住宅の換気の選定 その5

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一昨日アップしたeACHのこと・・・丁度8月は換気の事と風呂CFのことを中心にブログアップしたいと思っていたので結構驚いてしまった。5回/hが現時点での仮指針(目標数値)とのことだし、その半分をRAをHEPAフィルターで漉してつかうとすると、100m2(30坪)くらいの除湿量は8.7g/m3×150m3=1.3L分/時間の2.5倍で3.25L/hで24時間で78L。78Lのうち潜熱の交換が50%だとする換気負荷分だけで約40L/日の除湿を処理しないといけない。まぁ今の空調ならちょっと無理。

さてその5はまず第一種換気システムで熱交換有りと熱交換無しとの比較を考えたいが、これは既に12年前に行っているのでそこを読んでほしい。

Q値に関する断熱、換気の基本⑦ 全熱交換型換気扇お勧めの境界2
最近ある日付のブログアクセスが急に多くなり、それをたどるとあるサイトで当事務所の換気扇の事が書かれておりました。 ほう...
12年前の2011年のブログ

そこから何も変化していないのが「緑の家」の換気であり進化無しなのか?と言われる。そのとおりで、換気の論理組み立ては変わっていなので、進化の必要性がないとのほうが正しい表現である。

次ぎにダクトレスの熱交換でロスナイと違う反転式のタイプが今流行中だが、これらは海外製が多く、そのほとんどがP-Q曲線を公開していない。換気扇の性能をしめす最も基本的なこの性能の未公開は唯々残念で信用性に欠ける行為。それでいて花粉フィルターだのPM2.5フィルターだのオプションがあるが、その捕集率や圧力損失(換気量の減少)も未公開では何を信じればよいのだろう。また性能表示があってもJIS規格等に基づく試験方法ではないようで、根拠に乏しいことが多いし、フードやフィルター込みの風量等なのか明記がない。

「緑の家」10年以上の定番ロスナイ(全熱交換型換気システム)
ロスナイにもオプションで微小粒子用の高性能フィルターがあり、その装着後の有効換気量までしっかり表示されている。これが国産の品質。

ダクトレス換気で13年ほど使い続けている、個別全熱交換換気の「ロスナイ」であるが、音はさておき欠点はその大きさとデザイン。こればっかりはなんともならない。せめて20年ほど変わっていない外観デザインを一新してほしい。但し既に25年以上継続しているのが、その100Φに入る汎用性は今後も必要。

他方、国産で反転式のダクトレス換気を最近発表した「ケィ・マック」さんアイレのオンダレスだが、流石にP-Q曲線も公開していて好感がもてる。

「緑の家」が標準としているダクト式の換気システムのメーカーさんの新たなダクトレス換気のCM。使ったことはないが数値公開に好感が持てるメーカーさんである。

「緑の家」ではこのケィ・マックさんのダクトタイプの換気システムとサイクロンフードを使い続けて11年(2011年設計)が経過しているが、現在まで特に問題が全くない。特筆すべき事はこのサイクロンフードで、その実績と評判から他社で似たようなサイクロンフードがごく最近発売されて始めており、その事を思うと、「緑の家」でのサイクロフード使用が10年前から標準という先見性が手前味噌。単純な原理であるが元祖サイクロンフードの開発者の松村先生のコメントを一読頂ければと思う。下は2011年設計の建物に初めてサイクロンフードを設置したときのブログ。

R2000から・・・R2000+(プラス)へ その⑩     完成気密測定
銅製(表面書処理)のプレートを特注。数ヶ月で色が変わるはず・・・。それが狙い。自然素材には経年変化する材料がふさわしい。...
2012年完成(2011年設計)の建物に初めてサイクロンフードを装着したときのブログ

また下はつい最近発売された大手メーカーさんのサイクロンフード。アレイさんの元祖サイクロンフードは開発者さんの想いでまじめに造ってあり、それが高評価だったので他社さんが追随したと思うが、この追随したメーカーさんのフードもまじめに造ってあれば再び広く高評価を得て、給気のフードは近いうちにサイクロン型が標準となるだろう。

