「50m3/h以下」タイプの倍の風量である。つまり理論上はトイレの匂いを一般の半分の時間で除去できる。

では実際に部屋内の空気が入れ変わるまでどのくらいかかるのかというと、

一般的な換気扇の風量は50m3/hでトイレの気積3.168m3だから0.06336時間。分に直すと約4分で空気は入れ替わる。しかし入室時から換気扇がONでも空気が完全拡散した後、100%の効率で入れ替わることないことを考慮すると、トイレを出てから4分の半分つまり2分で匂いがほぼ感じられないようになると思われる※。この2分が長いか短いかは各個人の判断だが、「緑の家」のように排気量が倍になればこの2分が1分となり、朝のラッシュ時間にはより都合がよいと私は考えている。
※2022年の建築論文で矢作貴太氏の「トイレ換気効率」では気積2.7m3で排気120m3/h時の時に最大箇所で1.76分かかっている。

このように「緑の家」の標準の換気扇は103m3/hと大風量とすることで、一般の半分の時間でその目的を達せするように選ばれている。このためダクトの径が一般の100φより2.25倍面積が大きい150φとなっている。

さてようやく冒頭の動画になるが、

使っている換気扇は電気式シャッターで普段外気の出入りを防止しているのだが、先日案内した通りメーカー製品の不具合でこのシャッターが開きっぱなしになってしまった。この影響は一般的な換気扇より2.25倍の影響があるとおもってよい。だからこそその不具合が早急に発覚したのである。通常の100φ換気扇だったらこの不具合の発見は遅れ、もしかしたら気がつかずにずーっと使い続けてしまっているかも・・・。もし延べ床面積100m2でC値が0.2㎝2/m2だとしたら20㎝2の隙間がある住宅だが、このシャッターの故障で約141㎝2(150φの80%)の穴が追加で空いている(7倍の面積)と考えると、如何に大きいな穴であることがわかる。

さて最後に、現在トイレ用換気扇のスイッチは人感センサーを使っているが、上で申し上げたとおり、トイレの消臭機能が進化しており小用ぐらいでは換気扇を使わなくてよいと考えている方も多くなっている。そこで人感センサーを中止して一時スイッチ式※2に変えて、それをトイレ内に設置しようと思っている。こうすれば使いたい時だけ使用でき、人感センサーのようにトイレの戸を開けっぱなしできないという欠点も解消する。いかがだろうか?
※2 一時スイッチとは押してから任意の時間だけ機能するスイッチ。具体的には0秒から5分まで設定できる。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする


コメント

  1. xxykxx より:

    私の家のトイレ換気扇は三菱の蓋付きの(とじぴた)を使用しています。蓋の開閉が目視で明確ですのでパナソニックの電気式気密シャッターよりも故障時はわかりやすいです。Φ150の商品もあります。

    センサーはパナソニックの(換気扇連動型かってにスイッチ)ですとセンサーの反応角度を調節出来ます。トイレ扉を開けただけでは反応しないようなセンサー反応角度の設定も可能です。我が家は妻も子供もずぼらですので、一時スイッチ式は全く押してくれません。

    • Asama より:

      xxykxx様

       コメントありがとうございます。

      三菱のとじピタは気密性がいいですね。ただ「緑の家」では天井にも使用するので圧損重視なため使いにくいです。静圧がもう少しあればと思ってしまいます。

  2. Asama より:

    MKT様

     いつもありがとうございます。

    >個人的には子供たちが使う時など、換気扇をつけたのかという心配が人感センサーですと無いのは親とすると楽です(躾の問題ですが)。

    御意。
    最近は小さな子供がいないのでその感覚は忘れておりました。

    >ただ使っていて感じる事は、床掃除の時などドアを開けっぱなしにする時は換気扇のOFFが簡単にできると良いな、と思います。

    例の事件があったので、寒くてドアを常時あけている家がありました。それがなくともトイレの戸を開けておきたい場合、センサーだと反応してしまいますので、一時スイッチもよいかと・・・。

    >一長一短ありますから、何を優先するかや、家庭環境でも変わりそうですね。

    仰せの通りです。

  3. mkt より:

    長距離移動お疲れ様です。
    電気式シャッターの問題がセンサー式、タイマー式で変わってくるのかはわからないのですが、
    個人的には子供たちが使う時など、換気扇をつけたのかという心配が人感センサーですと無いのは親とすると楽です(躾の問題ですが)。
    5人家族なので連続して使うタイミングだと、タイマー式は途中で止まってしまうかもしれないという心配もあります。

    ただ使っていて感じる事は、床掃除の時などドアを開けっぱなしにする時は換気扇のOFFが簡単にできると良いな、と思います。
    人感センサーは消し忘れの心配がないですが、一時タイマー式も、その心配もないので良いですね!
    夫婦だけの時はタイマー式でも十分だと思います。
    一長一短ありますから、何を優先するかや、家庭環境でも変わりそうですね。