まだ暑い今週の初め(9月5日)に茨城県鹿嶋市に建築中の「鹿嶋市の家」の防水検査に行ってきた。
形になってきた鹿嶋の家であるが、木の外壁を貼る前に防水の要となる大事な2次防水の検査。道中9時間かけて1時間の検査をする・・・これには理由がある。
「緑の家」では杉の外壁材を多用しているが、そのほとんどが個別3条申請を行ってシーリングレスの納まりとしている。そもそも個別3条申請とはなにか・・・。
一般的な住宅には瑕疵担保履行法の制限が有り、建設会社さんはこの法で定める「瑕疵担保保険」に入らなければ、供託金を法務局に納めないと住宅を造ることができない。そこでほぼ100%の建設会社さんがこの保険に入っている。この保険に入るには、その保険会社(実質国)が定める設計施工基準遵守しなければならないが、そもそもこの規定は木造住宅でたった10条しかないので、木の外壁を想定して造られていない。もし近い外壁としたらその基準の10条の「乾式の外壁仕上げ」となる。その10条4項に「外壁開口部の周囲はシーリング材を用い、適切な防水措置を施す」とあるので、開口部廻りはシーリングをしないとこの保険の適用外になる。つまり保険には入れず法令違反の可能性が高い。
シーリングすれば良いだけのことであるが、木の外壁で特に「杉」は水分によって収縮が大きくしかも変形する性格の材も時折ある。この時にシーリングをしても切れる可能性は窯業系サイディングより高い確率となる。この保険では、シーリングは10年間正しい状態を維持する必要があるので、例えば8年目に切れたりすると、建設会社さんは無償で直す義務が生じるのである。その際、2階の窓廻りなら、いちいち足場をかける必要があり、その費用もわずかな修繕現象に対して大きい。そもそも古来から(戦後から50年ほど)木の外壁にシーリングをする事がなかったので、現在でもシーリングをしないことが普通に巷で行われているとおもわれる。とはいっても法令遵守なので、この保険の3条に定めがあるように、この設計施工から外れる場合でも保険適用ができる申請をすればよい。それが個別3条申請である。
「緑の家」ではこの申請を木の外壁の場合には原則行っているので、合法にシーリングレスの木の外壁となる。
最近は木の外壁の建物が巷で散見しており、この個別3条を申請しないと、10年間のシーリング保証は必ず行わなければならない。私としては、木の外壁でシーリングをしなくても雨漏れしないような開口部廻りこそ目指す防水処理と思うので、この10年くらいはこの個別3条を木の外壁時には申請するように建設会社さんいお願いしている(設計事務所ではこの個別3条申請はできないため)。特にシーリングレス以前の、木の外壁で隙間があいている仕様もあると聞くが、この申請をよくとおったなと思うのである。
詳しくは下の7年前(2016年)のブログをお読み頂ければと思う。↓
そんな事があるので、二次防水検査は重要となる。
まず「緑の家」の特徴として主要な窓上には庇が必ず取り付く。特にAグレードの場合は、必ず造り付けの先付け庇が取り付く。この庇があるおかげでシーリングレスの窓廻りが実現できる。
次ぎに通気工法がクロス通気胴縁でおこなわれること。
通気層が確実にあれば、万一の雨水の浸入時の雨水の滞留がなく雨漏れのリスクは下がる。今回配管のスリーブ周囲の抑え材でいまいちなところがあったので修正をお願いしてきた。屋外フードなど取り付く部分はシーリング義務の対象外であるが、逆にここはシーリングをする。開口部と違いシーリング切れのリスクは少なく、この場所のシーリングは効果的と考えている。
そして窓廻りは上端以外の両面防水テープはあまり信じず、片面防水テープを中心に行う。両面防水テープは、透湿防水シートとの熱膨張の相性がわるく、たわみが入ったり時には膨潤したりすると口が上に開くことで防水が機能しないことがあるため。