パナソニックが最近発売したサイクロンフード。原理はアレイさんと同じ自然風によるゴミ出し方式。形状まで理論的な元祖アレイさんのほうが好き。

さてアレイのダクトレス換気であるオンダレスのP-Q曲線であるが・・・

このようにP-Q曲線など数値公開している。気になるのは給気より排気側に圧力を振ったこと。オンダレスのP-Q曲線。給気25m3/h(熱交換時は50m3/hでみる)で10Paと最低限は確保した静圧。

オンダレスは上表からわかるとおり給気圧力より排気圧力側に性能を振ったファンのようであり、ここがロスナイと違うところ。下はロスナイのP-Q曲線。

「緑の家」定番のロスナイのP-Q曲線。給気側の静圧が高く給気25m3/hで18Paある。

ロスナイは、給気に様々なフィルターが取付けられるようにシロッコ型のファンで、給気重要視しているが、ダクトレスのオンダレスは排気側を重要として設計している。ここはロスナイの設計思想が好きである。しかも95%捕集する花粉対応の高性能フィルターをつけても10%しか流量はおちないと明記していることがよい。このような明記が反転型ダクトレス換気に見られないところが残念。

反転型軸流ファン(プロペラ型)の弱点として静圧が低いことが上げられるが、換気量25m3/h時(熱交換時)で10Paあるので最低限の基準は満たしていると思う。しかしその際の音が39dbにもなるので実用性はない。枕元で39dbのファン特有の音源があって問題ない人はまずいない。結局風量を落として(静圧も落ちる)使うことになり換気の目的から外れてしまう。消費電力は少なくすばらしいがやはり静圧が低いことが反転式ダクトレスのネックだろう。

しかしながら結局・・・

換気システムは建て主さんの好みでよいと思っている。

但し、正しい情報は必要でそれがなければどんな自由な選択も無意味となる。

換気システムを使い続けてきてお薦めは、ダクト式の第一種熱交換システムが「緑の家」では多くの人にとって無難になると思っていることは、ここ10年変わりない。音とデザインが許せればロスナイはコストを抑えたいときによい。一方デザインと音の問題がないダクト式もふくめ、熱交換素子など本体内のカビ等は定期的に換気扇本体を変えることで一掃ができるし、一カ所のメンテナンス管理はらくと割り切っている。最後はやはり好みかな・・・と思う。

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コメント

  1. Asama より:

    アイ様

    〉理想は床下エアコン1台のみで2階も静かに快適になるかと思っていました。

    少し整理が必要かと思います。上の言葉では「理想は・・・」と「静かで快適になるかと思った」とありそれがしっかりと施工前に施工会社さんと合意がとれていたかが大事です。

    しかし最初に頂いた質問が、

    〉どうしても冷暖房負荷が大きくなることと、冬場に給気口周りから冷気を感じてしまうため、改善したいと考えており、

    となっていて、今となってはどれを優先して改善されたいかが第三者からは読み取れません。もし冷気改善が第一なら多少コストをかけて第一種換気にすれば改善されます。しかしそれでも間取りによっては一階の床下エアコンだけで2階が暖かくなる保証はありませんので2階のエアコンは必要な時もあるでしょう。そこで、

    〉単純に断熱性能低さとと空調計画の甘さであることは自覚しておりますが、何か無いかと思い質問した次第です。

    とご自分ですでに結論を出していらっしゃるので、制限されたこのコメント内で具体的事情(間取り、空調、換気計画)をしらない私では的確なアドバイスは難しいこともアイ様自身が既にご理解いただいていると思います。

    • アイ より:

      話が整理出来ておらず、申し訳ありません。
      冷気改善が第一という話から飛躍してしまい、大変失礼しました。
      ご丁寧に回答いただき、ありがとうございました。

  2. アイ より:

    いつも参考になるブログをありがとうございます。以前も同じようなコメントをさせて頂き申し訳ありませんが、質問させてください。長文申し訳ありません。
    現在、6地域、ダクト式三種換気の家に住んでいますが、どうしても冷暖房負荷が大きくなることと、冬場に給気口周りから冷気を感じてしまうため、改善したいと考えており、全熱交換換気への交換が最適かと模索中です。以下の方法以外で解決案があればご教示願いたいです。
    ①既存の三種換気の給気口は使用せず、その給気口のあった場所を利用し、ロスナイ等への後付交換出来るのでしょうか?
    ②後付交換出来る場合、家の給気口全て交換しないと効果はないでしょうか?
    ③全て交換した場合、現在の三種ダクト式換気本体の排気の利用は停止し、ロスナイ本体のその場での給排気のみを利用することになると言うことですか?トイレが排気経路の場合ダクト式換気の排気を止めると換気出来ないことになりますが、、、、
    よろしくお願い申し上げます。

    • Asama より:

      アイ様
       コメントありがとうございます。

      >①既存の三種換気の給気口は使用せず、その給気口のあった場所を利用し、ロスナイ等への後付交換出来るのでしょうか?

