昨日耐力壁検査を行うために熊本に伺った。この記事は待ち時間が出来た伊丹のラウンジでアップ。
今回は遠方のため施工会社さんであるヤスダホームさんが事前に打ち合わせを十分に設定していただいたため、筋かいによる耐力壁は完璧で指摘する箇所がなかった。これは地元の新潟のヨシダハウスさん以外ほとんどないことである。
伺ったところによると確か・・・木材屋さんの倉庫で500本の中から筋かいにふさわしい60本を選んだという裏話まである。ありがたいことである。その木材屋さんに伺うと、熊本市近郊では筋かいによる耐力壁確保は軸組木造住宅の7割近くあるという。構造用合板はまだまだ少数派で、やはり筋かいが多いとのこと。これは昨今の住宅金融支援機構で建築した筋かい4割よりずいぶん多く、数年前にあの震度7が2度起こった熊本地震のその土地で、いまでも筋かいが耐力壁として支持されていることを示す。
「緑の家」は3年前から構造用合板が高騰しているので筋かいによる耐力壁が中心であるが、今回も松浜ヒルサイドの家に続き勾配天井を持つ2階になるので、屋根断熱をするために本格的な登り梁を採用している。そのため屋根まで伸びる耐力壁があり、この部分は構造用合板で耐力壁を確保して、屋根面までの一体化をはかる。これは許容応力度設計で推奨されている仕様で、許容応力度設計を行っていない建物では、たぶん重要視されていないと思われる。
写真で見ると明らかだが、屋根面まで伸び屋根水平剛面を支える耐力壁がはっきりとわかる。これがあるので小屋裏に法律の仕様規定である「小屋裏の振れどめ」が省略できる。
このような火打ちさえないすっきりとした小屋組みは、2階のプランを構造計画と共に練りこむ必要があるので、比較的自由となる2階リビングのような建物に向いている。
写真奥に見えているが、中間に梁があるのは、小屋裏の名残で確認申請を取得してから小屋裏が中止になった。しかし長期優良住宅の構造計算も小屋裏ありで認可がおり、小屋裏なしで計算しても引き抜き力が全く変わらなかったので、将来気が向いたときに小屋裏ができるように梁は残している。確認申請も小屋裏がなくなった事で変更申請がなくてもよいとのこと。
基礎は「通り」が正確でブレがほとんどない。仕上がりも鏡面の輝きがでていて見ていて気持ちがよい。基礎周辺の外付加断熱も先行で終了しており、高基礎の雰囲気がより一層感じられる。
2階バルコニーの手すりの高さは隣家の窓が見えないように設計時で配慮されており、今日建て主さんとその最終位置を現地確認して決めている。
また屋根の防水シート養生※も屋根に無駄な穴をあけることなくブルーシートで側面抑え込みしており、今回の豪雨を無傷で過ごしている。屋根の高さから周囲を見ると、屋根の素材でガルバニュームはお隣だけで、和瓦とスレート(コロニアル)が多いが、今後ガルバニュームの良さが伝わりこの地域でも見ることができるだろう。
※一般的に屋根仕上がりが混んでいてタイムリーに葺けないことが殆どであるため、防水シートが風で飛ばないように養生の必要があるが、通常防水シートに直接板を打ち付け穴をあけても良いと思っている屋根屋さんの多さには驚かされる何のための防水シートなのか・・・。
様々な配慮がされ進行中の熊本の家であり、遠方だからこそより一層工事監理一回に割く時間も多く、それをフォローしていただけるヤスダホームさんに感謝する。