「緑の家」の外部配管方式は 長期優良住宅標準の基礎貫通型

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最大400mmは高低差がある郵便局の隆起(道路の沈下か?)。本来はピンク矢印は地中内部分。地震前の写真はグーグルストリートビューから。

今日、今回の地震で「緑の家」で外構の給排水管の隆起を起こした家の精密測定をするために通った道で見た異常な景色が上の写真。116号下の県道16号でみた郵便局2つはすべて大きな液状化の影響を受けていた。

1月2日の配管写真。

今回の「緑の家」の配管が壊れたのが1日の夕方で、それがわかったのが2日朝とのこと。そして4日の午前中で仮復旧終了・・・

1月5日の配管写真。応急的に地上で最終マスまで配管をして使えるようにした。下のピンク矢印が今まで使っていた配管の蓋。白い矢印が応急的につないだ地上配管。その直しやすさは見事である。

30分で応急処置はおわり、お風呂とトイレと流しは普通に使えるようになった。そもそも2日朝は断水のはずなので実質丸一日だけ使えないことになった。

地上で30分で応急的に配管修繕ができる幸せ。これなら配管業者さんも数多くの応急修理が可能。

しかしこの配管の応急処置は30分で終えるほど早く終わった。これには驚いた。「緑の家」の配管は長期優良住宅の標準施工でこのように基礎から横に出ている。このためどこが外れたかが目視でき、かつ地上で配管を直すことができる。巷で行われている外部配管貫通部分は地下200㎜以下のところなので、こんな芸当はむりで応急処置は不可能にちかい。やるなら正式に地下を掘り返してすべてやり替えることになる。時間的に一日はかかるが(砂利敷の時でコンクリートならその倍以上)、「緑の家」の基礎の途中で貫通する配管なら、最終まで水勾配を地上で確保できるため30分くらいで応急修理。私もびっくりだし、オーナーさんもびっくり。

さて、今日のメインの液状化における建物傾きのレベルによる精密調査は・・・

基礎天端のレベル測定の結果シート。

最小1㎜、最大の差で6㎜=1/1000となり周囲の隆起から考えるに全く問題ないレベル。オーナーさんと一緒にほっと胸をなでおろした。

室内も壁にひびなど入ることなく全く変化なしとのことでとりあえず終了。せっかくだからこの周囲に建築されている「緑の家」他の4棟も確認に行った。

その道中・・・

あちこちで液状化による隆起や沈下が確認され、これを見ると液状化のこわさを感じる。

道路沿いの擁壁の上にCB塀がある危険な擁壁。よく今まで行政も何も言わなかったかが不思議。

「オーブルデザインさんに前もって気になる建設地候補見てほしい」という依頼は全オーナーさんの半数はある。私は以前の2010年ブログでも発信している通り、土地の斡旋や紹介は行わない。これは土地の斡旋をすると不動産業者さんから紹介料(法的には不明)を頂ける習わしがこのこの業界にはあるのだが、それがかえって徒となり、自身の目の曇りになること、そして私が斡旋することで建て主さんの土地選びに対する直感を狂わせてしまうことなどデメリットが多いからである。但し建築的な視点でのアドバイス(メリットやデメリット)は行う。この時に大きな高低差がある擁壁の土地は勧めていない。また近隣さんがなんとなく変な時も同様である。特に擁壁は新潟県においてはデメリットになる場合が多い。そもそもまっ平な新潟平野で家を建てる時に、擁壁があるということはほとんどで盛り土が行われている。なぜ盛り土が擁壁にとってNGかは機会があればご案内するが、上下の写真の通り、設計や施工が悪ければ簡単に崩落する。

道路沿いにはCB塀がないのでまだよいが、擁壁上のCBが倒れたら大けがをする。
側溝蓋は踊っているし、電柱は傾いている県道5号線。

さて今回の道中から学んだことは、液状化は気まぐれであるとのこと。今回の液状化が激しく起こった地域は116号の砂丘直下(裾野)である。直下や裾野から離れると地盤が悪いといわれる地域でも液状化していない所が多い(下図の赤い部分)。そこから推測するに、年末に降った大雪が関係していると思う。砂丘上の雪はすべて元旦前には溶けて土地に大量にしみこみ、それが下がって集まっているところだけ地盤面水位が他より上昇し液状化が集中したと思われる。実際に吹き出し水の感じではごく浅いところまで水位があったと想像できる。この地震がもう一週間遅かったらここよりもっと下部の本当の海抜面以下地域(下図赤い色部分)が液状化していたのではないかと思う。

つまり液状化のない土地を選ぶのは至難の業で、季節によっても変わるし前日の雨でも変わる。だから我々建築士でもどこで起こるかわからないのである。

新潟市西区付近の液状化が起こりやすい部分を示す地図。白矢印がひどかったところだがピンクと赤の境になる。赤のほうがより起きやすい場所。

上の図は国土交通省北陸地方整備局が公にしている液状化の起きやすいところをまとめた地図である。赤が最も液状化の起こりやすい地域となるが、今回ひどかったのは白矢印部分でありピンク色との境である。またピンク色も液状化に注意する土地だが、そのほとんどは新潟市の住宅地であり黄色の心配が少ない地域は砂丘部分のみ。これよりもっとひどいのは事務所のある三条市で、居住部すべてが液状化の起こりやすい地域となっている。

三条市の地図。白矢印が事務所のあるあるところ。完全にピンク色。
こちらは長岡市である。中越地震で液状化を起こした土地にあった「緑の家」は白白矢印。川西のスーパーのある中心部はすべて赤色。住宅側はピンク色。

上の通り液状化の危険がないところは新潟市では砂丘上、三条市ではなし、長岡市では山手のみとなる。つまり新潟県は液状化対策が必須の土地が多いといえ、それを避けることは大変難しい。ただ優先順位を変えれば液状化の起こりにくい土地は新潟県でもあり、例えば田舎の拙宅の寺泊の家、「て・こあ」、「otomo vie cent」は液状化がおこらない判定がされている。つまり液状化が絶対に許せない場合は古くから集落のある田舎を選べば液状化はないが、その選び方で納得できる人は少ない。これら情報を統合すれば液状化が起きやすい土地でも受け入れなければ市街地での建設は難しい。そしてそのための液状化対策はその2で説明するつもりである。

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