構造からデザインする吹き抜けのツイン梁
今日は現場で打ち合わせです。
「緑の家」はいつもご紹介している吹き抜けや勾配天井があり立体空間も豊かですが同時にしっかりと構造補強がされております。よく様々な方から
「「緑の家」の吹き抜けはどうしてそんなに梁や火打ちが多いの?」
と聞かれます。
それは、木造住宅での欠点を補うためです。木造の床は柔らかくましてや吹き抜けは床がないためうまく力を伝える事ができません。
えっ・・・だって木で出来ていれば堅いでしょう。転ぶと痛いし・・・。
そうなんですが、木造以外の建物は床がもっと、もっと堅く造ってあります。
床は地震の大きな力を均等に分散して柱や梁に伝える大事な役目があります。力を伝えるには床が堅い構造でないと撓んでしまい変形しますが、堅い床なら撓むことなく均等に力を伝え、一部だけに大きな力が掛かる事を防ぎます。ですので床がない吹き抜けは、木造住宅の大きな欠点となります。そこで吹き抜けをまるで床があるかのように、堅い物にす
るには・・・
火打ちをよく見ると形状や取付ける高さ位置が普通と違うのに気づくだろう。
このような沢山の梁と火打ちが効果的なのです。それをよく理解しているのでその梁と火打ちでデザインするのです。このデザインに拘ると・・・
所謂軸通り(柱や梁がはいる軸位置)が大変複雑になり、時には30本の軸通りができ、加工者泣かせとなります。しかしこのようにしないと耐震等級2以上をクリヤーする耐震力が出にくいのです。
日之出町の家の1階平面図。通り軸が31本と・・・混乱しそうな細かさ。
高く積まれたウッドファイバー。ツインに組まれた梁がいい感じに上面仮想床をつくる。
1階の床から見ると結構沢山梁がありますね。
ところで今回の日之出町の家では、充填断熱の材料には木で造られた断熱材の「ウッドファイバー」が使われます。これは建て主さんの強いご希望で、この充填断熱の付加断熱としてフェノバボード60mmを外貼りします。
木は自然素材だから防蟻剤が入っている。つまり自然素材ほど虫がつきやすくカビが生えやすいのだ。
自然素材が好きな人ほど、自然素材がカビが生えないように、虫が食わないように処理されていることに対し、見て見ぬ振りをしたりします。自然素材を建築に使うには、なんらかの工夫をしないと直ぐにダメになります。このウッドファイバーには多分、人に対し塩並の毒性しかないホウ酸で処理されていると思います。