昨日「新木造住宅技術研究所協議会」=新住協からQ1.0(キューワン)住宅の本が届きました。新住協さんは20年以上前から良く存じ上げているのですが、今まで会員になった事がありませんでした。しかし昨年から長期優良住宅先導的モデル補助金が貰えるというきっかけで入会させて頂いております(ご案内のとおり昨年は残念ながら不採択)。
この本はコアな建て主さんにも一読をお勧めしますが、多少高断熱高気密住宅がなんぞやを知っていないと読みにくい本かな。お求めは「新住協」と検索して頂きとその団体が見つかりますからそこに問い合わせしてください。
本を買うなら著者は重要です。この本のようにやはり大学の先生が書いた本が確かです。今は誰でもお金で本を出版できますから、著者が住宅会社の関係者で結局広告本というのが殆どですね。
さてその本から図を抜粋し、「緑の家」の性能を示しました。
以前から当ブログで申し上げているとおり、ハウスメーカー程度の高断熱高気密程度では、逆に暖房費が増えてしまい、CO2削減どころか、CO2増に加担してしてしまうとの内容があります。これは15年以上前に建築学会で複数の論文が発表され、関係者には周知の通りですが、普通の建て主さんは知りませんし、業界の人でもしっかりと勉強された方でないとその理由は知らないでしょう。
次世代省エネ基準では全室暖房すると暖房費相当掛かるのです。従来の家から引っ越すと急に暖房費が増えるのです。すると暖房費を減らすため従来の住まいみたいに部分暖房をはじめ、それが原因で暖房していない部屋では結露が発生します。加えて今後のエネルギー費高騰がおき20年後はもっとQ値が規制され、結局Q値2.4位の家は短命住宅(30年資産価値ゼロ)となります。
新潟県ではQ値が0.9くらいを目指すべきではないでしょうか?
新住協の勧めるQ1.0住宅の新潟での最低Q値は1.4くらいなるのですが、この性能ではたりません。というのは、Q1.0住宅は日射による窓からの取得熱を期待しています。だからQ値が1.4くらいでも暖房費が下がる試算がされます。しかし大部分の家では、レースのカーテンが南側の大開口窓に設置され、それが昼間は閉じられてしまいます。これは都市部にありがちですが、大きな窓から内部を見られてしまう事を嫌い、レースのカーテンを閉める事が多いのですね(防犯もある)。
これを「止めてください」と言う事はなかなかいえません。普通の神経の人なら内部が見られる事に対し抵抗がありますよね。だからこそカーテンがある程度閉じられてもよい位まで、Q値を上げる必要があるのです。それが最低0.9くらいだと考えます。
そんなQ値0.9の家が下の写真の家ですね。これからも夏から秋に完成予定があります。この価値がわかる方がどんどん増えてきてます。大変ありがたい事です。
コメント
kotaro様
おはようございます。いつもお立ち寄りありがとうございます。
本当におっしゃるとおりです。
私の言葉の至らないところを明確に解説して頂き「kotaro様 凄い」と思いました。
kotaro様のコメントを元に記事に手を加えさせて頂きます。
おっしゃるとおり多くの工務店や建設会社さんは、暖房費がシミュレーションできる新住協さんのQPEXというソフトにだけ頼って、実生活や家の建設される周囲の環境条件を考えません。そのソフトの結果を鵜呑みにしてしまうのです。私を含め暖房費マニアや超高断熱マニアは、エコや省エネのためなら、近所から見られようがカーテンは開けっ放しでがんばれますが、常識ある方は普通閉めます。天気が良ければ良いほど閉めたがります。眩しくて、暑くなるので直感的に閉めるのですね。これを全否定できません。「Aさんの家は開口部から日射が入るのでQ値1.6で暖房費2万/年だよ」とはいいきれないのです。会話をしながら繰りあい、多少カーテンが閉まっていてもエネルギーを使わない性能が先ずは求められます。
思慮深く、的確なアドバイスのkotaro様には感謝です。
確かに我が家も南側のレースのカーテンは閉めっぱなしです。細かいことですが生活の現場を考えないと性能を見誤るのですね。Q1.0住宅の本は私も参考にしています。セミナーで鎌田先生のお話を直接お聞きしたこともあります。設計・施工会社の方がただマニュアルに従うだけでなく、工法の意味をきちんと理解して、また専用ソフトの結果数字のみに囚われ過ぎないで、さらに生活しやすさもきちんと備えた家にする意識を持って建ててもらえたらいいなと思いました。