「て・こあ」でのある一日 ㉜ 空調と土壁の家

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まるっきり自然素材の家である築100年の「て・こあ」。土壁とわら床のタタミ、そして無塗装の木の3つで構成される家。通風が最大限とれる間取りであるが、昨年のカビには全く役立たず。

去年の梅雨から夏にかけて大きな害をもたらした「カビ」・・・。

今年の「て・こあ」は、そのカビから大事な布(絹)や本を守る為に、占いの間に空調設備(エアコン)を設置しました。

最新の空調機が設置され24時間空調が始まった築100年の部屋「占いの間」

町から少しはなれた集落の里山の下にある自然素材100%で造られている「て・こあ」・・・。
昨年は通風など積極的に行いましたが、そのカビの爆発的な発生に全く役立たず・・・頭を悩ませたオーナーさんが考えたのは、今年は一部屋だけ24時間空調された空間を確保し、そこに黴びさせたくないないものを置くという方法です。

占いの部屋の環境は、外壁に面さない場所で1階が10帖で天井高2m、2階が10帖で天井高1.8mの空間に6帖用のパナソニック製最高機種を設置します。
運転条件は除湿モード(再加熱除湿)で1日の電気代が120円(200W運転)。この状態でこの部屋の床から1.2m付近の温湿度と空調されていない和室10帖(天井高4.2m)の1.9mでの温湿度を同時に測定します。

結果は上のとおりで、

・占いの間は相対湿度60%付近で一定
・和室は6月下旬は65%を上下。
・〃   7月4日から75%を上下し、カビ危険湿度に突入
・各黒丸のところで吸湿効果らしき遅れ現象あり

という感じです。
黒丸の遅れ現象とは、通常相対湿度は特別な加湿要因がなければ気温にタイムリーに変化しますが、そこに吸放出湿物質があるとバッファー現象がおこり遅れが生じるという事です。上のとおり確かにバッファー現象が見られますが、外気の空気が7月4日から南の暖かい湿った空気に入れ替わったため、室温は上昇していないにも拘わらず確実に和室湿度は上昇し、高湿状態になっております。この空気の入れ替わりは人でもはっきり感じられるほど「蒸しっと」しております。

土壁と無垢の木、そして昔ながら藁床による畳で造られた「て・こあ」ですが、湿った空気に変った途端に、確実に室内でも湿度は上がります。若干の木や土壁のバッファーはありますが、大量の空気中の湿気の前には気休めくらいですので・・・カビは生えます(笑)。

また、エアコンのマニュアルではこの再加熱除湿は湿度50%になるように自動設定されているはずですが、6帖用のエアコンに対して10帖×2くらいの大きさなので60%が限界なのか・・・でもその消費電力はたった200Wなので機械自体の余力は相当あるはず。やはり自分で湿度を設定出来るようなエアコンが良いと感じますね。その点東芝は少しよいと感じます。

カビから自然素材を守る為には、物理的にカビを剥離させて菌糸を成長させないように毎日掃除するか、占いの間のように空調を24時間行って湿度をおとすかのいずれかです。
最近の図書館書庫では空調によるカビや虫から予防が普通で、昔のように燻蒸処理や、虫干は行われておりません。その時代の科学力でカビを防止する・・・これはいつの世もかわりない人の知恵ですからまよわず空調を薦めます。

「て・こあ」で去年カビが猛威を振るった畳表今年は少なくなってほしい。

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