コメントで頂いているとおり、エアコンの内部で特に送風のフィンにカビが生えることが多い。フィンは防かび剤が塗布されたり、各社工夫をしているはずだが何故この場所にカビが生えるのだろうか。
まずいつもの図から↑。
文科省のHPには[カビ対策マニュアル」というページがある。そこで紹介されているこの図から見ると、黒麹カビはAW0.9で3日間で発芽し菌糸を伸ばす。AWは一般的にRH(相対湿度)に置き換えて良いからRH(相対湿度)90%と同様の素材の表面上であれば3日で発芽し菌糸を伸ばし最終的に下のような黒いカビの胞子・菌糸が確認出来ることになる。
温度が低ければその発芽・成長の時間は長くなり、25度から35度の範囲であればほぼこのグラフどおりの結果になる。暖房中はカビの生える環境は皆無であるが、冷房運転中のエアコンの送風口は常にRH(相対湿度)90%以上なので、カビの生える環境とまずは言える。ではエアコンを止めればRH(相対湿度)が下がり上のグラフから外れカビは生えにくいだろうと思われるが、実際はエアコンを止めていても運転中に結露させた水を貯めるドレンパン内に水が溜まっているのでエアコン内部の高湿となる↓。
そこで各エアコンメーカーは防かび剤を各パーツに塗布したり混ぜ込んだ樹脂で構成しカビを防ぐ事を考える。しかし・・・
この画像を見れば明らかだが、防かび処理されたフィンでも表面にわずかな埃などが付着することで、防かび剤のないこの埃を苗床にしてカビは生える。上の写真ではカビが生え始めているのはフィンの内側だけであり、外側にはまだカビが見られない。一般的にフィン(翼型)の外側は風速が速く、内側部分は流速が遅くなるが、クロスフローファンの場合は渦の発生などで少し複雑になる。それでもフィンに付くゴミは流体中に含まれるゴミが最初に接触する先端部分が最大となり、その次に内側にぶつかりやすくそれがカビの原因となっていることだろうと想像できる。この写真の機種にはこの汚れやすいフィンの自動お掃除機能があり、その動作から考えると、フィンの外側の方にはブラシが物理的に汚れを掻き取っておりそれも外側のカビ防止になっていると思われる。
一方掃除機能のない同メーカーの機種でも・・・
フィンの先端部分にゴミが多く引っかかっているように見える。またお掃除機能がなくともフィン外側のカビが多く、物理的なお掃除ブラシの効果はあまり良いとは言えない。となると対策はお掃除しかなく・・・このクロスフローファンを他の掃除しやすいファンにメーカーが変えてほしいところ(三菱ではプロペラ型ファンの機種がある)。
ユーザーとして出来る事は「エアコンはカビる?カビない?」のコメントにあるように、連続運転を控えインターバルを設け運転をすることである。コメントにある「サーモオフ運転」の効果があるかどうかは今のところ未検証となるが、ドレンパンの水が乾ききってエアコン内部のRH(相対湿度)が下がる3日間の休止ができる状態をつくったエアコンのカビ状況は、いままで調べ報告を受けた数十台のエアコンでも似たように確認出来るので、効果はあるといえる。しかし・・・「緑の家」では夏は24時間空調が原則である。となると・・・エアコンの台数を2倍として運転を交互に行うことになるが、それが今すぐに実現できたとしても、技術の進歩での解決とは言えず納得を得られることは難しいだろう。今回の建築学会の論文でもあるとおり、室内より外気の方がカビ胞子が多いとの報告があり(過去にも多数ある)、自然界においてカビは避けられない事なので、エアコン内のカビと空調の快適さを秤にかけたときに私感では、外気より浮遊真菌が少なければ許容出来る。しかし感じ方は人それぞれであり将来的には解決したいことである。