「緑の家」は「無難を目指す」との指標を2016年初頭に掲げてからすでに9年経過。今もその指標は変わらない。
軒の出のない建物の雨漏りのリスクがあることは様々なところで紹介されており、ここでは割愛する。
最近事あるごとに壁内通気層内の通気の重要性が伝えられているが、軒の出のない建物はこの壁内通気の確からしさが重要となる。そこで「緑の家」では市街密集地でよくある完全に軒の出のない建物に対し、わずかに軒の出を設ける事で壁内通気と小屋裏の換気を想定通りに機能させる。
市街地での密集住宅では、軒の出がないほうが法的な採光取得と実質的にも採光に有利に働く。また加えて屋根が小さいくなることで建物重量が減り、また施工面精機が減るので施工コストも安価になる。そこで近年の建売住宅では軒の出がない建物がスタンダートになっている。一方軒の出がないと、風雨が強いときにはシーリングが弱ってきた15年後から雨漏れのリスクが高まる。ところが密集地では風雨が強いときでも、周囲の家が固まっているので郊外の家より比較的風雨に対しその雨が風が外壁面に当たることが少なくなる。それでも「緑の家」では上の通気の理由からやはり軒の出をわずかにでも設け、軒裏換気で通気の確保と雨漏れのリスク軽減を行う。
下は今年の建築学会の大会で発表された論文の抜粋である。「緑の家」ではこの下図の「Type1」となる。一方軒の出がない建物では「Type3」の場合もあり、この「Type3」の通気効率が落ちる。
また他方の下の査読論文でも通気層が軒裏とつながりその換気口より排出できる構造の安定性を示している。
CCE20190723_0002 ←クリックでダウンロード
このように「緑の家」では準防火地域のような住宅密集地でも外壁通気及び小屋裏換気が計画通り機能するように、軒の出を確保して「無難な仕様」にしている。