これは昨年の寺泊の地滑り災害の写真(自宅から数キロ)。
痛ましい災害がおこりました。
死者数は100人になるとも言われている広島市での大規模地滑り・・・。
この山津波災害で流された多くの家・・・
建築士からみたこの災害を少しだけ触れて見たいと思います。
その前に・・・
昨日伺ったスズメの巣の撤去・・・
スズメも頭がよく、巣は人の手が届きにくい場所に5箇所もありました。
青印のところが断熱材を掘られたところ。赤線より下が断熱区画なので性能に影響はないが、巣は巣造られないよほうがよい。
これほど多くの巣を見たことがなかったのでこちらもびっくりしてしまい、巣のあったところを写真や手触りで確認すると、スズメにとって営巣の安定場所がなかったので断熱材上部6cmの厚分に深さ4~5センチくらいくちばしでつついて穴を掘ることで巣を安定化させておりました。それも断熱材は意外と堅いので彫ることが難しかったようで、一番掘りやすい断熱材の突き付け部分のみを掘っておりました。 根本的な対処はこの場所を木で塞ぐ事になるのでしょうが、従来の数年で巣が作られなくなるとの経験を考え、一年くらい様子を見ることで了解を得ました。
生物の対応は一番難しいところです。
さて広島市の災害・・・
まずは被害に遭われた方にお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになられた方に哀悼の意を表します。
この山津波災害の怖いとことは・・・
山頂付近からの土石流が起こった事です。そしてその山は標高580mを超える標高であり、これは弥彦山に相当する標高です。地図上の弥彦山山頂は634mでもう少しあるのですが、車で行ける駐車場の上で展望台でロープウェイ到着場所が大体580mでここを山頂と考えている人が多いはずです。この弥彦山すそ野付近に住んでいる人が、弥彦山の山頂から土石流が流れて来ることが想像できるでしょうか?普通はかんがえません。小さな裏山とかがけ地とかが崩れる事は想像出来ても、弥彦山クラスが山頂から土石流が流れて来ることは普通考えて暮らしておりません。そこが怖いところです。
今年の春撮影。一年も手つかずの土砂崩れ現場。数十年に1回あろうかという降雨時に起こった。
木が生い茂る山の30度以上の傾斜地では、数百年に1回は山肌が崩れることがあると考えるのがよいと思います。私達建築士の一般的な理解では、土砂の角度が30度以下なら安定すると考えておりますが、これはあくまで水分を多く含まない地盤の事で、水分が多く含まれると15度でも流れ出す事が考えられます。
元々山は岩石で出来ている事が多く、その岩石の上に数百年以上かけて木や生物が土を造る事になります。この土には石の風化した粒子以外に有機物も入り交じった状態です。ですので山は堅い岩石の上に薄い土の層(20cm~3m)を塗ったようなものだと考えると、数百年に1回降るような多量の雨が降った時に、岩石とその上の堆積物の境の水脈が太くなり上の層浮き上がらせ滑らせてしまうと考えられます。無論、数十年に1回の降雨で持ちこたえた場所でも数百年に1回の降雨で崩壊してしまう事があり、それが今回の広島の土砂崩れ(山津波)ではないかと想像します。
ですので広島に限らず山の斜面が30度を超えている場合は、どこにでもあり得る事だったので、これに対しての対策として
「何時も自然災害のリスクを考え住まう」
ということがこの地震多発、多雨で台風も来る日本での住まい方なのでしょう。
多くの方は
「こんな事になるなんて・・・」
と思っていらっしゃるでしょうが、地震の時も同じ事を聞かれます。自然災害の多い日本では災害はいつか必ずくることとの心構えは必要です。その時に迅速で冷静な判断が出来るように普段から頭の訓練が必要だと感じております。
そしてようやく題名のことですが、
昨日の報道でもありましたが、こんな大災害でも1km先の川一つ超えれば、普段通りの生活が行われているこの差・・・これは東日本大震災の高速道路が分けた絵図だったり、中越地震の時も同様でした。ある一線を越えると途端に被害が甚大になる・・・これが21世紀の自然災害なのでしょう。そこを認識すれば備え方も変ります。