10年以上超高断熱高気密住宅に住んだオーナー談。その3 引き違いは経年劣化で風が漏れる

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西裏館の家 完成写真①
明るいリビングの巾2.6m高さ4mのサッシ。高性能樹脂サッシトリプルガラスLow-E。この写真は天井を見上げたショッ...
オーナーさんのご希望で和室以外はすべてドレーキップ窓。ドレーキップ採用の草分け的「緑の家」。

今から13年前の2011年設計の↑の家から「緑の家」はドレーキップ窓の良さに目覚めた。

2013年は引き違いサッシ標準使用の最終年度。2013年竣工の引き違いサッシを多数使用した「緑の家」

「緑の家」の標準窓がドレーキップになったのは今から10年前の2014年の「長浜の家」からであった。先日10年目メンテナンスに伺ったこの2013年の荒町2丁目の家で引き違いサッシ標準がほぼ最後の年となる。翌年の「緑の家」から特に引き違いサッシのご希望がある以外、下のように標準樹脂サッシがドレーキップ窓の「緑の家」となる。

2014年竣工の全箇所ドレーキップ窓の「長浜の家」の外観。ドレーキップ窓がその中心となる。

先日伺った荒町2丁目の家のオーナーさんから言われたのは、「浅間さん、最近引き違いサッシから風が入ってくるように感じる。気密性が落ちているのでは・・・」ということ。多分その通りだと思う。これで外部の音が聞こえやすくなってくれば、ほぼ間違いなく、引き違い樹脂サッシの気密が劣化し始めている。これは過去どの「緑の家」の家でも言われること。そこで今から20年ほど前に完成した「緑の家」では数年前に室内にさらに樹脂サッシを追加していて気密性の劣化に対処しているオーナーさんもいらっしゃった。

そもそも「緑の家」グレードAでは、サッシ単独取り換え枠があるので、引き違いサッシがあっても逆にメリットがある。例えば、防水の要で99%の家で存在する窓と外壁の接する部分のシーリングが、室内側からできるような位置になっている。このため単独でシーリングのメンテナンスが原則足場無しで可能。引き違い戸を外すとシーリングが横手に来るので可能なのである。上部は庇がありシーリングレスの納まりだし、横手と下部さら板は室内からシーリングが可能である。ご存じのとおり、樹脂サッシの実質寿命※は概ね30年~35年程度程度だと思うが、シーリングは15年程度のため、サッシをメンテナンスする前に一度はシーリングのメンテナンスが必要となる。その事まで考えたのがAグレード+引き違いサッシの納まりである。
※樹脂サッシはガラスの寿命が30~35年、樹脂枠の寿命が35~40年、パッキンが15年(引き違いの場合)と考えている。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCF0727.jpg
Aグレードの窓回り。黄色い線がシーリングの部位で、引き違いサッシやドレーキップ窓なら室内側からでき、足場を必要としないで容易にメンテナンスできる位置に設けている。

一方「緑の家」の半分以上はBグレードとなる。このBグレードでは窓枠とシーリングの納まる部分は内側から見ると顔を出して振り返る建物側になるので、仮に引き違いサッシ使用しても実質室内側からのシーリングメンテナンスは作業性が極端に悪いので不可。

Bグレードは窓から顔を出して見返すような位置にシーリングはあるので、足場が必須となる。

このため設置後20年で気密が破壊される引き違いサッシをBグレードの標準とするのは中止してドレーキップになったわけである。そこで大きなドレーキップ窓の弱点であったすだれ設置不可を解消べく、「緑の家」のドレーキップ部をさらに特注化してすだれを掛けやすくしているのである。

この特注化を行うと大きなドレーキップ窓(いわゆるドレーキップとFIXの連装)でもすだれを容易にかけられ、かつ窓ガラスの外部分の掃除も可能になる。

提言⑨ 超高断熱の家にはドレーキップ窓が基本
2014年7月23日緑字加筆修正 オーブルデザインの「緑の家」では今まで⑧つ提言をしてきました。これで⑨個目の提言です...

今から10年前の2014年に「緑の家」の提言として上の「超高断熱の家にはドレーキップ窓が基本」としたが、こちらもすでに今回の10年メンテナンスで証明されてきている。やはりこれらを経験すると「緑の家」は今後も無難な家を目指すことに変わりない。

さて・・・引き違いサッシはその構造上、気密パッキンの劣化で気密性劣化の影響は大きく、通常20年でサッシの気密は破壊される。気密パッキンの交換で性能はもとどおりになるが、気密パッキンの在庫保持期間が商品廃止後から7年となっている上、多分サッシメーカーは今でもLIXILやYKKといったところでなく、あくまでも町の建材店さんだと認識している(アルミサッシでは間違いなくYKKとLIXILは部材メーカーの位置づけ)。つまり樹脂サッシもその製造メーカーは町の建材店で、LIXILさんやYKKさんは部品メーカーである点に注意が必要で、気密パッキンの保管義務意識が薄い。私がよく使うエクセルシャノンさんだけは「うちがサッシの製造メーカーである」と公言している。

例えばサッシメーカーは?と聞かれ業界の人もユーザーさんもYKKさんとかLIXILだと思っているが実はそうではなく地域の建材店さんなのである。この点は今でも複雑怪奇である。エクセルシャノンさんのサッシは、その点フレームがここ30年ほど変わっておらず、純正気密パッキンの在庫が30年前のサッシでもあることがよい。最近はパナソニックさんがオーナーになった(筆頭株主)ので方針に変更がでる可能性があるが、今まではどのサッシ大手メーカーよりその点(サッシメーカーとの意識)はよかった。

さて・・・気密パッキンの機構が引き違いサッシ型でなく、押しつけに型に近い片側だけがスライドする引き違いの派生形の引き寄せスライドサッシもあるが、こちらのサッシには欠点がありそれは外部のガラスの一部がふけないこと(2階の場合)と外部簾が下げにくいこと。これはやはりメンテナンスの上で欠点となるのでそこは注意したい。

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