新潟の家 自然素材の木の外壁は屋根が必要です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いくら再生可能なエネルギー(太陽光発電等)を使っていても、現在のエネルギー浪費の暮らしでは、環境を考えているとは言えないということで、超高断熱(Q値0.7W/m2K)の家、所謂パッシブハウスを建てた人がいらっしゃいます。すばらしい考えです。私もそう思います。幸運にもその家の資料を拝見する機会がありました。やはりすばらしいお考えで造られた家です。ただ設計者がに対し経験が少し不足していて次の点が残念でした。

屋根がないところに貼り、数年で腐る木。記事とは関係ない家です。撮影は1999年ごろです。

1.焼き杉と呼ばれる杉の板を外壁に使っている事自体問題ないが、建築地が関東でも雨の量は梅雨時相当なもの。軒の出のない所謂四角い家では、雨がいつも外壁を濡らす事になる。これでは木の外壁は20年持たない。運が悪ければ10年で朽ちる。この使い方では環境になるべく負荷を掛けない家とは言えない。木は長持ちさせるから再生可能な材料。せめて木が育つ30年は腐らない使い方をするのが設計者。つまり軒の出を設けなければならない。

2.高性能木製サッシを使っているのに、そのサッシ上部に庇がない。所詮木製サッシは木でできている。雨ざらしでは木端部から腐朽が始まりやはり20年もつかどうか。下手をすると10年で機能上の不具合が出てくる可能がある。樹脂やアルミサッシには必須ではないが、木製サッシには基本的に庇がセットされてなければ素材や高価なパーツの浪費と言える。ローコストにするためと言う理由であれば、本末転倒。見た目のためなら設計者失格(この建て主さんに対し)。せめて屋根が大きくあれば庇がなくとも許せるが・・・。

築10年になる緑の家K邸。木製サッシは必ず屋根の下にある。基本中の基本の使い方。

当ブログでは何年も前から自然素材である木は使い方が重要であり、耐久性の明暗を分けるとお伝えしております。しかし最近は木をまるで使い捨てのように雨ざらしで使う風潮があります。
最近流行のラーメン屋さんにも木が雨ざらしで多く使われていますが、このような店舗のような建物に使う感覚で住宅に自然素材の木を使うことは、素材の浪費となります。

どんな設計でも常に「バランス」が重要です。超高断熱性能だけは所謂「パッシブハウス」だけれども、外壁やサッシ、屋根の素材の使い方が間違っていると、その家のメンテナンス経費は跳んでもないくらいに高価になり、下手をすると使い捨て(30年で破棄)されてしまう事になります。特に今回のように、わざわざ腐りやすく考えたような木製サッシでは、早期交換は必須です。
日本の気候は欧州とは違い、モンスーン気候に近いです。雨は多く絶対湿度も多い雨季があります。この点をしっかり抑えないと単なる一時的な「省エネ」ハウスで終わってしまいます。

日本の昔からの民家は必ず庇があります。これは、窓が金属や樹脂ではなく木製であったため、庇がないとすぐに朽ちる事をよく知っていたからです。日本(北海道を除く)の気候では木製窓と庇はセットです。勿論アルミ被覆(樹脂一体被覆はOK)された木製サッシでもアルミ同士の接合部から水は浸入します(経験上)。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする