長期優良住宅の劣化の軽減
透湿防風防水シートと胴縁

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長期優良住宅の認定を受けるためには地面から1m以内にある木材はこの通気胴縁まで劣化の軽減を行わなければならない。

以前ご紹介したある大手ハウスメーカーの外壁下地施工中の写真。白矢印で木材の色が違っているのは、矢印から下の茶色っぽいところが加圧防腐防蟻処理材を使っているからである。

長期優良住宅は、通気胴縁にまで有効な防蟻防腐措置を行わないと認定を受けることができないと決められている。よって写真の会社はまじめにその基準通り行っている会社であり流石であると思う。多分このように基準を守っている長期優良住宅がほとんどであってほしい。・・・

がしかし、

昨日下のように耳を疑うようなこと聞いたような気がするが、一方で正直、他方で建前論のゆがみとも言える。

「透湿防水シートと防腐防蟻剤(油性も水性も)との相性はわるい。水性の場合は必ず界面活性剤が添加してあるので、その成分で透湿防風防水シートを水分が通過するようになる。界面活性剤がないと薬剤が木に染みこまないが、界面活性剤をわざと添加していない防腐防蟻剤をそのために現地で特別に作り、浸透性がないためそれを(多めに)通気層の胴縁にかけて長期優良住宅を取得することができる。」

とのような発言をあるセミナーで防腐防蟻剤の発売元のあるパネラーさんが言っていた。つまり(社)白アリ協又は日木保協に申請した成分(認可品)ではなく、異なった成分の防腐防蟻剤を故意に作って塗布し、長期優良住宅の基準をクリアーしていることになるのでは・・・これって所謂偽造案件?

発言自体は正直であり感心するが、しかし法律を遵守する設計業界人としてはこの発言はセミナーでなく、せめてオフレコであってほしかった。あくまでも「界面活性剤と透湿防風透湿シートとの相性はわるい」にしてほしい。当然相性だからタイベックシルバーのように界面活性剤に強い素材と謳っているものもあるが、それでも雨に当たる前に外壁を仕上げてほしいとメーカーの施工マニュアルにはある。

またその防蟻剤のメーカーさんは・・・

建物が完成後でも通気層内部に雨水が浸透してきた場合は、界面活性剤が木材からシートへ移り、同様の働き(透湿防風防水シートを水が通過しやすくなる欠陥)が起こる事は容易に想像できる

とも言っていた。つまり界面活性剤は建築後でも透湿防風防水シートとの相性は悪いことになる。影響力のある防腐防蟻剤メーカーさんのご発言なので真摯に受け止めると、つまり防水性だけを考えればできる限り通気胴縁に防腐防蟻剤は使わない方が無難であることをメーカー自身が言っているのである。

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コメント

  1. Asama より:

    RC様

     コメントありがとうございます。

    >『胴縁に外壁胴縁は含まない、下地の面材を留め付けるための胴縁等は間柱等と同一とみなし防蟻処理を求める』との回答がきました。

    それは良い判断だと思います。そもそも水がかかる事も前提の通気層内部ですから、外壁と同じように考えれば必要無いと私も思います。が規定は規定なので、守りつつ主張していきます。

    ちなみにどこの審査機関でしょうか?全国レベルなら安心できるのですが・・・。

    • RC より:

      当方静岡になります。全国規模でないです。県外に審査を出すこともあるので都度検討が必要ですが、、、。

  2. RC より:

    最近審査機関に長期の物件の胴縁について防蟻処理の必要性を問い合わせたところ、審査機関では判断出来ないため協会に問い合わせ2週間待った挙句返答がないため、審査機関の独自の見解として『胴縁に外壁胴縁は含まない、下地の面材を留め付けるための胴縁等は間柱等と同一とみなし防蟻処理を求める』との回答がきました。こういったケースは半年後にはころっと見解が変わっていたりして本当に骨が折れます・・・。劣化対策のための防蟻処理が劣化を助長しては意味がないので今回の審査機関の見解には合理性を感じますが、いつになったら統一見解とそれに対するメーカー側の対策がなされるのか本当に疑問です。