      可能です。電源が無いのは仕方ないですが(コンセント工事が必要)、穴の大きさが簡単にできるかどうかの条件です。呼び径100φならワンホールタイプのロスナイに比較的簡単に交換可能とです(それでも屋外フードが2階の時ハシゴで出来るかがポイント)。それより小さい穴ならもう一度穴をあける工事が必要で、気密、防水の処理が手間になります。

      >②後付交換出来る場合、家の給気口全て交換しないと効果はないでしょうか?

      電気代削減効果はほとんどないと思います。冷気は交換した所は少し改善されます。

      >③全て交換した場合、現在の三種ダクト式換気本体の排気の利用は停止し、ロスナイ本体のその場での給排気のみを利用することになると言うことですか?トイレが排気経路の場合ダクト式換気の排気を止めると換気出来ないことになりますが、、、、

      排気量をコントローラーで調整できれば、トイレ以外の排気口を閉じてしまいトイレだけ40m3/h以上を確保すればよいとい思います。40m3/h分はどこかのロスナイの給気口か又は家のどこかの隙間から入ってきます。浴室は風呂CFを追加設置すればよいと思います。これで冷気は少し改善されますが、冷暖房費は第三種換気の本体を停止しないとかえって高くなります。

      つまり6地域なら現在のエアコンが高性能タイプ(COP5、APF6以上)ならロスナイと第三種で冷暖房費に影響を及ぼす事は少ないと思われます。夏期に極端な低湿度なら話は変わりますが、そうでなければ工事費をペイするほどの電気代削減効果はまずありません。他の方法を考えたほうが良いと思います。他方ロスナイに交換なら冬期の冷気、夏期の不快感は低減されます。

      • アイ より:

        ご丁寧に回答ありがとうございます。
        工事費をペイできるほどの効果はやはりないですか。
        どうしても冷気を改善したい場所があれば、既存給気口を利用し、近くにコンセントがあれば露出で対応して一部のみロスナイへの変更(その場合でも屋外フードの交換工事は必要)。がコスト的には現実的という認識で問題ないですか?
        因みに、他の方法とは何かアイデアはありますか?エアコンは8畳3台、UA値0.4、C値0.2と数値的には悪くないのですが、狭小地で日射が望めず、エアコンを回し続ければ良いのでしょうが、気流感が快適と思えず、悩んでおります。不躾な疑問で申し訳ありません。

        • Asama より:

          >狭小地で日射が望めず、エアコンを回し続ければ良いのでしょうが、気流感が快適と思えず、悩んでおります。

          念のためですが・・・エアコンの設置位置と使い方が間違っていませんでしょうか。
          エアコンは人に風が当たらないようにする事が原則です。そのため設置位置も考えないと風が人にあたります。また使い方は24時間連続運転で同一温度設定が基本で、就寝時や外出時にも連続ONしなければ正しい使い方ではありません。
          仰せの家の性能でそれらが全て行われていてまだ気流感(実際に風速計で測定しても良いかも)があるならそれらは換気だけが原因とは思えません。まずは正しく原因を突き止めないと対策はとれませんので一応伺いました。

          • アイ より:

            気流感との言い方が間違えていました。失礼しました。
            エアコンは床下エアコン1台、1階廊下のエアコン1台、2階階段上1台でいずれも人には当たりません。
            理想は床下エアコン1台のみで2階も静かに快適になるかと思っていました。実際は床下エアコン24時間連続運転と2階リビングエアコン間欠運転での運用です。
            気流感と言う言い方をしたのは、どうしても2階にいる時間が長く、床下エアコンだけでは2階が肌寒い。そこで2階エアコンをつけると音や直接ではないにしても風が快適とは思えないと言う意味でした。2台を冬季は24時間運転し続けると安くない電気代となり悩んでいます。
            単純に断熱性能低さとと空調計画の甘さであることは自覚しておりますが、何か無いかと思い質問した次第です。