魔法の床下空間 3
床下暖房があれば・・・。

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温度ムラの一切無い床を写したサーモグラフィー。絶対温度は機器自動補正前の温度表示なので少し低い(実際は+3度程表示温度より高くなる)。

先日ある取材を受けた。その時に
「G2(等級5)からG3(等級7)に断熱性能をあげたときに、何か変わる事があるか」
・・・のような質問だった。
     ※G3(等級7)とは

「既にG3(等級7)レベルの家を10年以上提供しているので、気にしたことがない。また冬期、床下暖房があれば多少の断熱性能の差はまず気にならない。足の裏が温かいことほど冬期で有意義なことはない」

とお答えした。
「また冷房は日射遮蔽さえしっかり行なって再熱除湿運転すれば、断熱性能の差はないと言える。」

ここで共通することは「空調方式」である。ある程度断熱性能があれば(G2以上)、誤解を恐れずにいえば快適性を左右するのは空調(冷暖房)方式(換気も含む)であり、断熱性能に影響される事はない。

例をあげると仮にG3(等級7)程度の断熱性能があっても、24時間空調せずに間欠暖房していたとする。又は24時間暖房はするが、部分的に暖房が行き届かない空間の閉鎖部分があったとする。その場合はG2でも床下暖房24時間を行なった家の快適性に必ず劣ると感じる。G3(等級7)レベルであっても24時間暖房を行なわないと床・壁・天井の表面温度は室温より下がる時間が多く占め、人が感じる体感温度の1/3以上を占める放射において、冷輻射による影響を受ける。つまり室温だけ上げても快適性は上がらず、また常に強く接触している足の裏の温度が低いと、不快に感じることになる。いくらG3(等級7)の性能があろうと間欠暖房では、暖房を切れば10度台まで室温が下がる時があり、それによって床の表面温度が下がる。再び暖房してもタイムリーに表面温度は上がらず少し遅れて(アワーレベル)上がるのでその不快感覚も長く続く。一方、足の裏接触温度があがれば(床面の温放射もある)快適性が増すことは様々な過去の論文で明らかになっている。

つまり・・・G2(等級5)以上の断熱性があれば快適性は空調方式で決定されるといえ、当然換気方式も重要で、気温0度付近の冷たい空気をそのままダイレクトに居室に取り込めば、いくらG3(等級7)の断熱性能があっても不快に感じる室内範囲は大きくなる。

4.5帖の4面壁の面積と同等のコーナサッシの面積。ガス入りトリプルLow-EガラスといえどもG3(等級7)レベルの壁性能からみると、1/9程度の低い断熱性能しか無い。

巨大なトリプルガラスでつくられたコーナーサッシでも断熱性能U値は0.9w/m2K程度なので、壁のU値0.1w/m2kの9倍も断熱性能が劣る箇所である。よってこの「緑の家」のUA値がG3以上の0.2w/m2kであっても、冬期は窓でつくられるコールドドラフトで室内が不快になりやすい。ところが・・・

冒頭の写真のように床温度は25~26度均一となる。これはひとえに床下暖房の効果で有り、断熱性能がG3以上あるからではない。これを可視化するため冬期の窓辺状態をサーモグラフィーで示すと

12月におけるコーナーサッシ周りの温度分布。3のサッシ枠が最も低く約20度。それでも20度あるので立派なことと思うが、25度の床面に対し5度差もあれば不快となる。1の座面はコールドドラフトの影響で約24度、2の床面スリット温度は26度。

このように窓から2の床下暖房のスリットがある所まではコールドドラフトの影響を強く受けていることがわかる。よって今回オーナーさんに、1の部分の座面カウンターに2の暖気があがるスリットを新たに設けたい旨ご相談があった。当初は冬期以外の座面カウンターでご満足頂いていたが、冬期も座面として使いたいとのこと。そうなるとこの暖気吹き出しには細工が必要になるだろう。

2階吹き抜けからみた1階の床温度と壁温度。床温度が壁温度より高いことがわかる。一番低い窓表面温度でも23度あり、壁は25度くらいで、2の床温度は27度と床暖房と同じ温度まであがる。

このようにUA値0.2w/m2kの超高断熱の家でも、もし床下暖房がなければよりコーナーサッシのU値0.9w/m2kの影響を受け、快適感は確実に落ちる。U値0.9w/m2kとは、現在断熱性能等級で表現すると等級4に満たない等級3のUA値である。つまり・・・等級3の壁がこれだけあっても(サッシ面積は25m2で4.5帖壁4面相当面積にもなる)空調方式が良ければ、多少の断熱性能が悪くてもそれをリカバーできる。

では浅間は超高断熱ではなくとも床下暖房があればよいとの主張か?

と聞かれるが、超高断熱にするのは24時間家中暖房のランニングコストを下げる手段であるだけ。目的は24時間連続暖房を低ランニングコストで実現させること。もし大金持ちなら電気代に糸目をつけず完璧な空調方式をすればG2クラスの断熱性能でも快適性に問題はないし、電気代が今の1/3になれば私達一般庶民でもG2クラスの断熱性能で良い。電気代が1/3ということは、乱暴に言えば断熱性能が3倍になったことと同意義だと私は思う。年間20万も暖房費にかかることに同意はしないだけなのである。

空調方式で快適性がアップするが、これを支えるのが高基礎による床下部分である。メンテンナンスが簡単な床下空間にすると掃除が簡単。実はこちらの「緑の家」で今夏黒アリの侵入にあい、床下を中心に死骸が散見された。掃除はしたものの一部ではまだ死骸が残っている。このように超高気密の住宅であっても小さな昆虫類はたやすく浸入するのである。それを早期に見つけられる床下メンテナンス性の良さは、やはり魔法のようである。

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