2017年9月20日加筆修正 1mm以下→1mm以上に修正
先回ご紹介した国総研のHPのある資料では、住宅の耐久性に関する様々な情報を公開しています。そのなかで今回は「白あり」を取り上げます。
白アリに加害される住宅の割合は他の事象(台風、火事、地震、突風)に比べ多いのですが、供給する側がその事を伏せることが多いので、意外とネット情報では出てきません。また駆除する会社さんも、建てる側が実際のお客さんになる事が多いので、あえてピーアールする事がないと思われます。その業界の仕組みは以前もお話ししました。
この国総研では、そういったしがらみがないので一番弱い部分がしっかりと図入りで客観的に記さされております。
例えば上の文のここ↓
長期優良住宅で最も白アリに強いヒノキの土台を使っていても、辺材なら簡単に食害されてしまう・・・と書かれております。
これは私が以前から(2009年)申しあげていたことです。
またここ↓
べた基礎であっても打ち継ぎ面がある場合や、打ち継ぎ面を塞ぐ止水版を設置しても、コンクリート内に取り残された型枠金物とコンクリートの隙間から白アリが侵入してきます・・・と書かれておりますね。これも私が以前から(2010年)申しあげていたことです。
本題に移る前にもう一つ・・・
皆さんが一番興味のある基礎打ち継ぎ面の↓の問題です。
上のとおり、住宅の基礎で一体打込みでなくともしかるべき方法をすれば白アリの入る隙間を抑制することも出来ますが、それを行うとかえって高い手間賃(僅か1mm以上の隙間を全部埋める必要がある)がかかったり、隙間リスクが減るだけで隙間が0になる訳でもないので、一体打ち込みのほうがコスト、リスクの面からもよいと思われます。更に言うなら、排水の基礎貫通部分を「緑の家」みたいに地上部から貫通すればOKでしょうが、そこまで注意して施工業者さんが作っているのか?ですね。目に見えないところでは1mm以上の隙間の100%撲滅なんてまず出来ません。なぜなら超高気密に拘り相当の手間をかけて気密処理するC値0.1cm2/m2の住宅会社さんでも、その隙間は10cm2もあるということで、隙間撲滅の限界がわかります。
ようやく本題・・・玄関が大事な部分ということです。
これも「緑の家」では15年前から申しあげております。
ユニットバスが一般的になった今、玄関は家の中で唯一地面とつながっている部分、もしくは近い部分になります。よって白アリに加害される部分としては一番確率の高い場所で、実際加害箇所をまとめたデータでも玄関はUB化されない浴室と共に常に一番となります。
よって「緑の家」は真っ先にこの地面との繋がりを断ち切った玄関を15年前から採用しております。
外部の玄関ポーチでは究極の白アリ対策階段として↓のような地面から浮いた階段を提案する事もあります。
内部玄関では、
こんな感じで玄関床下は空間になっております。ここは普通の家では土を入れて玄関の床を作ってしまうので上の図のように白アリの誘導路として使われてしまいます。
また申しあげたいことは・・・
最近白アリを防ぐ金属の網のようなもので基礎を囲う方法がありますが、一般部分ならまだしもこのような複雑に部材と部材が絡む玄関部分に、1mm以上の隙間を全く作らないことは・・・事実上不可能だと思います。1mm以上の隙間を全く作らない安定的な方法は、時間がたつと固化する液体で全てを覆う事が現実的で、これが生コンクリートだったりFRPでつかう液体樹脂だったりします。液体を使いそれが固化することで形になるのであれば、どなたが施工しても安定的に1mm以上の隙間を塞ぐ事が可能です。
さて・・・実は「緑の家」では玄関がほぼ地面と同じくらいの家も多数あります。この時の玄関部分の防蟻方法は今は未公開ですが、時期をみてご案内させて頂きます。