まずは上の「緑の家」のブログをご覧いただきたい。この投稿では当時ほとんど語られていないルーフバルコニー下の通気の重要性をが今回紹介する報告であり、「緑の家」では20年以上前からこの仕様を標準としていた。ルーフバルコニーは屋根よりはるかに難しい納まりでだと思う。
今回の報告は上の題どおりである。一般的に剛床に使用する厚物合板(24mm以上)は湿気を通しにくい性質があり、これについては以前からこちらのブログでお伝えしている。この特性からバルコニーの下地と剛床合板の間で高湿化するのではないかとの疑念でこの調査になっていると推察している。
このK仕様が「緑の家」にほぼ当たる。実物の下写真はある「緑の家」で、バルコニー下地の通気経路の穴を下から見たところである。
上の結果を見れば一目瞭然で、当然穴の開いているK仕様が最も湿気をため込まない無難な仕様であることがわかる。
なぜ今この研究がされているかというと、今までこのルーフバルコニー下の通気についてはどの教科書、公的なマニュアルにも出てこない箇所であり、そのためこのような調査をおこなっているのである。
「緑の家」がこのことを普通に考えて20年以上前から採用していたことは、やはり「緑の家」の当初からの信念に構造が第一で次に耐久性が第二と考えていたからだと思う。わざわざ構造の合板に構造に影響がない程度に穴をあけることは、当時誰も考えていなかっただろう。このため冒頭のリンク先の事故のように万一のFRP防水に亀裂が入ったときにでも床が腐ることなく過ごせたのだと思う。
上の通りK仕様の換気量の多さがわかる計算結果となっている。通気穴があり、かつ手すり壁も上部近くに通気の出口があったほうが良いことがわかる。実は上の「緑の家」の図面で示しているとおり、このK仕様と同じ納まりである。