パッシブな暖房で考える伊達の家 5 外壁

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昨日中途半端にこの記事がアップされていたようで・・・申し訳ありません。

40年経過したALCの外壁。メンテナンスは7年前に一度塗り直したのみ。

ここで紹介したとおり伊達の家では外壁にALCパネルを使用します。

ALCってなに?

と思われる方が同業者さん以外では多いと思います。

ALCとはオートクレーブ養生した軽量コンクリートのことで、autoclaved lightweight aerated concreteの頭文字を取ってALCと呼んでおります。

住宅用ALCの代表。ヘーベルパワーボードの断面。厚さは40mm弱であるが、高耐久性塗装と合わせてることで経年変化が殆どない外壁となる。

ALCの断面アップ。細かい軽石のような気泡を持つセメント基板。このため260N/m2という軽さ。中心に細い鉄の棒が見える。

ALCは鉄骨系ビル建築では50年ほど前から一般的な外壁素材です。ということは既にそれだけの実績がある安定した素材となります。この安定したという所がミソで、一方30年前から住宅用の主流である窯業系サイディングは未だ進化を続けている素材であり、進化というと聞こえはよいですが、まだまだ改良の余地があるとことを示しております。

ではなぜALCが住宅で主流にならないのか・・・。

これは・・・ALCが厚い素材のため一般の工務店(大工)さんには嫌われるためです。

さてなぜALCは厚くなってしまうのか?

それはこのALCはセメント基板でありそれだけでは非常に衝撃や引っ張り力に弱い素材です。そこで鉄筋コンクリートのように芯に鉄の細い棒を入れて補強します。この鉄は錆びやすいのでALCの厚さで保護する必要があり、それが最低でも20mm必要で、両面に20mmですからトータルで40mmが最低の製品厚さになるわけです。

一方住宅外壁の主流である窯業系サイディングもセメント基板でありながら15mm~25mmの厚さが主流で、この厚さが大工さん(外壁屋さん)に使いやすい厚さとなり、ALCが普及していない理由の一つです。もう一つの理由は現場塗装が原則であるということです。このためどうしてもコストが下がりにくく、また現場での塗装も天候に左右されるので敬遠されております。窯業サイディンングは塗装品が主流であり現場塗装の必要はないので、工程が一つ減るのですね。しかし本来脆い素材のセメント基板に鉄筋で補強していない事が窯業系サイディングの徒となり、材料だけで工夫して衝撃力と引張り力を無理して補っているので未だに発展途上中なのです。

実は事務所の入っているこの建物もALCで造られており、今から7年ほど前に一度目の再塗装だけで今のところ雨漏れ、ヒビなどの寿命と思われる現象が起きておりません。つまりそれだけ完成された素材の一つになります(塗装材質も重要)。また住宅の外壁としては、パワーボード(又はヘーベル)という商品名で一部大手住宅メーカーさんに30年以上前から採用されております。

話は長くなりましたが、伊達の家ではこの変化の少ないALCと高耐久性塗装を組み合わせて30年ノーメンテの外壁を造ります。

「緑の家」の主力外壁は木であり、こちらは経年変化が魅力的で且つ30年以上の耐久性をもち、一方このALC+高耐久塗装では、殆ど変化がない30年耐久性の外壁となります。互いに全く正反対の特徴ですが両方とも50年以上の実績を持った素材ということが共通点で、まさしく「無難」の「緑の家」となります。このように「緑の家」の外壁素材選定の基本は「実績重視」です。

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