2009年10月6日グラフ追加、2010年3月20日緑字加筆
9年ほど前に改正された断熱基準である「次世代断熱基準」。これが現在の大手ハウスメーカーの断熱基準となっています。ところがこの基準であると、家の暖房費は以前のお住まいより費用が嵩むことが調査で確認されています。
その理由は、次世代基準の断熱性能で家中暖房を行った場合、性能が低すぎて(次世代断熱でも低すぎる)エネルギー消費が大きくなるためです。今までお住まいの家はほとんど断熱性が考えられていないため、それが逆に暖房費を少なくしていました。つまり限られた部屋の暖房と、間欠暖房と少しの我慢で暖房費が少なかったのです。ところが次世代断熱基準の家でこのような暖房を行うと、結露の発生が避けられません。家中暖房が前提の次世代断熱基準で間欠部分暖房では、結露して欠陥住宅になってしまうからです。
そこで家中暖房となりますが、当事務所の「緑の家」の断熱基準(次世代基準より1.4倍くらい高い性能)をもってしても暖房費がある程度かかります。30坪くらいの家で23度暖房を家中に24時間して年8~9万くらいの暖房費です。
下にQ1住宅で使うQPeXという簡易熱計算ソフトで色々な断熱の家のシュミレーションをしてみました。まずは緑の家のSSプラン超断熱の家です。さて、シュミレーションで大事な事は設定条件です。少しでも条件を変えると結果に相当影響の及ぼすものもあります。今回は窓からの日射は全て有効で考えます。実際は、カーテンや、他の建物があるので、これより暖房費が掛かります。
超断熱SSプランではその断熱性能高さと床下暖房の効果で設定温度は20度(昼)、18度(夜間)で充分快適。すると暖房費が年間約1万円←ほとんど暖房費用が要りません!!
Sプランは設定温度22度(昼)、20度(夜間)。すると暖房費が年間約7万円←暖房費用が月平均に1万程度です!!先ほどの経験値より1万くらい多めです。
次世代断熱基準の家は断熱性能が悪いので設定温度24度(昼)、22度(夜)。すると暖房費が年間約10万円です!!
設定温度がそれぞれ変わるのは、断熱性能や暖房方法の違いにより快適感が違うためです。次世代基準の断熱性能でも夜間22度は、少し設定が現実的ではないですが、このソフトではこれしか設定できませんので御容赦ください。
いずれにしても、次世代断熱基準に比べ断熱性能が3倍だから暖房費が1/3になるのではなく、もっと少ない1/7になる感覚です。このグラフで見てもわかりますが、2次曲線ですね。これに温度ムラ、体感も加わります。また表より、新潟県の冬ではQ値が0.3以下で無いと無断房住宅にはならないとわかりますから、「無断房住宅」というPRでは「誇大表示」ですね。
その暖房費の差額はSSプランとSプランで6万/年となり、25年でペイすることになります。しかし電気料金1Kwh=25円としましたが、来るべき石油枯渇危機となるときに、果たして25円/Kwhでないでしょう。少なくとも1.5倍程度に高騰するはずです。すると15年でペイする可能性がありあます。
如何ですか?超断熱。間違いなく今、お勧めです。
PS
図中、自然温度差がSSプランで約8.5度とあります。これは暖房をまったくしない時に外部との温度差のことで、あくまでも平均ですから目安です。真冬でも日が窓から入れば25度くらいの自然温度差は簡単につきます。たった1.5kwの熱量があれば20度温度差がつく家です。