いつもの報告会へ その2
体験から推論すること

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今回の講演でこの上の写真の解説は印象的でした。

多くの人は体験から知識を得ることが多いと思われますが、その体験から得た知識で他の現象を予測、推論する事があります。今回は・・・

人の育った環境や性別で温熱感に違いが生じることです。

当たり前と思われますが、男性と女性では暑さ寒さ受け止めが違うということは日常で感じ多くの支持が得られる事でしょう。しかし既往の研究では人種や異なった環境で育った暑さ寒さの温熱感の違いはあまり論じられてきておりませんでした。

以前このブログで申しあげているとおり、日本の温熱の論理は、30年前からR2000という断熱気密の黒船が到来してから、アメリカ暖房冷凍空調学会( ASHRAE(アシュレイ))の影響を多く受けております。この ASHRAE(アシュレイ)でも快適温湿度範囲という規定が何度となく変更されてるいるくらい快適温湿度の規定値を作るのが難しいといわれております。また空気中のRH(相対湿度)は、一定の温度範囲(約22~26℃)人の温熱感に殆ど影響を与えない事が定説のようです。しかしこの定説の元になったデータは、北米で得られたものであり例えば東南アジアや日本で居住しているデータではないことが、私としてはイマイチ府に落ちないことでした。ところが快適感では最近上の写真のような事がようやく一般的に報告されるようになってきております。

科学は常に進化の課程に有り・・・

「わからない」とこと「わかっている事」、「正しい」と「間違っている」事とをはっきりする必要があるのではないかと思います。

上の写真では、「外国人男性」と「日本人女性」では中立温度(寒くも暑くもない温度)がなんと3℃もあります。これは同じ人として考えるととても大きな差です。しかもここで言う外国人とは白人系(寒い地方)なのか黄色系(南アジアの暑い地方)なのかも大きいところではないかと思いますし、同じ白人でも幼少の頃はどのような地域でどのような暮らし(豪邸、トレーラーハウス?)だったかも重要なファクターでしょう。

よって・・・

「現在の環境学では、室温○×℃でRH(相対湿度)が快適である!と十把一絡げとしていえないのです」

が、この写真の結論でした。

更に、温熱感は同じ人でも歳によって感覚が変わるも科学的にわかってきたようです。

上の写真は、人が寒さを感知したときに体の脂肪を直ぐに熱に変えることができる「褐色脂肪細胞」の模式図です。ミトコンドリアという半自立した細胞(太古の昔から生物に寄生した植物性の細胞といわれる)が大変多くある脂肪細胞を褐色脂肪細胞と呼び、この細胞は従来は赤ちゃんしか存在しないと考えられておりましたが、最近では大人でも持っていることがわかったらしいのです。さらにこの細胞は年齢によって少なくなっていることや、首の後ろ付近に多くあるとの事も経験値から一致するようです。例えば、時代劇でよく見掛ける、真冬の庭で井戸水を頭から被る事は、この褐色脂肪細胞の活性化となり、風邪をひきにくいような体に鍛えた・・・のかもしれません。寒風摩擦のしかり・・・。実は馬鹿な私は高校生のころ、真冬にこのまねをしてお風呂上がりの最後に水道水を被って、死ぬくらい冷たかった後ホカホカの経験がありますが・・・井戸水とちがい、水道水は10℃も水温が低い事(爆)を知りませんでした(笑)。

さて、

私が床下暖房を採用した理由は以前↓から申しあげているとおり、

https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2009/12/19/post-0/

床下暖房(エアコン)の事・・・その2理由
床下暖房(エアコン)は少し認知されてきました。 高気密高断熱で24時間暖房の家になると一般的に床下暖房しなくとも床...

https://arbre-d.sakura.ne.jp/home/midorinoie/heating#hitonokaradahaotoroeru

・人は性能が加齢によってかわるので、加齢によって冷え性になった時に床下暖房があると快適性が維持出来る。

といっておりましたが、まさしくその裏付けのようなことで、人の快適感は年齢でも変わることから、家の性能も人に合わせ簡単に変えられる事がよいと思って床下暖房を採用しております。この床下暖房があまりにも快適で、それが建築後直ぐに使用する設備として標準になったのは、私のもくろみどおりではありませんでしたが・・・。

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