驚き!スラブ中央部から逃げる熱を熱流計で実測。その1 地面より外周へ。

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昨年夏から温熱測定隊として「前ラボ」から高価な熱流計という測定器をお借りして、スラブの熱移動状態を測っております。

そして昨年夏に、

真夏でも基礎断熱しているべた基礎のスラブから意外ともいえる熱が奪われている事がわかりました。このことで新しい夏の空調として、6月~7月でも床下空間を暖房して、1階の床温度を冬期の25度まで上げる事で快適性を維持して、居住空間を除湿する方法を報告しました。この方法であれば、除湿量を増やしても不快な寒さにならない・・・。新しいオリジナルな空調方式です。

今冬の測定では新しい発見より、従来から国のマニュアルで書かれているのに、その内容を実測もしないで否定的な考えが一人歩きしている・・・スラブ下に断熱材のない地面だけの基礎断熱の中央部分の熱の移動を明らかにします(この測定建物のみ)。

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ごく普通の住宅地。地層は砂丘地。

先ずは誤解のないように申し上げますが、

これはこの寺尾西の家の一例であり、同条件の敷地でないと同じ結果にならないのでその点あらかじめご理解をお願いします。

住宅の条件と測定場所は下の図のとおり。2016年3月竣工ですからまだ1年未満。繰り返しですが使用熱流計は前ラボからお借りしている計器です。

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ピンク色が断熱材位置。高性能フェノールフォームを基礎立ち上がり内側に120mm(一部60mm)。スラブ下には全く断熱材無し。

2-3

ピンク色が測定場所。 一つは外周から約1mでもう一つは外周からの最短5m部分で建物の大凡中央。

さて、結果ですが、

  • 基礎スラブ中央(外周より4m)は熱流量が大変小さい
  • 基礎スラブから熱量は外周、中央部ともに外気に影響される
  • 地面の影響は外周部がおおきい(検証中)

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冬期の12日間の熱流量を外気温と比較する。
ピンク部分が外周部の熱流量が外気のパラメーターである事がわかりやすい。

スラブ中央部分は断熱材が無いにも拘わらずほぼ熱が逃げていない結果です。所謂超高断熱状態になっております。

一方外周部は中央分の15倍以上の熱流量を感知しました。

流石にこれには驚きました。

緑の色の線(外気)がゆっくりと下がっているのですが、外気と中央と外周部の熱流の増減には大きな相関関係が見られないように感じますが、・・・細かい時間軸で見ると(図のピンク楕円部分が一例)、外気温と連動して熱流が増減しております。

外気が下がると熱流量が増え(外部に逃げる)、気温が上がると熱流量が小さくなる・・・。これが中央分にも僅かに同じ波形で表われております。

ここから考えるに・・・

スラブの熱の移動は、中央部では地中に向かうのでなくコンクリートが熱橋のようになり横に広がり外部に移送していると考えられます。

つまり中央部分だけを考えると・・・

スラブ下の断熱材より、基礎外周部を断熱材で覆う基礎外断熱にするほうが効果的と推察出来ます。これは従来の研究の通りで、だから一応外気のパラメーターで基礎中央分のU値の式が可能なのでしょう。

しかし驚きました。確かに逃げる熱の絶対量は外部と内部では15倍も違うのですが、波形をみてください。外周部と内部スラブの波形がほぼ同じと思いませんか?

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左のスケールは外周部の熱流量。右のスケールは中央部の熱流量。左は右の4倍の上限値で4/3倍のスケール幅。

試しに外周部の熱量と中央分の熱量の目盛りを変えて同じ範囲に作り直すと・・・

同じ波形で推移している事がわかります。

ゾクゾクしますね。

スラブ中央部からの熱の移動は、地中では無く外周部に流れている割合が多いのです。これはコンクリートの断面と内部の鉄筋に影響されていると思われます。

一般的に

コンクリート 1.6w/mk

鉄筋 53w/mK

ですから33倍鋼材は熱を運びます。つまりわずかな鉄筋でも計算するとコンクリート断面の1/2の断面と同じ熱を運びます。ですのでRCとただの土間コンはその中央部で1.5倍ほど熱流量が違います。

アルミニウムに至っては200w/mkですからコンクリートの125倍も熱を運ぶ訳です。実はこの性質を利用して「伊達の家」では有効蓄熱量を増やす計画を考えております。

さて実測からこの寺尾西の家の環境では・・・

スラブ下に断熱材がなくともスラブ下の地面に流れる熱流量より、熱橋となる(実際は板状の構造と考え)スラブコンクリートを通しての熱量が多くを占めると推察出来ます。

これは私が間違っているのでしょうか?

いいえ、確かにU値は温度差あたりの熱の移動量としており、外気温との差があれば熱はより多く移動することになるような計算式で、外気の影響を直接受けるのはこの基礎立ち上がりのコンクリート部分となります(地面は外気の変動をタイムリーに受けませんから)。

それともこの敷地条件では一年もすると冬期の熱の移動はスラブ~地面への熱流量はほぼなくなりコンクリートの熱貫流が殆どであると今のところ考えられます(スラブ中央分のみ)。

先ずは第一報としてお伝えします。

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コメント

  1. 赤林伸一 より:

    床下の温度は測っていないのでしょうか。熱流を計測するのは結構面倒で、表面の対流と放射の両方の熱伝達を把握して計測する必要があります。特に放射をどうするかは面倒です。

    • Asama より:

      赤林先生へ

      >床下の温度は測っていないのでしょうか。

      スラブ上100mmと一階床裏(スラブ~1400)で同時に測定しております。なんとかエアコンの稼働と絡めて表示してみます。

      >熱流を計測するのは結構面倒で、表面の対流と放射の両方の熱伝達を把握して計測する必要があります。特に放射をどうするかは面倒です

      ご指摘ありがとうございます。思い出しました。確かに正確な熱流を測ることは私には難しく、この実測ではお手上げです。今回は床下暖房を行った時の改善が必要と思われる部分の把握を行いたいと思っております。
      今回のことで、どこをどのように改善していくべきか、又は現状のままでよいかわかりました。
      研究(実測と解析)は楽しいことと同時に難しい事を何時も教えて頂き大変ありがたい事だと思っております。

  2. Asama より:

    赤林先生 おはようございます。

    >中央部分の熱流がマイナスになるのはどうしてなのでしょうか。

    今の推測ですが・・・
    床下用エアコンが常に稼働している状態での測定です。しかし床下用エアコンも時々霜取りや設定温度以上を感知して運転停止します。すると温風もとまり床下内の温度が一時下がったり、温度ムラが出来ますからその時にスラブの温度と室温の逆転(スラブ温度が僅かにたかくなる)が起き熱流がマイナスになると思われます。近々床下用エアコンのON、OFFとの関連をグラフにしてみます。

  3. 赤林伸一 より:

    中央部分の熱流がマイナスになるのはどうしてなのでしょうか。スラブの表面と地面に接している部分の温度が見たくなりますね。