雪国の耐震等級から考えるシェルター建設

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耐震等級3の群馬県で建築される長期優良住宅の書類。構造計算では積雪70cmで各部材が安全設計されるが、地震時はこの積雪はないものとして計算できる。一方新潟県の場合は積雪ありの時の計算となる。その差は大変大きい。

この表は国の審査機関に提出する長期優良住宅の技術審査の書類です。
青の矢印が耐震等級を示し、赤が「緑の家」の最大特徴である基礎が高い事による木材の耐久性の検討不必要を示しております。赤矢印のように「劣化対策不要と」記載する長期優良住宅は国内では大変希です。

さて・・・

新潟県は建基法による多雪地域に指定されており、地震時には雪が屋根に積もった状態を考慮してそれでも安全性を担保できるか審査します(長期優良住宅等)。つまり・・・雪が積もった時の事を考えて(統計上確率で勘案した減額数値以上)家を設計する決りになっております。これが太平洋側の場合は積雪の荷重を考えなくてもOKです。雪は相当重いので(瓦屋根の数倍以上)新潟県などで雪の荷重を考え計算した耐震等級2の建物をそのまま関東に建てると、全くそのままで耐震等級3以上の評価が得られます。このくらい雪の影響があると考えて、国民の財産と命を守る建物を雪国は設計しております。

ところが・・・個人住宅でさえ考えるこの地域性の雪が・・・

原子力発電の関連法ではこの雪のことは殆ど考慮されておりません。実は多雪地域で且つ積雪が2m以上の指定を受ける地域が柏崎刈羽原子力発電所から30Km圏内にあります。それも人口が集中している旧長岡市が積雪2m以上を指定されている都市なのです。立地地域の柏崎市でも積雪1.3mの指定があります。それを証明するようについ数年前、柏崎市は1mの積雪が有りました。あの原発銀座の福井県の設計積雪で2mを超える都市はありませんから、如何に柏崎刈羽原発が特殊な多雪地域でそのための特殊避難状況になるかがわかります。このくらいはいち建築士の私でも想定出来ますから、国の頭脳である経産省や原子力規制委員会の偉い先生方は想定されているでしょう。

以前もこのブログで紹介しましたが、原発の過酷事故が起きるほどの大地震時には、必ず停電でおきます。真夏に窓を閉め切っての自宅待機(原子力規制委員会の認めた避難マニュアル)では高齢者と幼児が熱中症で危険と申しあげましたが、更に重要な事を忘れておりました。

それは熊本地震で明らかになったように、大地震後の家屋の損傷は大きく、本震で倒壊しなかった家が余震によって倒壊がする事が証明されました。それは中越地震を体験した私達も理解でき、痛んだ家の中より車の中で宿泊する人が多く見られました。こうなると原発過酷事故時の自宅待避が如何に非現実的か!

窓を閉め切っての自動車内待避では大人でも数時間で死亡します。また痛んだ家屋は隙間が多く発生し、時には窓ガラスも割れるでしょうから放射性物質を遮断する事が出来ません。Orz・・・

ですので事故シェルターを造りましょう。そして非常時用電力を備え、南北に地下トンネルを掘り、避難ルートを確保するのです。そうすればとりあえず土地は全て守れないけれど人の健康だけは守れる・・・。

是非再稼働前にシェルターと地下トンネルをつくる事が必要です。建築バブルで日本経済も潤いますし、安全性も高まり、なんと言ってもこれが大多数が納得する現実的な対策と考えます。

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