福島県 伊達市で無暖房住宅を・・・

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今までにない発想の「緑の家」。ガラス張りではあるが耐震等級2の構造をシンプルで無難なファサードに取り込む。

昨日ようやく題名のとおり「福島県 伊達市で無暖房住宅を」目指す住宅の実施設計を終えました。着工は早ければ7月、遅ければ9月頃でしょう。

南側は4/5の開口部分をもつこの独特のファサードは、冬に窓から受け取った太陽光の熱だけ、つまり暖房機を運転OFFでも寒くない家となります。無暖房状態で明け方予想では17度まで下がりますが、パッシブダイレクトゲインによる蓄熱土間を持つ温室が構成されており(アトリエで居室ではない)、更にアルミ製ヒートブリッジ50本を使用して日射のあたらないコンクリートにもパッシブ的仕組みで熱を分散蓄熱させております。

そして・・・

建て主さんの生業が果樹園であることで、外部から出入り(冬期以外)を簡単に可能にするために、1階は全て床下を持たない(配管スペースのみ)構造の地面とほぼ近い高さの床としているので、「緑の家」の特徴の床下収納及び床下暖房を取りやめました。

しかし・・・

高基礎

なのです。

こういった組み合わせは15年前にもM2ハウスで行っておりますが、当時より断熱性能は2倍高い旧Q値で0.88w/m2k、UA値で0.3w/m2k・・・。
一方特徴ある大量の窓はトリプルガラスの汎用タイプで、特別な木製サッシや海外樹脂サッシではありません。

※・・・基本設計段階の数値で、確定数値は来週再計算予定。

ある大手サッシメーカーでは5層ガラスのレガリスという超高性能の樹脂サッシも既にありますが、これはコストパフォーマンスがよくないので却下。またこのようなサッシのガラスの多重化は諸刃の剣で、①4層の空隙のシールリスク増大。4層も空隙がありその1つでもダメになればそのサッシのガラスの寿命は尽きます。現在、そのシールのメーカー保証は10年ですが、空隙のシール破壊で数年でガラス交換になった件数は、「緑の家」でわかっているだけで3件(10枚以上)あります。
②日射所得取得率が半分になる。レガリスはUw値こそ2倍になりますが、日射所得取得率ηも半分になりパッシブ的な環境の太平洋側には向かない。

コストが湯水のようにあればレガリスも使えると思いますが(ドレーキップがないけれど)、ここは実績とコストバランスがよくなってきたトリプルガラスのサッシを使う事にします。

晴天時が続く冬期は、暖房器具がOFF状態で日中21度(1FLDK)、明け方17度以上を目指します。そのため蓄熱材は強大で、1階の半分が石の床で、残りの半分の1/3のスラブにも蓄熱させるシステムを計画しました。このシステムは無電源で熱伝導率が鋼材の3倍もあるアルミニュームのヒートブリッジを使用しております。

このガラス張りの南側を作り且つ耐震等級2を確保するため、先回の寺尾西の家で使ったラーメン構造(接合)を2層で取り入れサッシの取付けもミリ単位の詳細図で検討しました。この続きはその2で。

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コメント

  1. N より:

    やはりレガリスは不評なんですねぇ…
    他のまともな建築士さんも日射取得率が低すぎることに言及していましたが、やはり最大の問題点はこんなものを出すぐらいならフレームU値と耐震等級も取れるぐらい強度を改善したヨーロッパレベルのきちんとした理論に基づいたトリプルサッシを提供してほしいものです。
    http://imagawa-k.jp/2015/03/post_209.html
    http://imagawa-k.jp/2015/03/1_17.html

  2. オーブルの浅間です。 より:

    NN様
    コメントありがとうございます。
    >このような前衛的な試みが、私の住まいから比較的近い所で計画されている事を知りワクワクが止まらなくなって書き込みしてしまいました。
    ありがとうございます。このバランスの良さは建て主さんの拘りです。
    お近くであれば完成時には是非お立ち寄りください。
    建て主さんもきっと歓迎されると思います。

  3. NN より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    既に自宅は建設済みですが、浅間さんのブログからは、非常に参考になる事が多く、勝手ながら勉強させて頂いております。
    このような前衛的な試みが、私の住まいから比較的近い所で計画されている事を知りワクワクが止まらなくなって書き込みしてしまいました。
    さて、文中に紹介されているレガリスですが、やはり日射取得がよろしく無いようですね。透明な壁であって決して窓ではないと認識しました。
    数字だけ追い求めた結果なのでしょうが、窓も含めて全てはバランスが大事なのだと改めて思います。