関屋の家はとにかく材料に拘っている。
何度となくお伝えしているが、できる限り香りの少ない、また人工ケミカル剤のない素材をチョイスしており、そのようなご要望の方には関屋の家の家造りは有益な情報である。
最近流行の堅木である、ナラ、タモ、オーク、カバサクラ、チェリー、メイプル等の床はその全てが海外から船に乗ってくる。2ヶ月間も暗く湿度が高い船倉におかれるので木にカビが生えやすく、その予防として船積み前に防かび剤・殺虫剤で燻蒸処理または噴霧される。これは果物ではポストハーベスト農薬と言われている。その薬剤が家として使う時でも残留しているので、当事務所の標準床材は20年前から「ヒノキ」である。ヒノキは日本固有の木であるため、流通しているほぼ全てが国内産。よってヒノキを使う限り・・・燻蒸処理や薬剤噴霧はほぼ無いといえる。
しかしそのヒノキは独特の「自然芳香」があり、結構強い匂いを新築数年は出し続ける。私を始め多くの人がこのヒノキの香りが好きであるが、強すぎると流石に避けたい方もいらっしゃる。今回の建て主さんもそうであり、そこで国産材で容易に手に入る材で一番香りが少ないのが、「地松」であり、その地松を岡山県からわざわざ仕入れた。
地松の床板が現場に運び込まれているのだが、確かに匂いはヒノキより数段下。普通の「緑の家」ではヒノキの床が搬入されると現場内はヒノキの香りで充満する。ところが今回は特別松の匂いがするわけでもない・・・穏やかな香り。
また搬入された地松は殆どが「無地 無節」の超仕上げでピカピカで美しい。
下はその中で現場の大工さんが上小節程度のものを仕分けしたもの。流石に脂袋をもつ材もあり、この材は押し入れ等の目立ち難い場所に使う予定。ホントはこの脂も綺麗に延ばすと脂松と言われる銘木床板にも使われるほど貴重品。
さて・・・関屋の家は準防火地域のため、↓の写真のような網入りガラスとなる。最近は網入りガラスではなく耐熱ガラスを使用するサッシ製品もあるが、これは一度使い懲りている。13年ほど前に旭ガラスの準防火地域用の木製サッシで耐熱ペアガラスを使ったのだが、ガラス製品に不具合があったとのことで全取り替えを経験している。旭ガラスという超大手だったから無償対応してくれたが、弱小メーカーだと足場を組んで取り替えるなど総取り替え金額が多額になるので、ホントに対応してくれるか怖い。よってサッシだけは大手メーカーを基本的にチョイスしている。これは自分の家だったらそうするからだ(建て主さんの家も自分の家と同じ)。
ただこの網入りペアガラス・・・ガラスとガラススペーサーがまだアルミ製なのである。ここがアルミ製だと枠の結露が樹脂性スペーサーより数度早くおきるとのこと。しかしコストや実績、ガラスのメンテを考えると現時点でこの防火サッシがベターである。
そしてそのサッシは「緑の家」Aグレードなので外壁より奥まった位置で取付けられる。
しかも枠の外にも高性能フェノールフォームを綺麗にはり、少しでも枠を寒さから守る仕様となっている。
「緑の家」のAグレードの窓廻りをみると、
「鉄壁の雨漏れ対策」
というデザインコンセプトが表われている。
窓と大きめ庇がセットが「緑の家」である。
準防火地域のため、巾の広いドレーキップ窓は使えない。そこで通常のドレーキップを並べて大きくする。この手法は18年前から行っている。
最近(2015年)では西大畑の家でも同じ形状の窓を使う。