大野町の家 基礎配筋と地盤

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この基礎の背の高さ・・・「緑の家」らしいごっつい基礎である。無論床下1.4mとなる。

昨日の午前中、軽く吹雪く新潟市で配筋検査を行ってきた。

この大野町の家の基礎は3年ぶりの布基礎である。

この断面のマスタープランが設計者の力量となる。安全性は担保しつつ建て主さんに最大のコストメリットがあるように考える。

なぜ布基礎なのか?その前に全体構想の説明が必要である。

基礎の計画は設計者にとって家のマスタープラン。特に高低差がある土地の時に最も腐心するところである。基礎のことをプランと同時に考える・・・この思考が設計事務所の設計者である。

平坦な分譲地であれば一般の設計者でも無難な設計が可能であるが、少し土地に高低差があったりるすると突然、設計者の思考回路(力量)が試される。

コストをふんだんに掛けることができれば色々な選択肢があるが、決められたコストの中で最も無難な選択肢をチョイスするのが「緑の家」である。

上の図を見てもらいたい。左側の道路から900mmほど低い土地だったので、一番簡単なプランは900mmの土を敷地に盛れば、家は平らな土地にたてることが出来る。しかし今回はそのような「土盛り」は避けた。なぜか?

まず現在ある土地は数十年間同じ形態を保っている。つまり地盤のバランスが取れているのである。その安定した地面に土を900mmも盛ったらその重みで数年間は圧密沈下が起きる。田畑の造成のようにどうしても土を盛らなければ成り立たない土地なら止む得ないが、上図でわかるとおり、右の道路は1000mm低い位置にあるので、無理に900mmの土を入れなくとも特に問題はない(水の逃げ道がある)。土は意外と重い。900mmの土の重さは1.6t/m2(16KN/m2)以上にもなる。家の基礎で最も多いべた基礎などは有効の地耐力が20KN/m2から設計出来るが、仮に2階建の住宅の重さは10KN/m2とすると、16+10=26KN/m2となり、最低でも30KN/m2の土地の地耐力が必要となる。新潟県の平野部ではまず無理な地耐力である。

そんなの地盤改良を施し有効地耐力を40KN/m2にすれば良いのでは・・・?

との声も聞こえるが、それは最終手段であってもっと安全性の高い方法を模索したのちの結果ならOKだと思うが、最初から圧密沈下を予想して地盤改良するなんて事はしたくない。

となると・・・現在の土地に土を盛ることは避けたい・・・との思考となり、

今回大野町の家で選んだ選択は・・・現状維持の土地+深基礎+高布基礎の組み合わせ。これをべた基礎で行う事は無駄がおおくなりコスト的に不利。このようにトータル的に考えて布基礎を選んだのである。

当然左側の道路から車を駐車するのでここだけは擁壁を造り土盛りして、住宅部分は盛土を施さない。たしか北海道の地震で札幌のある住宅団地で盛り土の所だけが不同沈下して大変な事になった事は、まだ記憶に新しい。ここはそんな谷地ではないが、盛土は出来るだけ避けたい。この地震が起こった9月の半年前(2018年1月)には基本設計で盛土しない方向で設計をしていたことは自慢できる。

話は長くなったがその基礎はこちら・・・

現状の地面から500mm下がったところに根切り底があり、基礎の高さは1700mmにもなる。このような時はべた基礎より布基礎が断然コストが安い。

地盤改良を施した上に連続した地中梁持つ布基礎を計画しする。

更にAグレードの証であるせん断筋にフックを設ける。無論・・・被りは厚は70mmの建築学会推奨仕様。

Bグレードも含め普通は60mmの被り厚に対し、70mmの余裕の被り厚。またフック付のベース筋。

コンクリートはこの寒い時期なので呼び強度36N/mm2で打込み、完全養生しコンクリート温度を4度以上に保つ。これで年内の工事は完了。

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