10分遅れで離陸、5分遅れで新潟空港に着陸。そしてこの上の写真。
多分おわかりでしょうが、海からわかるとおり西より空港に侵入している。
建築士は風向に大変興味がある。
えっ・・・通風しないのが「緑の家」では?
実は通風だけでなく、玄関の位置や換気出入り口等卓越風を知っていることは、その土地にふさわしい計画かどうかの一つの条件となる。
新潟県の海岸部の卓越風は各季節で変わること無く殆ど西よりの風がおおい。よって東西の方向の新潟空港の滑走路では通常東から西向きに離発着をする事が大変多い。今回のように西から侵入することは希である。・・・陸風の時間だからか? いいえこの風向は昼に吹く海風。
さて・・・
堺市の家は何時もの巨大な床下収納がある。
平屋だからこそ広大な収納となるが、法律では1階床面積の半分までしかつかえない(半分以下であれば階数や床面積に入らない)。新潟県内の多くではこの床下収納が壁等によって明確に分かれている必要がないが、他県では違う事もあるので最初から使えない空間とは戸や立ち上がりなどで仕切っている。
写真を見比べればわかるが、一番右奥のところに仕切りの戸がある。
これで明確に別けることができる・・・ってなわけないだろう(笑)。
戸を開ければその空間に行く事ができるので悪意があれば収納に利用できる。しかし戸を壁にする事が出来ない。これは床下が長期優良住宅ではとても大切なメンテナンス空間であるため全て床下に簡単に出入り出来なければならないから(簡単に出入り出来る方がメンテナンスが楽になる)。
となると戸なんて無い方がいいのだが、法律は法律(行政指導)で守る必要がある。だから戸をつける。この戸の奥には・・・
上の写真のとおりユニットバスなどの大事な配管メンテナンススペースにつながっている。この写真を撮ることが出来るのが「緑の家」である。誰もがこの配管を見ることができる。
しかし小屋裏収納の場合はそれではNGで、必ず明確な仕切り壁が必要で不要な床など貼ることは原則不可である(構造的に桁上合板貼りは除く)。これは同じ収納であるが構造上の大きな違いにあるから。
床下収納におかれた収納の荷重は全て直接地面に流れるので、地震時に入力が増えないが、小屋裏の場合、置いた荷物の荷重が全て地震時には入力される荷重となる。つまり建物をそれに応じて強くする必要があるのだ。床下の場合は地震時の荷重の増えがない。どんなに収納が大きくとも建物を強くする必要がないのである。だから行政の規制も長期優良住宅のメンテナンス性を重視する必要があるので、戸で仕切ればOKとなる。
ここから床下が収納として如何に優れているかわかるだろう。これを20年以上前から全ての家で行っているのが「緑の家」である。ただしデメリットもある。床下を絶対黴びさせないように夏は家中空調を原則としている事だ。
・・・
さて・・・堺市の家の照明制御が尋常ではなかった。
パナソニックのアドバンスシリーズでピピットリモコンとリンクスイッチを組み合わせた照明制御とのご希望で、壁にはスイッチがずらっと並んでいる。これを見るとスイッチ位置を覚えるのが大変と思ってしまうが、実はスマホで簡単に制御でき、またワイヤレスリモコンでは数パターンの制御分けをおこなっているので、スイッチは実質3つしかないことになる。一個ずつ制御をしたいときの為に、壁にはこのように多数並ぶ。
なんと床面で3000ルクスを超える照明でも全て梁の間につけられているので、デザイン的にはスッキリしている。
また・・・
超高断熱である堺市の家の性能はUa値で0.18w/m2Kであり、窓には樹脂トリプルガラスを使っている。しかし防火地域には当時トリプルガラスの防火認定品はなかった事と、雨戸を電動シャッターにしたかった事で、防火窓はシャッターで抑えるとのご要望だった。
当たり前であるが電動シャッターは日射も完全に防ぐのだが、それでは真っ暗になるので窓には簾フックが設けられているところは「緑の家」らしい仕様である。
こちらも9個のシャッターは2セットで制御されスイッチは実質2個になる。雨戸をつかう地域には大変楽な設備である。