今まで業界からのアナウンスが殆どなかった屋根下葺き材についてこの日経ホームビルダー3月号では記事になっている。
オーブルデザインでは随分前から、
屋根材で瓦の耐久性は60年だとしても、現在の施工では粘土瓦でも30年~40年が屋根としての寿命である。
と言っていた。
それは現在の屋根の考え方は、台風以外の豪雨でも(時には台風でも)雨が家の内を漏らしてはいけない事になっている。この事を一個が大凡36cm角の屋根瓦を重ね組み合わせるだけで実現できるとは、殆どの人が思っていないはず。屋根の下には防水性のある何かがあってそれで雨が漏れないようになっていると直感的に思っている。
そのとおりで、
粘土瓦の強風時の防水性は、アスファルトルーフィングによって担保されている。しかし以前紹介した国の研究でも、アスファルトルーフィングを貫通する瓦を留めつける釘の穴から水が漏れる事がある。原因は素材や貼り方が悪かったりする以外に、経年劣化がある。釘の貫通部分は、タイヤに刺さった釘のように通常抜かなければ容易に水は入らない。しかし、これはルーフィングに弾力性があり、釘穴を締め付ける効果があるときで、時間が経って弾力性のなくなった釘穴は緩み水が浸入する。この時間が概ね30年後になる。よって屋根が瓦だろうがスレートだろうが、釘が貫通する施工方法ならその屋根の寿命は30年~40年となる。幾ら屋根材の粘土瓦が60年平気でも、その下葺き材で屋根の寿命は決まる。
そう言うと、
「社寺仏閣の瓦屋根は30年で吹き替えていないよ」
とのご意見があるが、社寺仏閣の屋根は住宅と次の点で異なる。
- 屋根勾配が一般住宅の2倍~1.5倍
- 和瓦の形状が違う
- 少しばかりの雨漏りを許容する
- 屋根形状が単純
- 定期メンテナンスをする
当たり前だが屋根勾配がきついと雨漏りし難く、和瓦は谷が深いので水切れがよい。また住宅違って少しばかりの雨漏れを許容するのでアスファルトルーフィングはなく、土などの水分を容易に吸って吐く素材で出来ている。土が濡れても大きな小屋裏をバッファーとして下葺き材が蒸れるのを防ぐ。また住宅と違い暖房しないため冬期の結露もない。そして屋根形状が単純で谷を持たない作り方が多い。だから60年は葺き替え無しで維持出来る。社寺仏閣の瓦が60年吹き替えなしだから住宅の瓦屋根も問題ないとの論理は成り立たない。
そこであるハウスメーカーさんはかんがえたらしい。60年持つアスファルトルーフィングを採用すれば良いのではと・・・と記事にある。
そのとおりであり瓦屋根で60年間葺き替えをしたくない方はこのマスタールーフィングをお勧めする。「緑の家」では伊達の家でも採用している。一般的な大きさで価格は15万程UPになるが、葺き替えをするつもりなら安い。国内で正式に60年耐久と広告している唯一の商品である。
最近はアスファルトルーフィングではなく、高機能屋根防水シート(屋根用透湿防水シート)なる商品もある。しかしこのような科学が産んだ合成物質を全否定するつもりはないが、建築の下地としては最も有名な科学が産んだタイベックでさえ長期に渡る熱劣化事件を目の当たりにすると、屋根の下地という建築物で最も過酷な温度場所(最高温度80度以上)に実績がまだ無い素材で30年以上もその性能が維持出来るという話を鵜呑みにできない。よって今一番お勧め出来るのが基本素材として50年以上の実績をもつアスファルトルーフィングの進化版であるマスタールーフィングになる。
コメント
さくさん
私もそう思います。
ガルバニュームで施工に問題がない3.5寸勾配以上の屋根なら、下葺き材が無くとも漏れる事はほぼ無いのでメーカーを問わずゴムアス系(改質アスファルト)を選んでいればまず問題ないでしょう。シングル葺き・勾配が緩い場合又は無数に打ち込まれるタッカー穴が心配な時には、タッカーによらず粘着性シートではるゴムアス系が無難な選択です。
Asama様
やはりマスタールーフィングはかなり高価な下葺き材なのですね。
ガルバニュームの場合は屋根材自体と寿命の近いワンランク下のニューライナールーフィング等の改質アスファルトルーフィングがバランスが良いと考えていますが、Asama様はどうお考えでしょうか?